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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マーケティングの教科書の古典② (マーケティング/出頭則行)

マーケティングの教科書の古典②

出頭則行 マーケティング

13/10/17

「マーケティングの教科書の古典」シリーズ2回目の今日は、「ピーター=ドラッカー」についてお話します。

私は元々広告マンで、そこから九州大学ビジネススクールの先生になった際、様々なマーケティングの教科書を調べました。今、一般の人たちに「いい教科書ありませんか?」と聞かれた場合、私が薦める「マーケティングの教科書の古典」のような本が2冊あります。前回は、その1冊目として「カーネギー」の「人を動かす」についてお話しました。

私にとって「古典」とは何かということをお話しますと、「時代や地域を超えて真実であること」「道理を説いており、腑に落ちて納得できること」「どこでも手に入ること」、この3つが私の考える「古典」の条件です。前回お話した「人を動かす」は所謂ハウツー(How to)本になります。そこで今日は、ハウツー本ではない、むしろ本質を説いている、「ピーター=ドラッカー」の本についてお話します。彼は、マネジメント学、或いはリーダーシップ学の創始者のような人です。ピーター=ドラッカーは2005年に亡くなられているのですが、彼の一連の著作は、私にとってやはりマーケティングの古典であると言えます。なぜそのように思うのか、その点を中心に今日はお話します。

「ピーター=ドラッカー」は、「学者」というよりも「エッセイスト」であり、アカデミックなエッセイを書いていたと感じます。また、ドラッカーは経営書の類を殆ど読まず、歴史の本を愛読していたと言われています。他のマーケティング学者と違い、彼は企業活動というものを非常に高いところから、鳥のような目で見ているのです。有名な話に、「ジャック=ウェルチ」に関するものがあります。ジャック=ウェルチは、GE(ゼネラル・エレクトリック)の元会長で、20世紀最大の経営者と言われています。GEはかつて数えきれないほど多くの事業をかかえるコングロマリットでした。そんなGEで会長をしていたジャック=ウェルチに対し、ピーター=ドラッカーが一つの質問をしたと言われています。「GEに現存する事業の中で、現在あなたが参入したいと思う事業はあるか?」という問です。この質問は、ジャック=ウェルチにとって極めて本質的な問いかけでした。これを契機に、ジャック=ウェルチはGEの再編に手をつけます。各領域でナンバー1かナンバー2である、ないしは、ナンバー1かナンバー2になり得る事業だけを残し、可能性のない事業からは退却しました。その結果、GEは大変優良な企業になっていったのです。

同じように、ドラッカーは経営管理者に、様々な影響を与えています。その言説のいくつかを今日紹介し、彼のマーケティング観の一端をお教えしたいと思います。

例えば、「企業組織は全てがコストセンター」という考えです。社長から全ての従業員に対し給料を払い、組織・施設を管理所有する企業にとって、唯一のプロフィットセンターは、「顧客の財布」です。つまり、利益の源泉というのは、「顧客」にあるのです。企業を維持するためのものは全てコストだというのです。これは、今もって真実であると言えます。
これも有名なのですが、企業の目的についての話です。多くのマーケッターや経営学者は、企業の目的を「利益の最大化」であると言います。しかし、ドラッカーが言う「企業の目的」は、「顧客の創造」です。新たな顧客を作っていくことが企業の目的であり、この「顧客の創造」という考え方は大変多くの人達に影響を与えているのです。利益に関しては、「例え取締役が天使たちでも利益を重要視するでしょう。」とまで言っています。なぜなら、利益とは「社会に必要とされる証」だからというのです。つまり、利益が出ていることは、社会に存在する理由の証であって、企業の目的ではないというのがドラッカーの考えなのです。これまた、非常に腑に落ちることです。

また、マーケティングに関わるドラッカーの言説に、マーケティングとセリング(売ること)は、正反対である、といのがあります。一見、マーケティングというと普通セールスであり、セリングと非常にリンクしている、隣接したところと考えがちです。しかしドラッカーからすると、マーケティングとセールスというのは、正反対のものなのです。なぜなら、良いマーケティングをすることで、余分なセールスが必要なくなるからです。これも、確かに納得できる考え方です。

最後に1つ。マネジメントの最大の任務は、「事業の定義」であるということです。1つの例を紹介します。キャデラック(自動車メーカーGMの高級車ブランド)についてなのですが、キャデラックは一時期潰れそうになったことがあります。そこでキャデラックは事業の定義を見直し、「自分たちの売っているものは車ではなく、ステイタスシンボルである」と事業を再定義しました。つまり、キャデラッはステイタスシンボルを売っているのであり、自分たちの競合は、ミンクのコートやダイヤモンドであって、他社の高級車が競合ではない。ということです。この事業の再定義によってキャデラックは蘇りました。

このように、ドラッカーはマーケティングにおいても時代を超えた原理を説いています。マーケティング教科書の古典の第二はピータードラッカーの著作類ということになります。

分野: マーケティング |スピーカー: 出頭則行

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