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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 知的財産権(4) 特許制度のハーモナイゼーション (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

知的財産権(4) 特許制度のハーモナイゼーション

永田晃也 技術経営、科学技術政策

13/10/22

前回は、日本の特許制度に即して、特許手続きを概観しました。
 そこで紹介してきた「先願主義」という出願基本原則、出願から1年半後に発明の内容を公開する「出願公開制度」、出願から20年間の特許存続期間といった制度は、今日、多くの国の特許制度にみられる要素です。
 しかし、元来、特許制度は国ごとに異なった成立の経緯を辿っているため、国ごとの多様性がありました。例えば、先願主義という基本原則はほとんどの国で採られている制度ですが、実は米国において特許出願に先願主義が適用されるようになったのは今年の3月16日以降のことで、その前の出願には先発明主義という原則が適用されていました。先発明主義とは、先に出願した発明者ではなく、先に発明した発明者に特許権を付与する制度です。この制度は発明の事実を尊重し、発明者の権利を強く保護する性格を持っていますが、法廷で発明日を争うことに伴う手続き上の煩雑さなど、不合理な点も指摘されていました。

 そもそも特許権の取得、実施を伴う経済活動は国境を越えて行われるものですから、特許制度が国ごとに異なるという状態は、企業等の手続き的な負担を増やすことになります。このため、特許制度のハーモナイゼーションを目的とする国際的な協議は、かなり前から進められてきました。
 その結果、まずパリ条約という画期的な国際条約が、1883年に締結されることになりました。日本は1899年、明治32年にこの条約に加盟しています。
 パリ条約では、3つの原則が打ち出されました。
 第1に、「内外人平等の原則」と呼ばれるもので、これは条約に加盟している国の国民は、他の条約国においても平等に特許を取得できるという原則です。
 第2に、「特許独立の原則」というもので、これは同一の発明が複数の条約国において特許権を取得している場合、その権利は互いに独立しているという原則です。
 第3に、「優先権」に関する原則ですが、これは、ある条約国に出願した発明の優先権が、他の条約国でも成立するという原則を意味しています。例えば、ある発明者が、まずA国に特許出願し、その後1年以内に同一の内容でB国に特許出願した場合、その間に第三者がB国に先に特許出願してしまっても、最初の発明者に対してB国でも優先的に権利が付与されることになります。

 その後、第2次世界大戦後に、特許制度のハーモナイゼーションは新たな展開を見せることになります。
 1978年には、特許協力条約(PCT: Patent Cooperation Treaty)が発効しています。これにより、締約国の国民または居住者は、特許出願を行う際、希望する複数の締約国に同時に出願できるようになりました。国際出願という手続きですが、これによって出願手続きは大幅に簡素化されることになりました。

 また1995年には、TRIPs協定が発効しています。これは、GATT(関税と貿易に関する一般協定)の中で交渉されてきた知的財産権に関する協定で、95年にWTO(世界貿易機関)が発足した際、その設立協定の付議書として発効したものです。その主な目的は、知的財産権保護の不十分な国における権利保護を向上させることにあり、例えば先進国の主張を反映して、特許の存続期間を出願から20年とすることなどが定められました。

 このようにして特許制度は国際的な調和が図られてきましたが、これによって特許制度をめぐる国際的なコンフリクトが解消したわけではありません。各国は、それぞれ自国の産業競争力を強化するため、特許制度や、その運用方針を変えることがあり、それが特許紛争の背景にもなっています。
 次回は、この問題を取り上げてみたいと思います。

分野: 知的財産 |スピーカー: 永田晃也

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