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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > リーマン・ショック (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

リーマン・ショック

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/08/28

リーマン・ブラザーズが倒産しそうになった時、人々は当然米国政府が助けるだろうと思っていました。巨大な金融機関が倒産すると影響が大きすぎるので、リーマンは「大きすぎて潰せない金融機関」だと思われていたからです。しかし、米国政府はリーマンを助けずに見殺しにしました。これは誰が考えても大失敗でした。助けなかった結果として起きた事を見れば、大失敗であった事は明らかです。

リーマンが見殺しにされた事を人々が知った瞬間から、リーマンの次に危ないと言われていたAIGとシティバンクが、世界中の銀行から矢のような返済要求を受けました。このままでは倒産してしまうでしょう。そうなれば、更にその次に危ない所が次々と返済要求を受けて倒産していくでしょう。そうなれば世界経済は崩壊です。世界中が固唾を飲んで見守っていた時、米国政府が声明を出しました。「AIGとシティバンクは米国政府が助ける。他の金融機関も潰さないから安心して欲しい」というのです。

そんな事なら、はじめからリーマンを助けていれば良かったのです。こうなる事は、容易に予想出来たのに、なぜ米国政府がそれほどバカな間違いをしたのか、本当の理由は未だにわかっていません。口の悪い人々の噂では、当時の米国政府の責任者が、リーマンのライバル会社の出身だったからだろう、という事ですが、そんな筈はないと信じたいですね。

AIGとシティバンクだけではありません。金融機関は御互いに資金の貸し借りをしなくなってしまいました。誰がどれだけ住宅ローン証券を持っているかわからないので、御互いに疑心暗鬼になってしまったのです。もしも自分が貸した相手が住宅ローン証券を大量に持っていたとしたら、その相手は倒産するかもしれません。米国政府は助けないかも知れません。米国政府は安心して欲しいと言っていますが、米国政府はすっかり信用を失っていたので、だれも本気で安心した人はいなかったのです。

ここから先は、日本の金融危機の時と似たような事が起きました。金融機関は、資金不足から貸し渋りをしました。資金が充分にある金融機関も、万が一に備えて充分な資金を手元に置いておこうと考えて、貸出には積極的になりませんでした。これに対しては、FRBが銀行に対して思い切った資金供給をして、何とか銀行の貸し渋りを解消しました。なお、FRBとは米国の中央銀行のことで、日本でいう日銀にあたります。

日本の金融危機の時には、資金不足による貸し渋りだけではなく、銀行の自己資本不足による貸し渋りも起きました。銀行には自己資本比率規制があるので、貸倒によって損失を被って自己資本が減ると、貸して良い金額がその何倍も減るので、その分は貸し渋りなどを行なって貸出額を減らさなくてはならないのです。米国でも同様の事が起きました。

日本政府は銀行の増資を引き受けようとしましたが、銀行を税金で助けるのはケシカランという反対が強く、なかなか実行できませんでした。米国でも同様の反対が強く、なかなか実行できなかったのです。

米国と日本が大きく違ったのは、バブルの後遺症が来たタイミングです。日本では、バブルが崩壊してすぐに、好況の反動として需要が落ち込みました。それから金融危機が起きるまで、数年間のタイムラグがありました。これは、銀行が不良債権を自分で持っていたため、時間をかけて少しずつ処理して乗り切ろうとしたからです。

米国では、住宅ローン証券が投資家に保有されていたため、一気に売りに出されて価格が暴落し、バブル崩壊から間もなく金融危機が発生しました。皆が一斉に売ったので、本来下がるべき所で止まらずに、必要以上に値段が下がってしまった、という面もあったようです。

米国と日本の今一つの違いは、日本の金融危機が日本だけの問題であったのに対し、米国の金融危機は世界中に大きな影響を及ぼしたという事です。米国は世界経済の中心で、ドルは世界中で幅広く使われていますから、世界的にドルの貸し借りが滞ることになると、影響は甚大なのです。

たとえば、米国には借りた資金で世界中に投資をしている会社がたくさんあります。ヘッジファンドと呼ばれているのは、その一部です。彼等が持っている住宅ローン証券が値下がったとき、銀行などは不安になって彼等に返済を迫りました。彼等は借金を返すために世界中の株を売りましたから、世界中で株価が下がりました。途上国の中には、彼等から借りていた資金を返済せざるを得なくなり、資金繰りに困る所もありました。

こうしてリーマン・ショックは世界中に大変な打撃を与えました。世界中の政府が必死に対応した結果、深刻な事態は比較的短期間で収まりましたが、その後も様々な後遺症が残りました。

まとめ:リーマン・ブラザーズが破綻すると、米国で金融危機が発生しました。90年代後半の日本の金融危機と似ていますが、バブルが崩壊して間もなく発生したこと、影響が世界中に及んだこと、などの相違点もありました。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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