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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > バブルの後遺症 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

バブルの後遺症

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/07/01

バブルは、政府と日銀によるバブル潰しによって、90年ころに崩壊しました。株価のピークは89年末でしたが、地価のピークや景気のピークはそれより少し遅かったので、バブルの終わった日というのが特定できないのですが、おおむね90年頃のことです。

バブルが崩壊すると、重い後遺症が残りました。まず、バブル期に盛り上がった消費や投資の反動が来ました。

バブル期に人々は住宅を建て、高級な自動車などを買いましたので、新しく住宅を建てる人も自動車を買う人も残っていなかったのです。反対に、株を持っていた人々は老後の心配をせずに贅沢をしていたので、株価が下がると急に老後が心配になって倹約をはじめました。

バブル期の企業は、21世紀は日本の時代だと信じていたので、借金をして大きな工場を建て、社員も大勢雇いました。バブルが崩壊してみると、大きすぎる工場を持っているので新しい工場を建てる必要はなく、一方で多額の借金を抱えているので返済のために投資を抑えました。若手社員が多すぎるので、バブル崩壊後は新卒の採用を手控える企業が増え、就職氷河期などと呼ばれました。
好景気の時には消費や投資が活発化するので、好景気の後には反動が来るのですが、バブル期の景気が特別良かったので、反動も特別大きかったというわけです。

バブルの後遺症の今一つは、銀行が回収できなくなった貸出、すなわち不良債権問題でした。バブル期には、不動産を買う資金を銀行が大量に貸出しましたが、地価が下がるにつれて、返済できない借り手が増えて来ました。銀行にとっては、返済されない分が増えてくると、その分だけ損になるので、赤字になってしまいます。

赤字になると、銀行の自己資本が減ります。自己資本というのは、株主から集めたお金と、過去の利益を積み立ててきた分の合計のことですが、これが減ってしまうのです。
これが問題なのは、銀行には自己資本比率規制という規制がかかっていることです。BIS規制と呼ばれる場合もあります。実際の規制は複雑なのですが、単純化すれば、銀行は貸出金に対して一定割合の自己資本を持っていなければいけないということです。これを言い換えると、銀行は自己資本の何倍まで貸出をしてよいかが決まっているのです。

銀行が潰れると、一般の企業が潰れた場合と比べて、はるかに深刻な打撃を経済に与えることになりますから、銀行が潰れないように、銀行を健全な状態に保っておこうというのが規制の理由です。ある程度の自己資本があれば、貸出金の一定割合が不良債権になったとしても、銀行が潰れることは無いはずだ、というわけです。規制の趣旨はわかるのですが、バブルが崩壊した後のように、多くの銀行の自己資本が減って来ると、この規制が経済に深刻な悪影響を及ぼすことになります。

銀行は、自己資本が減って来ると、貸しても良い金額が減ってしまうので、借入申込があっても断らなくてはいけなくなります。これが、貸し渋りと言われたものです。優良な企業、昔から長いつきあいをしている企業から借入の申し込みがあっても、貸せないのですから、銀行としても辛かったわけですが、借り手からすると銀行に意地悪をされたように感じます。したがって、銀行はケシカラン、という世論が高まりました。これも銀行にとっては辛いことでした。

貸し渋りにより、景気は一層悪化しました。設備投資をする資金が借りられずに設備投資を諦めた企業もありました。更には、借金ができずに給料が支払えなかったり材料の仕入ができなかったりして倒産してしまう企業もありました。

こうして景気は急速に悪化しました。政府は必死に公共投資などの景気対策を行ないましたが、景気の後退は防げませんでした。この時以降、公共投資は人気がなくなっていきました。巨額の公共投資を行なったのに、景気の後退が防げなかったこと、急いで大量の橋や道路を作ったので、無駄な道路なども大量に作られたこと、などが原因でした。これは残念なことでした。あれほど大きなバブルが崩壊したのですから、公共投資をしなければ、もっと深刻な不況になっていたはずなので、公共投資にも効果はあったのですが、人々の頭の中には不況になったことだけが残ったのです。

景気は、一時的に回復しましたが、97年から再び急激な悪化を見せました。消費税率が引き上げられたこと、アジア通貨危機が起きたこと、山一證券破綻をきっかけに金融危機が起きたこと、これら3つが相次いで起きたのです。金融危機については、次回御話ししましょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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