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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの稲盛会計学(8) (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの稲盛会計学(8)

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/08/07

これまで京セラの七つの会計原則のうち、五つをお話しました。稲森氏は、経営のために、次の「七つの会計原則」を示しています。
1 キャッシュベース経営の原則
2 一対一対応の原則
3 筋肉質経営の原則
4 完璧主義の原則
5 ダブルチェックの原則
6 ガラス張り経営の原則
7 採算向上の原則
今日は六つ目の「ガラス張り経営の原則」についてお話しします。

(1) ガラス張り経営の原則
ガラス張り経営の原則とは、企業の状況をタイムリーに従業員や株主等の企業内外の人に明瞭に示しながら社員との信頼関係に基づいた経営(すなわち心をベースとした透明な経営)を行うということです。
この原則は、一般企業ではほとんど行われていない経営原則です。ガラス張りでは、開示する相手が社内と社外の両方です。社外には法令等に基づく開示がなされていますが、社内については、特に従業員に対しては開示をしていない企業がほとんどです。つまり、会社の状況をリアルタイムに従業員に開示している会社は結構少ないのです。実際は、経営幹部等だけが会社の状況についての情報をもっていることが非常に多く、彼らだけで会社の意思決定をしていることが多いのです。そして、従業員は経営者の意思決定に従って、ただ働いてくれればいいという形態がほとんどです。

(2) ガラス張り経営の原則の必要性
京セラではアメーバ経営を行っており、そこでは全員参加型の経営となっているので、会社の状況を経営者のみならず従業員にもタイムリーに知らせて、ガラス張りにしています。このことによってモラルを高めると共にベクトル合わせをしています。確かに従業員に全然情報を示さず、指示だけされても、従業員としてはその指示内容等について半信半疑になります。そこで、例えば、いま会社は非常に儲かっているから生産を増やすとか、逆に非常に苦しい、赤字だから一生懸命やらないとこのままでは会社が倒産してしまうというようなことをリアルタイムで経営者が従業員に示すことです。このように会社の状況をガラス張りして内部を固めて、従業員のモラルを高め、ベクトルを一つにして全員参加の形で経営を行うのです。

京セラでは、心の経営という独自の経営スタイルなので、従業員と経営者の間に信頼関係を保ちながら固い絆で両者が結ばれていなくてはなりません。その前提として従業員に情報開示を行います。従業員も会社の状況を理解して奮起します。そこで公明正大な経理が重要になります。ガラス張りにするには、まず実態を把握しなければなりませんが、京セラの場合には、一対一対応の原則に基づき取引が生じるごとに記帳し、売上高や経費等の会計情報をその日のうちに売上日報や経費日報等の形で集計して、翌日には開示できるシステムになっています。すなわち、翌日の朝礼で昨日の売上や経費等をリアルタイムで開示しています。このようなスピード感が経営には不可欠です。

(3) 経営者の姿勢と魂の吹き込み
ガラス張り経営において経営者が自らを律するということが非常に重要になってきます。すなわち、経営者自身が非常にアンフェアな行動、つまり贅沢をして多額の接待やゴルフなどをしていると、従業員はその経営者には付いて来ません。従って、経営者自身が自分を律して、私的流用、多額の接待、ゴルフなどをやらないことを示します。模範としてそれが従業員に対して非常に重要です。このようなよく律せられた経営者のトップとしての考え方や会社の状況等を正確に従業員に伝えるために、朝礼や会議等で常に従業員と考え方や情報をシェアします。稲盛さんの得意技ですが、よくコンパと称してお酒を飲みながら経営理念や会社の状況等のコミュニケーションを取ることによって、従業員に魂を吹き込んでいるのです。JALの再建のときもそうでした。このようなことを経営者が行うことは、非常に大変なことですが、従業員とのこのようなコミュニケーションを通して彼等に魂を吹き込んでいます。JALが再建に成功したのは、経営者がこのように現場レベルまで降りているからです。朝礼や懇親会などで従業員と経営者との間に壁を作らないのです。そういうところで下地を作り、全員で協力して会社を良くしていくことが非常に重要なのです。

(4) 外部公開
フェアな開示は、内部だけではなく外部に対しても非常に重要だと考えています。IRのような投資家への情報開示や有価証券報告で必要な情報は、外部に向けてしっかり発信します。

(5) 資本主義経済と経営者のモラルと透明性
最後になりましたが、資本主義経済における会計の役割の点からみると、今日の英米等を初めとして日本社会も単に自らの利益だけを追及するというような極めてモラルの希薄な社会になってきています。これからは、もっと経営者自らがしっかりとしたモラルをもって、社会正義を必ず守り、公明正大に透明性をもって会社運営に当たらないと資本主義経済がもたないのではないかと考えます。

(6) まとめ
今日のまとめは、健全な経営を行うためには従業員及び外部の投資家等にガラス張りにして会社の状況等をタイムリーに示して、公明正大に会社経営を行うことが必要である、ということです。

〔参考〕 稲盛和夫[2009] 『稲盛和夫の実学 経営と会計』日経ビジネス文庫

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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