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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 災害物流「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」② (国際経営、国際物流/星野裕志)

災害物流「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」②

星野裕志 国際経営、国際物流

13/06/11


 日本は台風や水害もそうですが、毎年地震や竜巻や火山の噴火など様々な自然災害を受けながら、なぜそれらの経験から学ばないのか、普段から「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」という考えかたの重要性を認識するべきではないかとお話をしました。
 「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」というのは、自然災害や緊急時を想定して、被災地や被災者に向けた緊急支援物資の供給システムを構築するということで、特に、台風、水害、地震などの多い九州では、このような考え方が必要ということをお話いたします。
 九州はまさに様々な自然災害が毎年繰り返されていますが、さらにかつてない規模の震災が想定されています。南海トラフ巨大地震です。内閣府と中央防災会議が昨年公表した東海から九州沖を震源域とする南海トラフ巨大地震の被害は、「最悪のケースでは全国で死者32万3,000人、倒壊・焼失建物約239万棟、1,015平方キロメートルが浸水」というシミュレーションが出されています。その中でも、特に宮崎県と大分県の広い地域と鹿児島県の一部では、津波を中心とする甚大な被害を受けると想定されています。
 そのようなことから、今年の3月まで国土交通省九州運輸局の依頼で、「南海トラフ巨大地震等に対応した支援物資物流システムの構築に関する調査」に携わりましたが、非常に心配になることがいくつかありました。1995年の阪神淡路大震災、2005年の西方沖地震、2011年の東日本大震災などの震災を経験しながら、九州の各県で防災に関する備えを完成させている県は、まだひとつとしてありません。特に大分県、宮崎県といった東九州は、現在でも交通のアクセスが必ずしも良いとはいえないことから、その沿岸部が津波の被害に襲われてライフラインが途絶したならば、その救出・救援活動は、大変に困難を極めることが予想されます。
 ヒューマニタリアン・ロジスティクスでは、一般の物流システムと同様に、救援物資や医療品などの「輸送」、「保管」、「在庫管理」、「荷役」、「流通加工」、「包装」などの基本システムの構築がまず必要になります。まずどのように物資を集めて現地に輸送するのか、次に集めた救援物資をどこに保管し、適切に管理しながら必要に応じて出荷するのか、誰がその物資を積み降したり保管するのか、必要とする被災者のニーズに応じて、救援物資を詰めあわせて梱包することも必要になります。非常時には、自治体の職員だけではなくボランティアの助けは必要になるでしょうし、専門性のある物流企業の応援は不可欠になることを思うと、いかに普段からの準備が必要になるかということだと思います。
 実は同時に大変に重要なことは、被災地のニーズを適切に把握してデータベース化して、被災地から発信することです。最近被災地でのインターネットやソーシャルメディアの活用が指摘されていますが、それを組織的に行わないと、どこで何が必要とされているかがわからず、結局救援物資が届かないということになります。それが、東北で起きたこととして昨日お話した震災から1ヶ月たっても、被災地では毎日おにぎりとパンしか配給されていなかったという事実です。
 先ほどご紹介した調査報告書では、宮崎市と延岡市を対象としたシミュレーションを掲載していますが、震災の直後に宮崎市では約10万人の被災者、延岡市では6万人の被災者が、避難所や自宅に避難することになります。宮崎市の人口の4分の1,延岡市の約半分がその対象となり、両市を合わせて、最初の三日間で130万食の食事と640キロリットルの水が必要になり、その物資だけでなく輸送手段としてのトラックを確保することだけでも、大変な困難と考えられます。
 今日は南海トラフ巨大地震を例にとって、「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」の重要性についてお話をしましたが、今後どこに起きるかもわからない自然災害に向けて、特に九州各県が日頃から準備をしておく必要性があることをお分かりいただけたかと思います。最後にポイントを改めて申し上げると、各自治体の日頃からの準備と企業、NPOを含めた連携のが、災害時に有効であり不可欠であるということです。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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