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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 小泉構造改革 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

小泉構造改革

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/07/08

バブルが崩壊してから10年以上も、日本の景気は低迷を続けました。バブルが大きすぎて、その後遺症が続いていたのですが、それ以外にも日本経済には何か構造的な問題があるのではないか、と考える人が増えてきました。そうした中で、小泉純一郎氏が「構造改革」を掲げて総理に選ばれました。

小泉政権の掲げた構造改革には、いくつかの柱がありましたが、重要なものは、不良債権処理、財政再建、グローバル・スタンダード志向、規制改革、民営化でしたので、順番に説明しましょう。

不良債権処理は、銀行の不良債権を処理させるということです。バブル崩壊後の銀行は、借金が返せない借り手に対しても返済を待ってあげる場合が多く、しかも銀行の決算の際には将来の回収額の見込みを甘く判断する傾向にありました。これに対して政府は、第一に将来の回収額の見込みを厳格にさせました。これにより銀行には大きな損が出ます。次に、不良債権の最終処理をさせました。最終処理というのは、不良債権をきれいにする事です。通常は借り手を倒産させて担保を処分して、貸出金を出来るだけ回収して残りは諦めるのですが、場合によっては貸出債権を第三者に売ることもあります。いずれにしても銀行には大きな損が出ます。こうして銀行の決算は大幅な赤字になりました。

大手銀行が倒産するのではないかという心配から、銀行株は暴落しましたし、日経平均株価も大幅に値下がりしました。私が新入社員の時に180万円で買った株が、バブルの時には1800万円になっていましたが、小泉内閣の時には18万円にまで値下がりしてしまったのです。

小泉構造改革は、短期的に景気が悪くなったとしても将来のために必要な改革は断固として実行する、というものでしたから、借り手が倒産しても銀行が赤字に陥って貸し渋りをしても、不良債権処理を止めませんでした。最後の最後に金融恐慌が心配される直前の段階では、さすがに銀行の連続倒産を避ける手は打ちましたが、それまで頑張り続けたのです。

財政再建については、小泉氏が長期国債の発行額を増やさないという公約を掲げて総理になった事から、景気が悪化しても景気対策を行ないませんでした。景気が悪化して税収が減ったらその分だけ予算を凍結して歳出を減らすのではないかという懸念さえありました。さすがに予算凍結まではしませんでしたが、景気対策を行なわなかっただけでも歴代政権の中では異例でした。

グローバル・スタンダード志向というのは、日本的なやり方を米国的なやり方に変えていこう、という事です。当時、米国経済が世界で圧倒的だったので、世界中の国が米国の真似をしていました。そこで、米国的なやり方がグローバル・スタンダードと呼ばれていて、日本もそれを真似れば経済が良くなるだろうと考える人が多かったのです。

米国は小さな政府志向です。政府はなるべく経済に手出し口出しをしないというのが国の方針です。これを真似るということは、財政再建をする際に増税ではなく歳出削減を目指すという事になります。

小さな政府の一貫として、規制改革がありました。これは規制を減らして人々の自由に任せようというものです。経済学の主流派は新古典派と呼ばれますが、その基本的な考え方は、売りたい人と買いたい人が自由に取引をする事で経済がうまくいく、というものです。これを市場メカニズムあるいは市場原理と言いますが、この考え方に従って規制を減らして経済を活性化しようとしたのです。

民営化も、小さな政府の一貫です。国営企業よりも民間企業の方が効率的だから、民間で出来る事は民間にやらせよう、ということが発想の出発点です。その代表的な例が郵政の民営化でした。

小泉内閣が目指したのは、経済の効率化でした。無駄なもの、非効率なものを取り除いていけば経済はうまくいく、というのが根本にある考え方です。景気が悪いからと言って、公共投資を増やせば、無駄な道路が増え、非効率な建設会社が増えてしまうから、公共投資は減らしました。

民営化も、国営企業より民間企業の方が効率的だからという理由でした。

規制緩和も、大元の考え方は効率化です。たとえば駅前商店街の零細な店を守るために、大手の進出を規制するとすれば、それは経済の効率化を阻害することになりますから、避けるべきだと考えるのです。

銀行に不良債権処理を迫ることの裏にも、効率化を進めようという意図が感じられました。借金も返せないような企業は非効率に違いないから、潰した方が日本経済の効率化になる、と考えていたようです。

経済が効率化する事自体は素晴らしいことで、誰も反対しないでしょう。しかし、それによってたとえば零細商店の人々が失業したら景気が悪くなるでしょう。そうした反対意見も多かったのですが、それについては次回。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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