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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの稲盛会計学④ (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの稲盛会計学④

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/06/13

(1) はじめに
前回は、京セラの稲森会計学、七つの会計原則のうち特に「キャッシュベース経営の原則」についてお話ししました。今回は、その続きで、「一対一対応の原則」についてお話します。

(2) 七つの会計原則
稲森氏は、経営のために次の七つの会計原則を示しています。
1 キャッシュベース経営の原則
2 一対一対応の原則
3 筋肉質経営の原則
4 完璧主義の原則
5 ダブルチェックの原則
6 採算向上の原則
7 ガラス張り経営の原則

(3) 一対一対応の原則
第2の会計原則は、「一対一対応の原則」です。企業経営を行う上では、必ず取引が起こります。取引が起こると物と金が動きますが、これらは決算書にまとめられないといけません。そのためにまず、伝票入力等により記帳を行います。物や金の動きを現象として捉え、それを正確に伝票に記入することで、人間の認識と合わせていきます。言い換えれば、現象(取引)と認識(記帳)とを、一対一で必ず対応させます。これは、会計処理方法として非常に重要なことです。物と金の動きを、伝票を通して複式簿記によって処理し、決算書を作成し、それを外部に公表したり内部の管理会計で使用したりします。すなわち、このことによって、決算書類の信頼性あるいは会社の信頼性を担保にしているのです。一見当然のことのようにみえますが、実際には当然のようには行われていないのが現実の世の中です。

(4) 一対一対応の原則と企業不祥事
物や金の動きは、人間の行動でもありますので、伝票と一対一で必ず対応させねばなりません。これは、経営者の指揮命令系統の下で、従業員が働いていることを示します。このように従業員が行った取引により生じた物や金の動きと伝票とを一対一で必ず対応させていないと、伝票操作や簿外処理となり、企業不祥事となり、大きな問題となる可能性があります。常に両者を完璧に対応させていれば、そういうことは絶対に起こりえないのです。

例えば、業績が悪い企業は、売上を上げたいために、期末に押し込み売上等を行うことがあります。要は伝票だけを切って、売上の実態があったように見せてしまうのです。もちろんこれは不正なことなので、買い手側と結託していないとうまくいきませんし、このようなことはあってはいけないことです。もしこういうことが可能であれば、モラルが低下することになります。そしてやがて決算数値を少し変えることも厭わなくなるでしょう。そうなると、どんどん不正が発生することになります。ガバナンスや内部統制の観点からは、このようなことが起こっては困るために、一対一対応の原則が要求されます。こうした不正は、会社に対する信頼性を損なうことにつながります。

(5) 一対一対応の原則と経営
また、決算書が会社の真実の姿を表していないと、外部の人にとって迷惑なうえに、経営者自身も本当に正しい経営状況の把握ができなくなります。内外両方へ真実の姿を映してみせるためには、一対一対応が必須となります。これができれば、稲森氏がガラス張り経営と言っていますが、経営者だけでなく従業員も会社の真実な状況をみることができます。こうなると、経営者も従業員も会社の状況を理解するので、同じベクトルを向くことができるようになります。こうした認識のための初歩の初歩のベースが、一対一対応の原則なのです。

もちろん知識としては、皆、一対一対応の原則が正しいことは知っています。しかしなかなか実行できず、不正が起こることもあります。だからこそ稲森氏の会計学では、それを絶対にやらなくてはならない、堅く守らないといけない原理原則としているのです。

(6) まとめ
今日は、稲森会計学の七つの会計原則の中の第2の会計原則である「一対一対応の原則」についてお話しました。ガバナンスや内部統制のためにも、また決算書を正しく公表し、会社の信用を獲得するためにも、これは非常に重要なものです。

〔参考〕 稲盛和夫[2009] 『稲盛和夫の実学 経営と会計』日経ビジネス文庫

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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