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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > LCCとネットワーク型航空会社③ (国際経営、国際物流/星野裕志)

LCCとネットワーク型航空会社③

星野裕志 国際経営、国際物流

13/07/05

 LCCといわれる低コストの航空会社が、なぜ最近多くなってきたのか。LCCのビジネス・モデルは、従来からのネットワーク型の航空会社とはどう違うのかについてお話ししました。同時に、ピーチ・アビエーション、エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンといった会社は、昨年に続々と運航を開始しましたが、なぜ日本の空は、長い間JAL、ANAによる独占体制が続いていたのかということを説明しました。今後LCCはどのようになるのか、それに対して、既存のネットワーク型航空会社はどう対応していくのかについてお話したいと思います。

 世界の航空業界を見渡すと、LCCとしての原型を作り上げたとも言えるアメリカのサウスウエスト航空は、現在アメリカ国内線において、旅客輸送数と売上では業界トップかその次に位置し、顧客の選ぶ人気ランキングではトップです。またヨーロッパ最大のLCCであるライアンエアは、輸送旅客数では世界最大になり、現在同じアイルランドのナショナル・フラッグキャリアであるエアリンガスを買収しようとしています。言ってみれば、ピーチ・アビエーションがJALを買収しようとしている構図です。このようにLCCは、もはや大手の航空会社のニッチ市場を狙うのではなく、完全に市場に確固たる地位を築いていると言えます。今後LCCはどこに向かおうとしているのか大変興味があります。

 まずLCCの動きとしては、国際線や長距離国際線への参入があります。従来からヨーロッパ内の短距離路線を中心に運航してきたライアンエアは、国際線の長距離主要幹線に参入するようですし、スカイマークも同様に、世界最大の航空機で総二階のエアバス380を発注して、来年にはニューヨーク線の開設を予定しています。ピーチ・アビエーションは、運航の初年度の昨年から国内線と同時に、ソウル、香港、台北などの近距離国際線を運航していますし、エアアジア・ジャパンも、昨年ソウル・釜山線を開設し、今年中にはエアバスA330型機を導入し、中・長距離路線の参入も予定しています。従来は短距離の需要のある路線に特化して、比較的シンプルな路線を開設してきたLCCにも、今後は国内線と国際線の乗り換え=接続輸送が発生してくるのかと思います。そうなると、拠点を中心とするネットワーク型に移行することが考えられますし、短距離国内線と長距離国際線では利用する機材が異なるので、LCCのひとつの特徴であった機材の統一も、崩れてくることになります。

 ネットワーク型の航空会社も、いままでLCCの参入にまったく手をこまねいてきたわけではありません。たとえば、チャーター専門の航空会社を作って、個人のレジャー客はそちらで扱うとか、セカンド・ブランドとしての子会社の設立なども見られました。例えば、アメリカのユナイテッド航空では、主要幹線や国際線はユナイテッド航空の名前で運航していますが、地方のローカル路線ではユナイテッド・エクスプレスという子会社がプロペラ機や小型機を中心に運航し、従業員の人件費は本社よりも低く設定されていて、競争力を高めようとしたり、TEDという名称のLCCを自ら設立して運航しましたが、ほんの数年で失敗に終わりました。このようなネットワーク型の航空会社の動きは、LCCの台頭してきた1990年代後半には顕著に見られ、英国航空、エアカナダなどでも同じような動きが見られましたが、結局価格競争に勝つことができず、親会社の市場を食い合うことになって、多くは撤退しています。

 それに対して、日本ではANAがエアアジア・ジャパンに67パーセント(議決権)を出資して、完全な子会社化していますし、ピーチ・アビエーションにも38.7 パーセント出資しています。これらの投資は、ANAブランドではカバーしきれない市場を担当することが目的としていますが、一方でアジア最大のLCCであるエアアジアが日本の市場を席捲することに、あえてたがをはめているようにも見えます。ジェットスター・ジャパンも、日本航空がオーストラリアのカンタス航空グループと同じ33.3パーセントを出資しています。LCCに対抗するために自らLCCを設立するよりも、LCCに出資することで新しい市場を獲得すると共に、共存を図ることを模索した結果かもしれません。

 今後の動きとして、LCCは各空港が建設する簡易なターミナルを利用することで空港使用料を低くしたり、さらにコスト削減に向かうのかと思いますが、これ以上のコスト削減努力は可能なのでしょうか。日本の場合には外国人パイロットの雇用が大きなコスト優位を生むわけではなく、既に国内線で機内食や新聞などのサービスを行わない既存の航空会社との大きな差別化要因があることもないので、航空需要の大きな伸びがないと、欧米のLCCに見るような成長は難しいかもしれません。

 今日は3話の最終日のまとめとして、今後LCCはどこに向かおうとしているのか、LCCの台頭に対して既存のネットワーク型の航空会社はどのような対応して、生き残りを図ろうとしているのか。LCCを中心とした今後の動向について、考えるところをお話しました。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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