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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > QBS科目紹介「イノベーションマネジメント」について (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

QBS科目紹介「イノベーションマネジメント」について

永田晃也 技術経営、科学技術政策

13/09/02

今回は、私がQBSで担当している「イノベーション・マネジメント」という科目の概要について紹介します。
この番組の中でも度々言及してきましたが、「イノベーション」とは、ひとことで言えば新たな価値の創出に結びつく革新です。
そのような革新には、多様な形態がありますが、資本主義経済の発展の原動力としてイノベーションに注目したシュムペーターという経済学者は、5つのタイプを挙げています。
まず、新たな製品を開発し、市場に導入するというタイプの革新です。さらに、既存の製品の製法・工程の革新が挙げられています。この二つのタイプは技術的な要素の革新を伴うものですから、今日、テクノロジカル・イノベーション、技術革新と呼ばれています。
日本では、「技術革新」をイノベーションと同義とする理解が一般化してきましたが、本来、イノベーションの概念は、より広範な革新を含むものです。シュムペーターは、新製品と新製法に加えて、新たな市場の開拓、原材料や部品等の新たな供給源の獲得、そして新たな産業組織の形成をイノベーションとして挙げています。
 これらは単に革新の事例としてランダムに列挙されたのではなく、サプライチェーンの全体をカバーするための類型として考えられたものと理解することができます。企業の内部で行われる革新が新製品や新製法の開発であり、企業の生産活動のアウトプットである製品が供給される市場で発生する革新が新市場の開拓です。また生産活動のインプットの供給源において発生する革新も、ここでは考慮されています。最後に、このようなサプライチェーンそのものに生じる革新が、新たな産業組織の形成として捉えられているわけです。

 資本主義経済が持続的に成長を遂げていく上では、イノベーションを追求することが不可欠の課題であるとされています。経済成長は、生産活動に必要な資源の投入を増大させることによっても達成されますが、そのような成長は既に限界に直面しています。そのため、諸資源を新たな形態で結合させることによるイノベーションを追求する以外に、持続的な成長の可能性を拓くことはできなくなっているわけです。

 しかし、イノベーションを創出することは、もとより容易ではありません。イノベーションは、何らかの定型的な手続きをとれば実現できるものではありませんし、むしろ計画的に導入できるような成果はイノベーションと呼ぶに値しないと言った方が良いでしょう。
 では、イノベーションを理解するために行われてきた研究の成果が、イノベーションを創出するという実践的な目的にとっては何の役にも立たないのかと言えば、そうではありません。イノベーションは、その一つ一つが極めてユニークなものですから、あるイノベーションの過程を分析することによって、その成立要因に関する知識を得ることができたとしても、それを新たなイノベーションを生み出すための手続き的な知識として直ちに応用することはできないでしょう。しかし、そうした知識に立脚して、イノベーションが生まれやすい状況を作り出すために、組織的、戦略的な変数を統制することはできるのです。「イノベーション・マネジメント」は、そのための知識を体系的に提供する科目だと言ってよいと思います。

 イノベーションは、それを創出することが困難であるばかりでなく、それが実現された後においても、経営にとっての難問を投げ掛けます。
第1に、イノベーションから得られる利益は、それを生み出した企業が十分に回収できないことがあるというもので、「専有可能性問題」と呼ばれています。
第2に、イノベーションによって競争優位を構築しても、その優位性はしばしば後発企業に奪われることがあり、持続させることが困難だというもので、「持続可能性問題」と呼ばれています。
私の講義では、こうした問題についても、既往研究に立脚して、それを回避し、あるいは克服するための組織的、戦略的なアプローチを論じています。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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