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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 災害物流「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」① (国際経営、国際物流/星野裕志)

災害物流「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」①

星野裕志 国際経営、国際物流

13/06/10

 先日岩手県の大船渡市に行って来ました。コミュニティ再生のお手伝いだったのですが、東日本大震災から2年以上経過して、沿岸部はほとんど震災や津波の直後と変わらない状態で本当に胸が痛みました。大震災の一ヶ月後にも同じ場所にいたのですが、ビルや住宅の土台しか残っていない状態は、今も変わりません。もう10数年前になりますが、阪神淡路大震災から2年後というと、多くの街が再生し、駐車場などの空いた空間は目立っていたものの観光客や以前の神戸を知らない人であれば、そこで大変な災害が起きたことを気付かない人さえいたと思います。震災から同じ二年でも、それだけ神戸では急速に復興し、東北では未だに震災から脱するには時間がかかっているということかと思います。
 「ヒューマニタリアン・ロジスティクス(Humanitarian Logistics)」という言葉をご存知でしょうか。人道的な物流システムとでも訳すことができるのかと思いますが、自然災害や緊急時に、被災地や被災者に向けた緊急支援物資の供給システムの構築のことを意味します。世界では常にどこかで自然災害や戦争や紛争が起きているので、これらの被災者や難民に対して、人道的な支援を効率的かつ効果的に実施することは非常に重要なことです。そこには人の命がかかっているので、少しの遅れもなく、食料や飲料水や毛布や衣料品といった必要な物資を、必要な場所に、必要な数だけ配送することが求められています。以前にデンマークのコペンハーゲン港で、埠頭に国連機関の緊急支援物資の倉庫がいくつも並んでいるのを見たことがありますが、常に緊急時に備えた物資を集積しておくこともそうですが、日頃からそのような考え方を持って、システムを構築しておくことがとても重要です。実際にアメリカのマサチューセッツ工科大学やジョージア工科大学では、ヒューマニタリアン・ロジスティクスを教えるコースがありますが、日本はこの分野で非常に遅れていると言えます。
 日本は言うまでもなく、常に自然災害の影響を受けています。毎年の台風や水害もそうですが、地震や竜巻や火山の噴火でも犠牲者の出ないと年はないといえるほど、様々な自然の脅威にさらされていると言えます。特に九州はそうかもしれません。それにも関わらず、残念ながら日本はそれらの自然災害から多くを学習しているとは言えません。特にそう感じるのは、さきほどお話した「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」という分野です。災害が発生すると被災者を救出し、安全な場所に避難させ、必要な医療から食料や毛布などが供給し、その後被災者が日常生活を取り戻すまでの間を避難所や仮設住宅で過ごすというプロセスは、どの災害でも同じだと思うのですが、それらの国内の様々な地域で繰り返されるプロセスが、蓄積されているとは言えません。
 アメリカにはいろいろと批判も多いものの緊急事態管理庁(FEMA)という連邦政府の組織があって、かつて州や自治体に分散していた様々な機能を包括的に管理しています。それに対して、日本では一昨年復興庁が創設されましたが、この設立目的も東日本大震災からの復興であって、内閣府の防災機能も専門性は限定的であることから、今後予想される様々な災害に十分に対処できるのかはわかりません。
 2011年の東日本大震災の約1ヶ月後から約一ヶ月を岩手から宮城、福島県といった東北の被災地で過ごしました。政府の現地災害対策本部からの依頼で、被災地の緊急支援物資の供給の問題点の改善とシステムの再構築に行っていました。その時に、被災者のみなさんは、3月11日の震災から一ヶ月が経過しても、まだ毎日おにぎりとパン2個とペットボトルの配給しか受けられていなかったということに衝撃を受けました。暖かい食事の配給は皆無であり、野菜は1ヶ月で3回だけという有様でした。いまはそれこそコンビニで何でも手に入る時代ですが、これだけで1ヶ月を凌がなければならなったのです。それが、なぜ日本は多くの自然災害の経験から学ばないのかということであり、手遅れにならない内に改善をしなくてはならないということです。
 今日のまとめは、普段から自然災害や緊急時を想定して、被災地や被災者に向けた緊急支援物資の供給システムを構築する「ヒューマニタリアン・ロジスティクス」の重要性について指摘をさせていただきました。
 明日は九州ではどのような備えが必要かということについて、お話したいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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