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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 円高と円安 (企業財務 M&A/村藤功)

円高と円安

村藤功 企業財務 M&A

13/07/18

以前は、1ドル=360円という時代がありました。私が仕事を始めたときには1ドル=240円でしたが、年収3万ドルをいただけると言われて、喜んでアメリカのピッツバーグにあるメロン銀行本社に行きました。日本円でいうと700万円強となりますので、我ながら大学の新卒としてはすごいなと思ったものです。ところがプラザ合意によって1ドル=120円となり、私の給料も半額となってしまいました。

2007年には1ドル=120円程度でしたが、リーマンショックがアメリカで起こったことで、円高が進行しました。アメリカの日銀にあたるFRBが、ドルを2倍も3倍も発行し、金融緩和を行ったため、円が上がり、ドルが下がり、1ドル80円となりました。日本国内では、円高のままでは輸出企業が競争できないため、円安にするよう言っていたのですが、政府がどうにかできるようなものではなかったため、ずっと円高が続いてきました。

ところが、安倍首相がアベノミクスと言った途端に、日銀の黒田総裁が異次元の緩和をはじめ、円が突然沢山発行されるようになりました。その結果円安となり、輸出企業が儲かるようになり、株高が進行しました。安倍首相の支持率も上がりました。しかし、安倍総理の成長戦略に中身がなかったため株式市場が下がり、為替もまた円高に進み始めました。

そこで起こったのはFRBのバーナンキ議長の金融緩和終了発言です。バーナンキ議長が、リーマンショック以降の金融緩和を様子を見ながらやめるといいはじめたのです。そうなると、これまで世界中にばらまかれていたアメリカドルが引き上げられるため、ドルが少なくなります。ドルが少なくなると、相対的に円が多くなるので、円安ドル高へ向かうはずです。

日本企業としては、リーマンショックで円高になった結果、日本から欧米に輸出していたのでは勝てないため、中国や東南アジア、インドに工場を持っていき、そこから輸出するようになりました。アベノミクスで円安となったため、今度はアジアの工場を日本へ戻すことになるかというと、一度持っていってしまった以上、そうはできません。政治家は、工場を日本へ戻して雇用を増やすように言いますが、民間企業にとっては、ようやく海外へ移した工場を再び日本へ移すのは難しいことです。なにより日本における法人税は38%ですが、中国や韓国は25%、ヨーロッパでは23-33%という状況です。

先程お話ししました通り、今後は円安になるはずですが、ドルの発行量が減ると、ニューヨークのダウが下がります。ニューヨークの投資家は、日本の株を売却してお金を引き上げることになるので、日本の株式市場も下がります。円安になって輸出企業が儲かり株式市場が上がる要因と、ニューヨークにつられて日本の株式市場が下がって損する要因の双方があります。個人的には、円安よりもむしろ、ドルが引き上げられることでニューヨークダウが下がり、吊られて日本の株式が低迷する要因が強くなることを懸念しています。

安倍総理は成長戦略として色々なことを言いましたが、日本の株式市場が下がった以上、追加の新しい成長戦略を打ち出さなければなりません。これまでは官僚たちとの兼ね合いもあって、一番重要な部分に触れませんでした。それは、混合診療や法人税を下げるなど、皆がやって欲しかったのに、既存の反対勢力が強いので面倒くさがってやって来なかった事柄です。今後も株が上がり続けるような成長戦略が出てくるとは思えません。

今日のまとめです。
円高が金融危機以降続いていたので、日本企業は、コスト削減のために海外に生産拠点を移転しました。アベノミクス、日銀による金融緩和によって円安になって、株価が上がったと思ったら、政府の成長戦略への失望で株式市場は下がりました。バーナンキ氏が金融緩和をやめると言った以上、中長期的にはまた円安になり、輸出企業の収益力は改善します。一方でお金がなくなると、アメリカにつられて日本の株式市場も下がります。どちらの要因が強いのか、これから様子を見なくてはいけないという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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