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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 国際経営について① (国際経営、国際物流/星野裕志)

国際経営について①

星野裕志 国際経営、国際物流

13/05/20


新しい年度になり、ビジネススクールの授業も始まりましたので、私の担当している科目である国際経営について、どんなことを教えているのかをお話ししたいと思います。

国際経営は、企業がグローバルな規模で事業を展開するにあたっての戦略やその経営環境を分析する研究分野です。グローバルな規模の事業展開には、さまざまな形態があります。まず最初の段階としては輸出が考えられることですし、その他にも、自社のもつ技術を海外の企業に供給してその対価としてのロイヤリティを受け取ることや、ノウハウを提供してフランチャイズで展開することも考えられます。これらの主体は、あくまでも本社のある自国です。そしてそれ以外に、本格的な参入を図ることを現地直接投資(FDI)と言います。

海外直接投資とは、海外に子会社を設立して、販売や生産、研究開発、資金調達、サービスなどのビジネスを行うことであり、それが数カ国以上広く行わることになると、そのような企業は多国籍企業と呼ばれることになります。日本ではソニー、パナソニック、トヨタ、ホンダなどです。

多国籍企業の研究は、1970 年代前後から本格的にハーバード大学などを中心に行われるようになったといわれています。なぜこの時期にアメリカで始まったのかと考えると、企業が本格的に多国籍企業としてビジネスを行うこと自体が、それ以前はまだまだ限定的であり、研究対象になり得ていなかったといえます。

つまりそれまでは、本国から海外に商品を輸出することが中心であり、あえて海外に拠点をもって販売や生産活動をするだけの規模で、ビジネスが存在していなかったとも言えます。輸出があくまでも本社を中心とする海外対応に対して、海外直接投資は本格的に現地を地盤としてビジネスを行うということであり、両者には大きな差があります。第二次世界大戦後アメリカが世界で唯一の豊かな市場であり、海外直接投資を本格的に行う対象は、アメリカ企業やアメリカの市場であったことから、その頃からこのような研究がアメリカで始まったと考えられます。

この複数の国で事業活動を行う多国籍企業ですが、その源流は1800 年代の半ばにも見られます。その例としてよく挙げられるのは、アメリカ企業のシンガーミシンが産業革命後の繊維工業の盛んなイギリスで生産を行ったり、アメリカの銃器メーカーのコルト社がクリミア戦争などの政情不安定なヨーロッパで生産を開始するといったように、従来のアメリカからの輸出に代えて、市場や需要のある地域で販売や生産をすることが始まりました。他にも1900 年の前後には、ベビーフードで成功したスイスのネスレがアメリカやヨーロッパ各地で工場を設立したり、ドイツの化学品メーカーのBASF も早い時期に広く海外で活動を展開しています。

なぜ本国からの輸出ではなく、海外の現地に子会社をおいて、販売や生産活動をするのでしょうか。それには様々な要因があります。早くから多国籍企業展開をしてきたネスレの場合には、スイスという本社のある国の国内市場が非常に小さいですし、オランダの家電メーカーのフィリップスも同様の理由から、自社のもつ優れた技術や経営資源をもって、海外市場に活路を見出してきたと言えます。

企業の海外展開の一般的な形態として輸出があると説明しましたが、最近でこそGATT やその後身のWTO の活動やFTA などで、貿易障壁としての関税の撤廃の方向に向かっていますが、元来は二国間の貿易には、高い関税や輸入制限などの措置がとられていました。そうなると輸入量に制限が課されたり、輸入商品に高い関税がかけられると現地の商品に対する競争力を失うことになります。あるいは、船舶や航空機で輸出するための運賃も同様に、競争力を低下させると考えると、現地の市場を確保するためには現地生産が選択されることになります。その他にも、現地で生産することで、安い労働力やさまざまな経営資源が活用できることから、現地に参入することも促進されます。

さらに、輸出をすることで、現地で適切に自社製品を販売する企業を見つけることのコストや自社ブランドや戦略を維持することの重要性を考えて、あえて子会社を設立が選択される事にもなります。現地企業に任せると、自社のグローバルな戦略やブランドイメージが必ずしも維持されない可能性もあります。いずれにしても、市場の成長性が期待できるならば、あえて輸出に比べてあえて高いリスクをとることで、より高い成果を求めるということが、海外直接投資ということになります。

今日は企業の国際経営の形態として、従来からの輸出と現地直接投資による多国籍企業化について説明をしました。

分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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