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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 産学連携における知的財産(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

産学連携における知的財産(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

13/05/28

・今回は、産学連携による技術の商業化で欠かせない『知的財産』について解説する。知的財産には、特許権、商標権、著作権などのカテゴリがあるが、今回は特に特許について解説したい。

◆特許権とは
・特許権は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち、高度なもの」と定義される「発明」に対して与えられる権利である。特許庁の審査を経て特許登録されると、出願日から20年間は独占的な権利を持つことができる。
・重要なのは、特許出願を完了するまでは、発明の内容が世の中に知られないようにすること。発明の内容が「公知」になると、原則として特許権が与えられない(アメリカは1年、日本は半年の救済期間が設けられているが、ヨーロッパは一切認められない)。
・誰かが努力して良いアイデアを生み出したとしても、それが他人に簡単に真似されるようであれば、良いアイデアを考えようとするインセンティブが無くなり、ひいては社会全体の進歩が停滞してしまう。この問題を解決するために生まれたのが特許制度なのだ。日本では近代化が進む明治18年に法律が制定されたのが始まり。当時、今のトヨタ自動車の前身である豊田自動織機を設立した豊田佐吉さんは、独創的なアイデアで新しい織機を開発していたが、苦労の成果がしばらくすると他人に真似されてしまい、そのたびに悔しい思いをしていたので、特許制度が日本に導入されたことを大いに喜んだという。

◆産学連携における特許の意味合い
・大学では、これまで存在すらしなかった全く新しい科学技術の研究成果が数多く生み出される。その中には発明としての高い価値を持つものも少なくない。
・「たら・れば」の話だが、もしも大学の発明に対して特許出願手続をせずに研究者が学会などで発表してしまい、特許が取れない状況(=つまり、独占ができない=どの企業でも参入できる=最初に資金を投じて市場参入しても競合に模倣される)となってしまったら、企業にとってリスクをとって新製品開発を行うインセンティブが大きく下がってしまう。特に、医薬品など巨額の開発投資(大型医薬品は、15年程度の開発期間と1000億円の投資が必要といわれる)が必要な領域では、特許による独占権は不可欠だ。
・従って、有望な発明については、学会などでの発表前に基本となる特許を出願する必要がある。
・現在、日本の大学の特許出願件数は、国内・外国合わせて約8,000件/年にのぼり、企業への特許ライセンスから得られる収入は約15億円となっている(平成22年度実績)。大学の特許保有と活用で日本に30年先行する米国では、特許出願件数は日本の約2倍、ライセンスによる収入は日本円換算で3,000億円を越えている。
・また、大学は特許のライセンスの対価としてベンチャーの株式を受け取る場合も少なくない。有名な例は、スタンフォード大学がライセンスの対価として保有していたグーグルの株式が、2004年の同社の株式公開によって300億円もの収入を大学にもたらしたことが知られている。

・以上のように、産学連携では特許は重要な意味を持つが、一方でそのマネジメントは容易ではない。次回はその難しさについて解説したい。

分野: 産学連携 知的財産 |スピーカー: 高田 仁

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