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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > バブルと銀行 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

バブルと銀行

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/05/17

今回は、バブル期の銀行の話をしましょう。銀行は融資をすべきではなかったのに、という反省をするので、かなり理屈っぽい話になります。
以前に御話したように、バブル期は皆が自信を持っていたので、株価や地価が高すぎるとは思っていませんでした。だから借金して株や土地を買う人が大勢いて、彼等に銀行が融資をしていたのです。
バブルの可能性を全く考えない場合には、そうした行動は合理的なのですが、「もしかしたらバブルかもしれないが、多分違うだろう」と考えている時は、話が複雑になります。

話を簡単にするために、極端ですが数字の例を出してみましょう。バブルである確率は1割で、その場合には、バブルが崩壊すると土地の値段が半分になります。しかし、残りの9割の確率で、土地の値段が更に値上がりして倍になります。
この場合、土地を買う事は、ある意味で合理的です。9割の確率で2倍になるのですから、1割の確率で半分になるというリスクをおかしてでも投資してみる価値はあるでしょう。あとは、賭け事が好きか嫌いか、という問題です。
したがって、バブル期に多くの投資家が土地や株を買った事は、結果としては損をしましたが、その当時の判断としては「馬鹿な事をした」という事ではなかったはずです。
当時は、銀行員の中にも、住宅ローンを借りて自宅を買った人が大勢いました。つまり、多くの銀行員は、一般の投資家と同様に、バブルだとは思っていなかったのです。だから銀行は不動産購入資金などを融資したのです。しかし、銀行はもっと慎重になるべきでした。その理由を考えてみましょう。
確率9割で不動産価格が2倍になります。借り手は、値上がりした不動産を売って、銀行に借金を返します。莫大な利益が手元に残ります。しかし銀行には、貸出金が戻ってくるほか、金利の収入があるだけです。
問題は、確率1割で不動産価格が半分になった場合です。借り手の多くは破産しますから、銀行は貸出金を回収することが出来なくなります。つまり銀行にとって、不動産購入資金を貸出すことは、「9割の確率で金利が儲かるが、1割の確率で元本を損する」という取引なのです。つまり、銀行は、バブルかもしれないと思ったときは、多分違うだろうと思っても、貸してはいけないのです。

銀行という所は、融資をする時に慎重に審査をします。これは、借り手が返済できても金利しか儲からず、借り手が返済できないと元本を損する、というのが銀行の商売だからです。これは、個々の会社の返済能力についてもそうですが、経済全体がバブルであるか否か、という点についても同様の慎重さが必要だったのです。
話題を変えましょう。株式会社は、借金が返せなくなった場合には、株主が借金を肩代わりするのではなく、借金を踏み倒して良い、という法律があります。これを株主有限責任と呼びます。
この制度が作られたのは、大企業が倒産した時に、たまたまその会社の株を持っているサラリーマンが泣くのは可哀想だから、銀行に泣いてもらおう、という理由ですが、この制度が無いと、サラリーマンが安心して株式投資をすることが出来ず、日本経済が発展しなくなるから、という事も理由だと言われています。

さて、投機家、つまりバクチ打ちが、バブル期に不動産を買うとします。自分が借金をして不動産を買うと、失敗した時に自分が破産してしまいます。しかし、株式会社を作って、その会社が銀行から借金をして土地を買えば、失敗しても主に損するのは銀行で、自分の損は限定的です。もちろん、株式会社を作るための出資金は失いますが、破産するわけではありません。一方でバクチに成功すれば大儲けです。
つまり、バクチ打ちが株式会社を作って借金をして土地を買うという行為は、「成功すればバクチ打ちの勝ち、失敗すれば銀行の負け」というゲームなのです。こんなゲームに銀行が参加してよい筈がありません。
もちろん、バブル期に借金をした企業の多くは、真面目な企業だったのでしょうが、中にはバクチ打ちが不動産投機の目的で株式会社を作って銀行から借金をした例も少なくなかったと思われます。道徳の先生ならば、銀行がバクチ打ちに手を貸すのはケシカランと仰るかもしれませんが、そうした問題とは別に、純粋に商売として損な商売だったわけです。

将来、バブルかもしれないという時代がもう一度来たら、その時には銀行が過去の経験に学んで慎重になる事を期待しましょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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