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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 経営にデザインを取り入れる(1) (マーケティング/高橋 幸夫)

経営にデザインを取り入れる(1)

高橋 幸夫 マーケティング

13/05/30

企業経営の要素には、「ヒト」「モノ」「カネ」の三つがあるといわれています。現在では、それに「情報」も加えられています。本来は「情報とは何か」ということを定義しなければなりませんが、「情報」という言葉は様々な分野で広義にわたる使われ方をしています。
今日は、商品やサービスの価値に関するデザインの話をしたいと思います。

大量生産・大量消費の時代には、商品の価値の中で最重要なものは「機能」でした。新しい機能、優れた機能を売りにして、企業間の競争が行われてきました。やがて商品が一通り一般家庭に普及すると、機能的にはどれも同じという状態になります。これが、以前にもお話した同質化であり、コモディティ化につながるものです。そうすると、今度は差別化が必要になります。この差別化を行うために、「情報」がポイントになってきました。情報の価値を高め、デザインのクオリティを上げていくためには、デザイン・マネジメントが必要だと言われています。

イギリスでは、「クリエイティブ産業」を基幹産業の一つとして、戦略的に強化しています。これは、11のセクターで構成されています。そこでは、デザインや広告、ソフト・ゲーム、音楽、映画などの現代的なものと、芸術やアンティーク、伝統工芸などの伝統的なものとを区別することなく、同じコンテンツとみなしています。政府は国のプロジェクトとして、その育成にお金と人材をつぎ込んでおり、その結果、GDPの向上や雇用の拡大を達成しています。イタリアでは、デザインの重要性を認識している中小企業の経営者が非常に多く、デザインが発達していると言われています。またドイツでは、デザインの教育機関「バウハウス」発祥の地であり、デザインの素地が既にできあがっています。

一方、アジアに目を転ずると、中国ではデザインを新資源とみなし、デザイン教育に力を入れ出しました。中国の多くの大学がデザイン課程の設置を進めており、今も増え続けているようです。韓国では、1年で約5万人のデザイナーの卵が生まれていると言われています(日本では、その半分以下の2万人程度)。国際的なビジネス展開を視野に入れた、英語によるデザイン教育も行われているとのことです。またサムスン電子は、デザインを経営へ積極的に取り入れた結果、ブランド価値を向上させています。そして台湾では、モノ作りだけではな国が成り立っていかないということで、今後は三つの分野に特化し、世界市場で生き残っていく戦略を立てているようです。それは第一にデザイン、第二にマネジメント、第三に金融といったものです。このように、世界の各地において、デザインの重要性が叫ばれています。

日本においても、経済産業省が戦略的デザイン活用研究会を立ち上げて、デザインプロジェクトを実施するなど、デザインの重要性が徐々に認識されつつあります。企業において、これまでマーケティングの一環としてデザインが語られることはありましたが、最近では、デザインがわかる経営者を将来的に育てていくために、デザイン・マネジメントという科目が一部の大学で開講されるようになりました。これは、経営におけるデザインの重要さが認識されてきていることを示しています。さらには、経営がわかるデザイナーの育成も重要と言われています。

デザインは「情報の価値」を高めるものですが、「機能の価値」よりも「情報の価値」のほうが大切ということではありません。しかし機能に大きな差がない場合に、情報の価値が有するデザインなどが購買の決め手になります。時には、機能的には低くても、情報の価値のほうが優ることもあります。たとえば洋服の場合、「暖かい」や「新素材」は機能の部分ですが、「かわいい」や「美しい」、「高級そう」、「あのタレントが身に着けていた」などは情報の部分です。現代では、機能にお金を払う以上に、情報の価値にお金を払うことが多くなっていると言えるでしょう。

現代の消費者は、多少値段が高くても、あるいは明らかに機能的に劣っていても、自分にとってその商品の情報の価値が高ければ購入するケースが多くなっています。その情報の価値を高めるものが、デザインであり、マーケティングなのです。それによってイメージやストーリーが消費者に印象づけられて、モノが売れていくと思っています。

今日のまとめです。
デザインが企業の経営戦略上重要なポジションを占めてきていると言われて久しいですが、今回はデザインの重要性がなぜそこまで認識されてきたのかという点についてお話をしました。

分野: マーケティング |スピーカー: 高橋 幸夫

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