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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 家計の状況 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

家計の状況

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/10/02

今日は、家計の状況について御話しします。以前話した事と重複しますが、皆さまの関心が高そうなテーマなので、再び採り上げました。

はじめに、単身者を除いた勤労者の家庭について見てみましょう。平均的な収入は、1か月あたり50万円ほどです。サラリーマンの夫が170時間働いて40万円稼ぎ、妻がパートで90時間働いて10万円稼いでいる、といったところです。パートは正社員の6割も働いているのに給料は4分の1ですから、時給に直すと半分以下ということになりますね。
使い道は、税金等を10万円弱支払い、30万円強を消費に使い、10万円強を貯金する、という具合です。消費額は、1人あたり10万円弱です。この数字は単身者を除いた勤労者の平均ですが、単身者と高齢者の世帯を加えた全体の平均は10万円ですから、少し多くなっています。単身者は1人あたり消費額がどうしても大きくなるので、その影響でしょう。ちなみに、1人あたり消費額10万円という数字は、高齢者世帯も現役世帯もあまり変わりません。高齢者というと弱者というイメージがありますが、平均してみると高齢者の生活レベルは現役並みなのです。

次に、金融資産について見てみましょう。対象は、単身世帯を除いた全世帯です。金融資産残高は、1世帯平均で1700万円ほどです。もっともこれは、大金持ちを含めた平均ですので、普通の日本人家庭というわけではありません。そこで、日本人を一番の御金持ちから順番に並べて、丁度真ん中に来る世帯を見てみると、金融資産残高は1000万円ほどになっています。
金融資産残高は、世帯主の年齢によって大きく異なっていますので、若い方は1000万円なくてもガッカリしないで下さい。日本のサラリーマンは年功序列賃金といって、勤続年数に応じて年収が上がっていきますし、退職時には退職金が出ますから、60歳代の人は老後のための貯蓄をたくさん持っているのです。金額を申し上げると平均で2400万円ほどですが、これには大金持ちの分がはいっていますので、この金額自体はあまり気にしないで下さい。とにかく現役世代よりも多くの金融資産を持っているという所が大切なのです。
チョッと驚くのが、70歳代の金融資産残高が、60歳代からほとんど減っていないことです。高齢者は、長生きした時に貯えが底をついてしまうことを恐れているので、金融資産を持っていても使わずに質素に暮らしているのです。
高齢者のお金持ちがもっと大胆に消費をしてくれれば景気も良くなるのですが、仕方ないですね。最近、相続税の控除額が減り、相続税を支払う人が増えることになりました。一方で、孫の教育資金を援助する際に贈与税が免除される新制度が始まりました。これにより、高齢者の資産が孫の教育に使われれば、景気も良くなるし孫の世代の教育水準も高まるので、期待しています。

ここまで平均の話をして来ましたが、ここからは格差の話です。勤労者世帯を年間収入の順に並べて、上から5分の1のグループと下から5分の1のグループを比べてみると、年収の比率は約3倍です。驚くほどの差ではありませんし、収入が高いほど世帯人数も多いという傾向にありますから、1人あたりでみると、差はさらに小さくなります。
もっとも、これは勤労者世帯の話である事には注意が必要です。貯金も所得もなく生活保護で暮らしている家計などは、計算に含まれていないのです。また、非正規雇用で親の家に住んでいる若者も多いと思われますが、そうした人は親の世帯の一員とされるので、必ずしも貧しいという扱いにはならないのです。たしかに、非正規社員でも親と住んでいれば、生活には困らないのかもしれません。しかし、将来親が引退したり亡くなったりすれば、貧困世帯となる可能性も大きいでしょう。
日本は1億総中流と言われたものですが、最近では必ずしもそうは言えない、というわけです。

さて、そもそも格差は悪いものなのでしょうか?格差が全くない社会は、理想のようにも思えますが、働いてもサボっていても給料が同じという事だと皆がサボるようになるので、全員が等しく貧しくなってしまいます。共産主義が平等を掲げていましたが、ソ連も中国もうまく行かなかった理由の一つが、人々が怠けるようになった、という事だったのです。
しかし、格差があれば良いというものではありません。頑張れば金持ちになれる、という場合には皆が頑張る原因になるので格差は良いものだと言えるでしょう。しかし、格差が大きくなりすぎると、貧しい家の子供は充分な教育が受けられずに貧しくなる、といった事が起きるのです。また、たまたま学校を卒業した年が不況だったので就職に失敗すると、一生非正規社員のままである、というのも決して望ましくありません。最近こうした望ましくない格差が増えているようで、残念ですね。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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