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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 経営にデザインを取り入れる(2) (マーケティング/高橋 幸夫)

経営にデザインを取り入れる(2)

高橋 幸夫 マーケティング

13/05/31

今回は、デザインを経営資源の一つとして捉え、活用するということはどういうことなのか、考えてみたいと思います。

(1)差別化
まず挙げられるのは、自社の製品を他社の製品と差別化するためのツールとしてのデザインです。数多くの製品がひしめく市場において、製品デザインは、消費者の注意を引きつけるための手段となります。また、新しいデザインの投入によって、まだまだ使える製品を陳腐化し、新たな需要を喚起するということも企業側で行われています。このような差別化のツールとしてデザインを用いることは、デザインの黎明期から行われており、デザインがもたらす最も基本的な効果といえます。

(2)問題解決、実用的機能を与える
デザインは、製品の美的価値と機能的価値を統合するものです。言い替えると、デザインは単に外観の美的価値を高めるものだけではなく、私たちが生活していく上で必要なこと、便利なことを解決するための、広い意味での実用的機能も満たすものなのです。実用的機能というのは、一つの分野だけではなく、様々な分野にまたがっています。デザインは、その異分野の要素をひとつのかたち、システムとして形態化し、様々な問題を解決することができます。要は、機能を「カタチ」にするのです。

(3)イノベーションの調整
イノベーションとは、技術革新のことです。デザインと技術的なイノベーションは、深い関わりを持っています。ロンドン・ビジネス・スクールのP・ゴーブ元教授は、「デザインはイノベーションをコントロールする」と語っています。このことは、デザインが製品開発と製造システムの架け橋、要するに、製品の開発と製造の分野の架け橋となることを示しているのです。実際、イタリアのフィアットでは、自動車の外観デザインが組立工程を簡素短縮化した例がありました。これは偶然ではなく、開発時点で生産を意識してデザインを行っているためです。

(4)プロトタイプ支配の創造
これは、デザインの働きの中で、企業にとって最も意味を持ちうるものであるかもしれません。デザインは、視覚的なインパクトによって消費者の注目を集めることを期待されているということを先に述べましたが、プロトタイプ創造力はこの視覚的な効果の最も大きなものでしょう。新製品が成功に至る主な要因の中でとりわけ重要なのは、市場を視覚的に「支配」する製品の「プロトタイプ」(原型、典型)をデザインすることです。消費者はこれを基準にして、新しい製品の市場を認識するようになります。つまり、市場を制覇する「顔」となる製品が生まれると、後発企業もこれに従わざるを得なくなるのです。新しい「カタチ」を創り上げた企業が優位に立って、徐々に競争構造が定まって行きます。身近な例では、Apple製品があります。たとえ、どんなに技術的に優れた製品を造り出しても、製品プロトタイプを創り上げることができなければ、市場を築くことは難しいでしょう。

(5)企業と消費者のコミュニケーション手段
消費者にとって、デザインは価格と同じように、製品の第一印象を導き出し、さらに他の製品との善し悪しを推し量るための手掛かりにもなります。またデザインは、単に製品の外観としてではなく、企業と社会、産業と文化、技術と人間との間のコミュニケーション手段としても機能します。たとえば、SONYやAppleという企業に対して、多くの人が、「先進的」、「洗練された」、「クール」、「美しい」といったイメージを持っていますが、これはいいデザインの製品から定着したものでしょう。

(6)文化的価値
文化的な価値は感覚的なものです。しかしそのデザインが、「時代を超えた価値」、「万人にすばらしい美を感じさせる」、「自然によさを感じる」といった感覚を消費者に与えることで、消費者の生活をより一層豊かなものにすることができます。消費者は、一つの製品を捉えるにあたり、その製品と自分が有する数多くの製品との組み合わせを意識します。既に所有している製品のデザインとうまく適合した製品デザインは、好感をもたれます。

デザインが注目され始めた時代には、差別化のツールのような基本的な働きしか注目されませんでしたが、次第にイノベーションの調整や企業と消費者とのコミュニケーション手段と行った、デザインの新たな働きが注目されるようになり、デザインに期待されるものも年々大きくなってきています。

今日は、デザインが企業の戦略上重要なポジションを占めてきていることと、デザインの活用方法についてお話をしました。

分野: マーケティング |スピーカー: 高橋 幸夫

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