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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > リーマン・ショックと日本経済 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

リーマン・ショックと日本経済

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/08/29

リーマン・ショックは、日本経済に大きな打撃を与えました。日本経済は、もともと需要が不足している分を外国に買ってもらっているので、輸出が減ると直ちに不況になってしまうという性質があります。人々が勤勉に働いているので多くの物が作られる一方で、人々が倹約するので、どうしても物が余ってしまうのです。

したがって、リーマン・ショックによって輸出が激減した事で、日本経済は深刻な不況に陥ったのです。輸出が激減した理由の第一は米国などの景気が悪化したこと、第二は円高になったことです。

米国の景気が悪化して米国人が節約をすると、日本の輸出は大きく落ち込む傾向があります。第一に、米国人がサービスより物への支出を抑えるからです。たとえば自動車が古くなった時、新車に買い替えるのを我慢する人は多いでしょうが、故障した車の修理をしないで我慢する人はいないでしょう。問題なのは、新車の一部は日本で日本人が生産していますが、自動車の修理は米国で米国人がやっているわけです。つまり、米国人が節約すると、米国人修理工の仕事は減らず、日本人の仕事が減るのです。

中には新車に買い替える米国人もいるでしょうが、彼らの多くは途上国製の自動車を買うでしょう。日本車は性能は良いけれども値段が高いので、倹約をしている米国人は性能は今一つでも値段が安いもので我慢するからです。こうして日本の輸出は大きく落ち込みます。

米国が不況になると円高になって日本の輸出が更に落ち込むという影響も深刻です。米国が不況になると、米国の中央銀行であるFRBは、金融を緩和します。金利を下げて、人々が借金をして投資をするように仕向けるのです。これが円高の原因なのです。米国の金利が高ければ、円をドルに換えて米国で貯金しよう、といった日本人が大勢いるので、ドルの買い注文が増えますが、米国の金利が低ければそうした日本人が減るのでドルの買い注文が減るのです。

日本では、景気が大幅に悪化したため、財政による大胆な景気刺激策が採られました。景気悪化による税収の落ち込みとのダブルパンチになり、財政赤字は大幅に膨らみました。金融政策も、日本銀行による不動産投資信託の購入といった非伝統的な手法を含めて、積極的な緩和策が採られました。そうした政策により急激な落ち込みからは比較的短期間で回復しましたが、その後も円高が続いたこともあり、景気はリーマン・ショック前の水準を回復しないまま低迷していました。最近、アベノミクスによって景気回復が加速しはじめたようですから、ようやくリーマン・ショックの後遺症を克服できるのか否か、期待されるところです。

景気だけではありません。日本の株価も大きく下がりました。景気が悪くなった分に加えて、米国の投資家が日本株を売った事によっても下がったのです。米国にはヘッジファンドと呼ばれる投資会社がたくさんありますが、彼等は借金をして様々なものに投資をしています。今回、彼等が持っている住宅ローン証券が値下がりした事で、銀行が不安になって彼等に返済を求めたのです。彼等は銀行に返済するために日本株を売ったので、日本株が値下がりしたのです。

リーマン・ショックによって、世界の経済は繋がっているという事を痛感させられました。特に株式投資で損をされた方々は、その思いが強かったのではないでしょうか。私もわずかばかり株式投資をしていますので、「どうして米国人が住宅ローンを踏み倒すと俺の持っている株が値下がりするんだ?」と言って悔しがったものです。

日本にとって、良かったことも僅かながらありました。欧米の銀行が住宅ローン証券の値下がりやリーマン・ショックなどで大きな損失を被り、自己資本が減ったため、彼らが自己資本比率規制によって貸出を大きく減らすこととなったのです。彼等が貸し渋りをした相手に日本の銀行が貸出をすることで、比較的簡単に新しい取引先を開拓する事ができました。特にアジア地域で日本の銀行の活躍が目立ちはじめています。

かつて90年代に日本の銀行がバブル崩壊で大きな損失を出した時、自己資本比率規制のために欧米で貸出を大きく減らす事になりました。その際に日本の銀行の顧客が欧米の銀行の顧客になってしまったのが大変悔しかったのですが、今回はそれとは逆のことが起きているわけです。

まとめ:
リーマン・ショックの影響で、欧米の景気後退と円高のダブルパンチを受けて日本の輸出が激減し、景気は急激に悪化しました。株価も大幅に下落しました。欧米の銀行が融資を減らしたために日本の銀行の顧客が増えた事は、数少ないプラスでした。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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