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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 意思決定のプロセス、ヒューリスティック (社会心理、組織心理 /藤村まこと)

意思決定のプロセス、ヒューリスティック

藤村まこと 社会心理、組織心理

13/08/09

今日は、直感的な判断を意味する「ヒューリティック(heuristics)」についてお話します。
まず皆さんへ問題です。英語において、「r」で始まる言葉と、アルファベットの三番目に「r」が来る言葉は、どちらの方が多いでしょうか。少し考えてみてください。これはトゥベルスキーとカーネマンが1970年代に行った調査で、多くの人は、「r」から始まる言葉の方が多いと判断します。その理由は、「r」から始まる言葉の方が、思いつきやすいためです。皆さんもこちらのほうがいろいろな例が浮かぶのではないでしょうか。かし、三番目が「r」の言葉は、なかなか思い浮かびませんね。また、日本での離婚の発生比率はどのくらいかと問われたら、あなたはどのように答えますか。おそらく、離婚した夫婦が周囲に多い人の場合、高い数字を想像するのではないでしょうか。

私たちの生活では、日本での離婚率や「r」で始まる英単語の数などを、正確には把握している人はほとんどいないのではないでしょうか。しかし、日常生活では何らかの確率や頻度を推測する機会が多くあります。その際、情報を集めて判断するということはほとんどなく、たいていの場合、きっとこうだろうという直感的な判断を行っています。

■ヒューリスティックとは
ヒューリスティックとは、ある問題を解決する際に必ずしも成功するとは限らないが、うまくいけば解決に要する時間や手間を減少することができるような手続きや方法のことを意味します。よく対比されるものに「アルゴリズム」があります。こちらは、ある方法に従えば必ずその問題が解決されるという手続です。しかし、解決が保証されているかわりにしばしば多くの時間や手間を要します。

朝、自販機やコンビニで飲み物を買うとき、複数の選択肢の情報を丁寧に見る人は少ないですね。多くの人は、なんとなくという理由で目についたものや気が向いたものを選んでいます。その意思決定も直感的な判断、ヒューリスティックと呼べるでしょう。このように私たちは、さまざまな判断や意思決定において、頻繁にヒューリスティックを用いています。そして、ヒューリスティックは、必ずしも正解にたどり着けないため、判断や意思決定にバイアス(偏り)やエラー(失敗)が生じることが明らかになっています。そして、このバイアスやエラーは、とても人間らしい心理メカニズムであり、その法則性はどのようなものかが近年、注目されています。

例えば、冒頭で触れた「r」で始まる文字の数や離婚率のように、ある事象が生じる確率や頻度を判断するとき、その出来事が生じたことが容易に目につくほど、確率や頻度を高く推測します。それは、目につきやすさ、検索のしやすさ、想像のしやすさなどによって影響を受け、これは「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれています。一方で、宝くじに当たる確率など、0パーセントに近い確率については、人は少し高めに推測し、100パーセントに近い確率であれば、少し低めに推測する傾向も分かっています(確率加重関数)。確率判断の傾向として、低いものは高く、高いものは低く見積もるようですね。

■アンカリング効果
今日はもうひとつ、アンカリングについてお話します。
たとえば、福岡県の人口はどのくらいかを考えてみましょう。さて今年現在、どのくらいの人口でしょうか。考えてみてください。正解を知らない人がほとんどだと思うのですが、その数を推測してもらうとき、そのたずね方によって、推測値が変わってしまうという例です。

まずひとつめの聞き方です。先に「200万人より福岡県人口は多いと思いますか」と尋ねます。その問いに「はい」か「いいえ」で回答をしてもらった後、「それでは福岡県人口は何人でしょうか」と尋ねて、推測値を回答してもらうというものです。ふたつめの聞き方は、「800万人より多いかどうか」を先に尋ねます。そして、その後に福岡県人口の推測値を答えてもらいます。多くの人は、最初に提示された数字に影響を受けてしまいます。その結果、先に200万人より多いかと尋ねられた人たちは、800万人より多いかと尋ねられた人たちよりも、人口の推測値は小さい数字となります。

このように、最初に与えられた数字に影響を受け、推測値にバイアス(偏り)が生じることをアンカリング効果と呼びます。アンカーとは、船の碇を意味する英語です。船は、アンカー(碇)があると、その近辺から大きく離れることはできないですね。そのため、最初に提示された数字のことをアンカーと呼び、私たちはその数字の近くで推測や判断をしてしまうようです。このアンカリング効果は、ものの価値の判断の際にも生じる身近な例です。マスメディアのインタビューでも、聞き方を変えることで答えに変化が生じるかもしれませんね。また、買物をする際にも、最初に提示された価格によって、現在の価格の適正さを判断しているかもしれません。私たちの価値判断においてアンカリングが影響を与えていることを知っていただければと思います。

今日の話をまとめます。私たちは、ある事象の発生比率や頻度を正確に推測できません。そこでどのようなバイアスが関わってきているのか、ぜひ知っておいてください。

分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

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