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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 稲盛会計学 (7)採算向上の原則 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

稲盛会計学 (7)採算向上の原則

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/09/20


(1) はじめに
これまで京セラの稲盛会計学の七つの会計原則のうち、六つをお話してきました。稲森氏は、経営のために、次の「七つの会計原則」を示しています。
1 キャッシュベース経営の原則
2 一対一対応の原則
3 筋肉質経営の原則
4 完璧主義の原則
5 ダブルチェックの原則
6 ガラス張り経営の原則
7 採算向上の原則
今日は最後の「採算向上の原則」についてお話しします。

(2)  採算向上の原則
採算向上の原則は七つの会計原則のうち最も重要な原則の一つです。なぜなら、企業の目的は、有益な製品・サービスを社会に提供して、社会貢献した結果として利益を追求することだからです。すなわち、企業は永続的に利益を上げながら維持発展していくことが必要であり、その前提として利益の獲得が必須の条件だからです。ここでの採算は基本的には利益と考えていいでしょう。利益を上げるためには、簡単にいうと売上を最大にして、経費を最小にすることが重要です。そこで、採算向上の原則ですが、一般的には、売上から経費を引いて利益を計算しますが、他方、稲盛氏は、次のように、売上から利益を引いたものが、経費(目標)なのです。
(一般的) 売上―経費=利益 (← 収益-費用=利益)
(稲盛氏) 売上―利益=経費(目標)
売上における売価は外部的な市場で決まります。すなわち、電気料金のように自社が一方的にその金額を決められない、市場で成立している売買価格があって、それを前提として、企業は利益を上げなくてはなりません。しかも、企業が存続するために、当然にある程度の利益率を予定します。それゆえ、その差額がコスト(経費)部分になります。そのコスト(経費)を目標に生産性を上げたり、原材料等経費を下げたりするような経営努力をします。一般的な考え方のように、はじめからコストが決まっていると仮定すると、売上からコストを引くと利益ですが、コストが高いと利益がマイナスになる危険性があります。それでは困るので、一定額の利益を先に確保できるように、経費の低減や効率性の向上に努力するのです。

(3) 採算の内容とアメーバ経営
稲盛氏が考えている採算は、前述のように、簡単にいうと利益ですが、より正確に表現すると付加価値です。付加価値の増加や利益の計上により従業員の生活の向上、商品・サービスの提供による社会の発展があるわけです。稲盛氏の経営では、これまでお話してきた会計とアメーバ経営の二つが車の両輪になっています。なお、アメーバ経営とは、小集団の独立採算制度による管理システムです。具体的には、企業の活動を小集団としてのアメーバに分け、そこをプロフィットセンターとして、独立の会社のように、全員参加型の経営を行わせるものです。そして、アメーバは利益が上がるプロフィットセンターであり、そこにおいて時間あたり採算の向上を考えます。すなわち、次のように、「総出荷」というグロスの生産高としての社外に出荷したものと社内に売った部分つまり社外社内売上の合計額を出します。それから社内買を引いて、アメーバという小集団の「総生産」(ネットの生産高)を計算し、さらに、そこから原材料あるいは外注加工品のような経費(控除額)を引きます。それが「差引売上」と呼ばれる付加価値に相当するものです。
1. 総出荷(グロス生産高)-社内買=総生産(ネット生産高)
2. 総生産(ネット生産高)―(原材料費+外注加工費等)=差引売上(付加価値)
3. 差引売上(付加価値)÷総時間=時間当り付加価値(時間当り採算)
すなわち、簡単にいうと、売上から経費を引けば利益です。その各小集団のアメーバの利益部分(差引売上)を付加価値と呼ぶわけですが、その差引売上(付加価値)を総時間で割り、「時間当り付加価値」(時間当り採算)を計算します。そして、この時間当たり付加価値の生産性を最大限にしていくような経営を行うものです。つまり付加価値の最大化の追求ですが、付加価値は売上高から原材料や加工費など外部経費を引いたものですが、それを最大化するためには、一方において受注や売上を大きく(売上を最大限に)しなければなりません。他方、その売上を最大にするための犠牲となる経費を最小限にするように努力します。そして、その差額である利益(付加価値)を最大化するような経営を行っています。このように、各アメーバがプロフィットセンターとして、全従業員の参加する形で、独立的に利益を追求するような小集団の独立採算制の経営形態のことをアメーバ経営と呼んでいます。

(4) まとめ
アメーバ経営にとっては、企業が永続的に存続発展していくために、有用な製品サービスを社会に提供する際に、採算向上の原則、すなわち付加価値(利益)が最大限になるように、一方では受注等をしっかり確保し、売上を最大化すると共に、他方においてそのための犠牲額たる経費を最小限に抑えて、その両者の差額として適正な利益を確保し続けるというのが非常に重要なことです。

〔参考〕 稲盛和夫[2009] 『稲盛和夫の実学 経営と会計』日経ビジネス文庫


分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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