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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > QBS科目紹介「ナレッジマネジメント」について (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

QBS科目紹介「ナレッジマネジメント」について

永田晃也 技術経営、科学技術政策

13/09/03

今回は、私がQBSで担当しているもうひとつの科目、「知識マネジメント」について紹介したいと思います。
知識マネジメントは、ナレッジマネジメント、知識経営と呼ばれることもありますが、1990年代後半以降に台頭した経営コンセプトです。この経営コンセプトのバックボーンとなっている理論や、具体的な経営手法については、昨年度の「スタモニ・ビジネススクール」で16回に分けてお話しましたので、今日は、ビジネススクールの科目としての役割を中心にお話します。

 一般的に知識マネジメントの目的は、組織の内外に存在する知識を経営資源として活用し、業務プロセスの改善を図ることと定義されています。この経営資源としての知識という視点は、知識マネジメントの意義を理解する上で取り分け重要です。
この視点が提起される前は、人、物、金に続く第4の経営資源は情報であるという言説が支配的で、情報の流れを改善することによって業務改革を図ろうとする経営手法が持て囃されていました。ビジネスプロセス・リエンジニアリングなどは、その典型と目されます。一方で、情報技術の高度化や、インターネットの普及が、アクセス可能な情報量を飛躍的に増大させたことも、こうした動きを加速させました。しかし、アクセス可能な情報力が膨大になったことは、生産性を改善するどころか、むしろ低下させることがありました。この現象は、「情報化のパラドックス」と呼ばれています。また、情報の流れにのみ着目した業務プロセスの効率化は、破壊的なダウンサイジングをもたらし、組織から思考能力を流出させる結果に終わりました。
こうした経験は、経営にとって重要な資源としての意味を持つのは、単なる情報の量ではなく、意味のある知識なのだという気づきを与えることになりました。知識マネジメントは、このような気づきを背景として、情報化のパラドックスやリエンジニアリングの挫折を克服する経営コンセプトとして期待され、台頭してきたわけです。

 では、情報と知識とでは、何が異なるのでしょうか。この点を今回詳しく振り返る時間はありませんが、最も重要な違いとして、定義上、それを使用する主体の存在を前提とするか否かにあるという点を挙げておきたいと思います。
情報は、それを使用する主体の存在を前提としなくとも、勝手に生成します。しかし、知識の存在、知っているという状態は、知っている主体を前提としなければ定義できません。つまり、知識の存在は、もともと誰の、何のための知識かという文脈から切り離せないものです。だからこそ、かつて人よりも情報の流れを重視する傾向に陥ったリエンジニアリングとは異なり、知識を経営資源として活用する知識マネジメントの視点は、知識を保有する人や組織を活かすというビジョンを拓くものになるのです。

 経営資源としての知識には、物的な経営資源とは異なる重要な特質があります。それは目に見える実体を伴わないということです。実体を伴わないという特質は、同時多重利用、つまり同時に複数の主体が利用することができるという利点を提供します。また、このような特質ゆえに、市場で取引することが困難であるため、企業が保有する固有の知識に基づく競争優位には持続可能性という重要な利点が派生します。しかし、この見えないという特質は、一方で測定することを困難にするため、経営管理の対象にし難いという問題を伴うものでもあります。
経営思想の中には、測定できないものは管理の対象にできないという見方もありますが、知識マネジメントの立場は、このような見方に与しません。また、私は「見える化」することが問題の解決につながるという立場に与しません。
目に見えず、測定できなくとも、重要な資源としての意義を持つ知識は確かに存在するのであり、我々はそれを洞察し、その活用と新たな創出を明確な経営課題として位置づけることができるのです。「知識マネジメント」という科目の意義は、そのような見えざる経営資源に対する洞察力を提供することにあると言えるでしょう。

分野: ナレッジマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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