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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 金融危機 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

金融危機

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/07/02

1997年から98年にかけて、金融危機が深刻化しました。記憶に残るのは山一證券の廃業ですが、日本経済への影響という意味では大手銀行が相次いで破綻し、貸し渋りが深刻化したことが重要です。

銀行は、バブル期の貸出が大量に不良債権となったため、次第に経営が苦しくなってきました。政府が必死に支えてきましたが、力尽きて破綻する所が出て来ました。そしてついに、97年から98年にかけて大手銀行が相次いで破綻したのです。

銀行が破綻した事の直接的な影響は、政府が必死で抑え込みました。まず、預金は切り捨てず、全額払い戻しました。倒産した銀行の赤字分を政府が税金で穴埋めしたのです。また、銀行の営業自体は原則として継続し、借り換えを希望する借り手に対しては、原則として応じました。

しかし、生き残った銀行が二つの理由から猛烈に貸し渋りをしたため、経済への悪影響は甚大なものとなりました。

貸し渋りの理由の第一は、銀行間の資金の貸し借りが止まったことです。他行から借りていた銀行は資金不足になりますから、新たな貸出ができません。他行に貸していた銀行は、大量の現金を持っていますが、それでも万が一資金不足に陥った場合に備えて貸出をしようとしませんでした。こうした事態に際しては、日銀が大量の資金を銀行に貸し出すことによって、何とか悪影響を押さえる事ができました。

問題は、第二の理由です。銀行には自己資本比率規制があって、銀行は、自己資本の一定倍率までしか貸出をする事ができないため、自己資本が減って来ると、貸出が出来なくなるのです。

当時の銀行は、バブル期に貸出をした不動産購入資金が焦げ付いたのみならず、景気の悪化によって通常の貸出の中にも不良債権が増えて来たので、どこの銀行も自己資本が減っていました。しかし、金融危機の最中ですから、銀行が株券を印刷して増資をしようとしても簡単ではありません。

そこで、銀行の増資を政府が引き受けて、銀行の自己資本を充実させ、銀行の貸し渋りを止めよう、という案が出て来ました。表面的には銀行を助けるように見えるけれど、結局は銀行から貸し渋りを受けている中小企業が助かるのだから、中小企業のために税金を使うのだ、というわけです。

しかし、これには国民が反対しました。銀行の自己資本比率規制のことは、銀行員以外はあまり知りませんから、「銀行を助けるために俺たちの血税を使うのはケシカラン」と言って反対したのも無理はありませんが、残念な事ではありました。イソップ童話で、口ばかり美味しいものを食べているのを手が怒って、口に食べ物を運ぶのを止めてしまったという話がありましたが、似たようなことが起きたわけです。

結局、事態がどうしようもないほど悪化した段階で、銀行の増資を税金で引き受ける事が認められ、公的資金の注入と呼ばれることになりました。これにより、金融危機はようやく収束に向かいましたが、残された傷跡は非常に大きなものでした。

第一に、景気が大幅に悪化しました。バブル崩壊の直後よりも、金融危機時の方が、景気は遥かに悪かったのです。これに対しては、政府と日銀が、当時としてはなりふり構わない大胆な景気対策を行なったことで、ようやく最悪期を脱することが出来ました。

第二に、財政が大幅に悪化しました。金融機関の破綻に際して赤字分を税金で穴埋めして預金を払い戻した事、大胆な景気対策を採ったこと、などにより、当時としては大規模な財政赤字となりました。

景気の悪化も景気対策の大胆さも財政赤字の大きさも、後のリーマン・ショックの時には更に大きかったわけですが、その話は後日にしましょう。

第三に、大手銀行が数多く破綻し、残った所も業界再編によって姿が大きく変わりました。これは独り言ですが、銀行員の給料が大幅に下がったのも、元銀行員の私としては、大きな傷跡でありました。

なお、金融危機で破綻したり破綻しそうになったのは、主に大手銀行であり、地方銀行は比較的安泰でした。バブル期の地価上昇が主に東京と大阪を中心とした大都市圏で起きていた事が主因ですが、地銀の方が地元に密着していて経営基盤が確立しているという事もあるのかも知れません。

金融は経済の血液だ、と言われます。他人の仕事が円滑に回るように手助けをするのが仕事だということでしょう。血液も金融も、普段は意識しませんが、いざ止まってみると重要さがよくわかる、という点も同じです。

金融危機は、まさにこの事を実感させてくれた出来事でしたが、リーマン・ショックは更に強く感じさせてくれました。それについては後日ゆっくりと御話ししましょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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