QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの稲盛会計学⑤ (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの稲盛会計学⑤

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/06/25

京セラ会計学に関して、前回までに、経営のための会計原則には7つの会計原則があり、その1は「キャッシュベース経営の原則」、その2が「1対1対応の原則」というところまでお話しました。
稲森氏は、経営のために次の「七つの会計原則」を示しています。
1 キャッシュベース経営の原則
2 一対一対応の原則
3 筋肉質経営の原則
4 完璧主義の原則
5 ダブルチェックの原則
6 採算向上の原則
7 ガラス張り経営の原則
今日は3つ目の「筋肉質経営の原則」についてお話しします。

(1)  筋肉質経営の原則の意義とその目的
この筋肉質経営の原則は経営を身体に譬えたもので、要するに贅肉をそぎ取った、効率性が高くしかもコンプライアンスが効いている経営スタイルのことです。その目的は、「企業を永遠に継続的に発展させていくということ」であり、日本的には馴染みのある考え方です。日本的な経営は長期思考で、長期的に維持・発展させていくこと自体に価値を見出しています。その為に必要な原則が、贅肉をつけずに筋肉質にするということです。

(2) 見栄を張らない(倹約を旨とすること)
抽象論ですが、贅肉というのは経営や決算書などをよく見せたいという見栄や虚栄心のことです。このような見栄のためにお金を使うのは無駄なので、そういうものを全部そぎ落とすということです。例えば、中古品で間に合うのであれば中古品を使い、倹約して見栄を張らないことです。これは、限りある資源を有効利用するという地球環境の観点からも有効です。あるLCCを運営する会社では機体以外は多くのものが中古品です。飛行機は安全性の観点から新品ですが、間接費用の管理部門などは中古品を利用してコスト削減を図っています。それが、所謂贅肉をそぎ落とすということと、健全会計に徹するということの一例です。

(3) セラミック石ころ論
次に、セラミック石ころ論を稲盛さんは唱えています。セラミックは、通常はセラミック部品として商品価値がありますが、それが売れ残って在庫として存在している場合には、実質的な価値はありません。このようなものは、早く無価値なものとして、資産ではなく、費用として処理しなければなりません。以前キャッシュベース経営についてお話しましたが、キャッシュ・フローの観点からの観点と同様に、貸借対照表上の(勿論、経営に必要な設備投資等は行いますし、必要な商品・製品等は必要なだけ揃えますが)(現金以外の)不要な資産や負債を出来るだけ持たないようにします。出来るだけ貸借対照表上の不要な資産負債をできるだけ圧縮して現金、資本と利益だけが残る経営にしていくため、価値の無い資産はゼロ評価しスリム化していきます。後で使えるかもしれないと棚卸資産等を残しておくと税金が掛かり、無駄な出費がかさみます。

(4) 固定費の抑制
また、筋肉質経営のためには、固定費の抑制が重要です。例えば、会計事務所や弁護士事務所を開業する場合、(収益の額に関わらず一定額発生する)固定費を無くすために、自宅で開業し、最初は従業員を雇わないことがよくあります。そうすると、費用が(収益の額と同様に変化する)変動費だけになり経営が楽になります。固定費をできるだけ減らし変動的に掛かる費用だけで経営すると利益が上がる財務体質になります。事業が拡大し、利益が十分に出るようになってから、部屋を借りたり従業員を雇ったりしますが、それ以降についても固定費は利益が有無にかかわらず発生するので、できるだけ固定費を圧縮することが必要です。そうすると、赤字になりにくい健全な財務体質になります。

(5) 本当の利益:利益の量と質
京セラでは、濡れ手に泡を夢見た株への投資など投機的な事はしないということです。自分が額に汗をかいて働いて得た利益だけが、本当の利益だと考えています。すなわち、不労所得を真の利益と考えず、反対に、勤労所得こそ本当の利益であると考えるということです。このように、利益の量だけでなく、利益の質をも重視することが、贅肉のない安定した永続を目指す会社経営にとって非常に重要です。

⑹ 予算制度の欠点と計画の活用
予算制度は一般的に良い制度と考えられていますが、京セラでは必ずしもそのように考えていません。その理由は、売上 (収益)予算はなかなか達成が難しいのに対して、費用予算については、それは使うことが保証されていると考えられ、しばしばその予算をオーバーすることが見られ、結果として予算利益が達成できないことが多いからです。これよりも、確定した予算ではなく、あくまでも計画上の数値としての計画制度の方がより有効に会社運営が出来ると考えます。

⑺ 当座買い・一升買いの精神
当面必要なものだけを購入し使うことを「当座買い・一升買い」と呼び、これを「纏め買い」と対比して重視しています。すなわち、例えば、まとめてリンゴ10個買うと100円ですが、1個買うと15円の場合、単価当たりでは10個買うと10円で1個買うと15円です。そうすると、10円と15円比べて10個買ったほうが安いと思いがちです。ところが、そのりんごをすぐ食べてしまうのならば、全然問題はありませんが、すぐに食べないと残りの5個分ぐらいがちょっとしなびて美味しくなくなってしまいます。美味しくないから捨てようということになると結局損失になります。これと同様に、企業の場合も、必要な材料或いは必要な経費は、必要になったときだけ稟議を立てて使うようにしています。このように、必要なものを必要な時に必要なだけ購入するという「当座買いの精神」は、一見すると少し単価が高くなると考えられますが、全体としてみると、結果として無駄遣いをせず、不必要な支出が抑えられるので、非常にコスト削減のためには有効です。

⑻ まとめ
今日のまとめは、永続経営を目指した健全経営のためには、筋肉質経営が重要で、見栄を張らずに健全に着実に経営を行うことが大切であるということです。

〔参考〕 稲盛和夫[2009] 『稲盛和夫の実学 経営と会計』日経ビジネス文庫

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ