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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 少子化対策 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

少子化対策

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/09/24

少子化対策は、非常に重要です。少子化が進むと人口が減ってしまう、人口に占める高齢者の比率が高くなってしまう、といった問題が生じます。少子高齢化がもたらす様々な問題については、別の機会に御話するとして、今日は少子化対策について考えてみましょう。

人口が減らないためには、一人の女性が最低二人の子供を産むことが必要なのですが、今は1.4人程度にとどまっています。これを2人にまで戻さなければなりません。ここで重要なことは、少子化対策は急ぐ必要がある、という事です。それは、出産適齢期の女性が急激に減りつつあるからです。出産適齢期の女性が減ってからでは、一人一人の女性が多くの子供を産むようになっても、掛け算をした子供の数は増えないのです。
少子化の原因は多様ですから、対策が困難なものも少なくありません。たとえば、女性の高学歴化が進んだこと、気ままな独身時代を楽しんでから結婚しようと考える女性が増えたこと、早く結婚しろという周囲の圧力が昔に比べて小さいこと、などによって晩婚化が進んでいるわけですが、このあたりは対策の打ちようがありませんね。

都会では家が狭くて子育てのスペースが足りない、という事もあるでしょう。昔は農家や自営業の人が多く、小さな子供も労働力として重宝したのですが、最近ではサラリーマンが多いので、子供を産んで労働力を確保しようという人も少なくなっています。このあたりも対策は困難でしょう。
子供を産むか否かは、個人の自由ですから、産めよ増やせよと政府が押し付ける事は許されることではありません。その意味でも、こうした要因による少子化は防ぎようが無いのです。
しかし、世の中には子供を産みたいけれども、それを妨げる事情があって産めない、という女性も大勢います。そうした場合に妨げている障害を取り除いてやる事は、本人の幸せにもつながり、少子化対策にもなるので、これは是非とも充分な対策を打つ必要があるのです。
たとえば母親が働きに出る時に子供を預かってくれる保育園が足りないので、仕事と育児が両立できない、という問題があります。女性正社員が出産で退職すると正社員での復職が難しいので生涯所得が大きく減ってしまうという事もあるでしょう。こうした点については、政府の成長戦略の中に、保育園を増やして待機児童を解消する、育児休業を3年間に延ばす、といった対策が盛り込まれています。批判もありますが、こうした対策は、出産か仕事かを迷っている女性が両方を選べるようにするわけですから、女性の就業率を高める効果と出産を促す効果が両方期待されます。
経済的な理由も、出産をためらう重要な要因ですから、十分な対策が必要です。男性の非正規雇用が増えた事が少子化の一因だと言われています。非正規社員の男性は、正社員の男性に比べて既婚率が大幅に低いのです。最近では、結婚適齢期の男性の2割が非正規社員ですから、影響は深刻です。結婚したとしても、子供を産むことが経済的に困難だ、という事もあるでしょう。食べるのに精一杯だという場合もあるでしょうが、そうでなくても最近は子供の高学歴化が進んでいて昔よりも子育てにお金がかかるので、簡単には子供を産めない、という事もあるようです。

このように経済的理由で結婚しない、出産しない、というケースについては、第一に景気を回復し、それを持続させることです。失業を減らし、学生が正社員として就職できるようにし、更には非正規雇用の人々が正社員となれるようにすれば、結婚も出産も増えるでしょう。
しかし、これは容易なことではありませんから、今少し直接的な対策も必要です。これは私の個人的な提案で、少数説ですが、思い切った金額の児童手当を支給する事で、両親とも非正規社員でも安心して子供が産めるようにするのです。たとえば、子供一人につき月額10万円の児童手当を支払えば、子供が二人いる夫婦は非正規社員でも生活して行けるでしょう。
問題は、多額の費用がかかることです。日本は財政赤字が大きいので、増税をしたり歳出を減らしたりする必要があるのに、そんな支出は出来ない、という反対意見は非常に強いでしょう。
しかし、子供は将来の納税者であり、年金の負担者ですから、少子化対策のための支出は将来戻ってくるのです。少子化対策費用は、消費ではなく投資なのです。子供を工場や機械と並べるのは失礼ですが、財政の観点からは、高齢者への年金支払いなどが消費であるのに対し、少子化対策は投資なのですから、そちらにも十分な資金を廻すべきだと思います。

今一つ、子供は労働力の貯金通帳である事も重要です。これも子供に失礼ですが、御許し下さい。現在は、失業者が大勢いて、労働力が余っています。そうした時に子供が増えると、子供用品の需要が増えて、その分だけ雇用が増えます。将来、子供が大きくなる頃には少子高齢化が進んで、日本は労働力が不足する国になっているでしょう。その時には、今の子供が労働力を提供してくれるはずです。つまり、子供は、日本経済にとって、今余っていて将来たりなくなる労働力を貯めておく役割を果たすのです。
こうした事も考えて、是非とも少子化対策を充実させて欲しいものです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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