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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 高度成長期の遺産 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

高度成長期の遺産

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/05/14

今回は、高度成長期の御話しをしましょう。といっても、高度成長期は40年も前に終わったので、歴史の話になってしまわないように、今の私たちの生活にどのような影響しているのか、という御話しをします。
最も大事なことは、当然のことですが、高度成長期に日本が豊かな国になったので、私たちも豊かな生活ができている、ということです。今の日本経済に様々な問題がある事は確かですが、それでも日本人の生活レベルは世界の中で見ると相当高い水準にあります。それは、今の私たちが勤勉に働いているから、という面もあるかもしれませんが、それ以上に重要なことは、高度成長期に立派な工場やオフィスなどが建ったので、私たちが立派な工場やオフィスなどに雇ってもらう事が出来た、という事なのだと思います。企業としても、立派な工場などがあったから利益が出せて、それで更に新しい工場などを建てることが出来た、ということなのです。

私たちが豊かな生活が出来る、ということの次に重要な影響は、農村から都会に若者が働きに出て来た事によるものでしょう。農村では医学の進歩や食料事情の改善などによって乳児死亡率が下がり、農作業の機械化も進んだため、若者の人手が余るようになりましたが、一方で都市部では新しい工場が次々と建ったため、人手が足りませんでした。そこで、義務教育を終えた若者たちが大都会に就職しに出て来たのです。彼等は、企業にとって大変貴重な労働力だったので、「金の卵」などと呼ばれていました。
多くの若者が親元を離れて都市で暮らすようになり、彼らが結婚して家庭を持つと、従来の大家族ではなく夫婦と子供だけの核家族になりました。農村では一家総出で農作業をするのが当然ですが、都会では夫がサラリーマンとして働き、妻が専業主婦として家事と育児に従事する、という家庭が一般的となりました。こうして、家族の形態が変化したのです。
企業も変わりました。労働力が不足していたため、労働者を囲い込むために、終身雇用制や年功序列賃金などの制度を作りました。これが日本的雇用慣行と呼ばれているものです。地方から上京して身寄りの無い若者にとっては、一生雇ってくれる会社は家族のような存在であったという面もあったようです。

若者が大量に都会に出て来たことの影響として、困った事も起きています。金の卵の親たちが、当時は働き盛りだったのですが、年月が経ったので、農村で高齢化しているのです。子供たちは都会に出てしまったので、農村が高齢者ばかりになってしまっています。働き手の若者がいないと、高齢者たちの生活も不便ですし、納税者がいないので地方公共団体の財政も苦しくなっているのです。
経済の話ではありませんが、お盆休みなどに帰省ラッシュが起きるのも、かつて金の卵だった人々が故郷に帰るために発生する現象です。
選挙において、一票の格差が問題となるのも、金の卵たちの大移動の影響です。戦後、人々が大都市よりも農村部に多く住んでいた時に、選挙の区割りが決められました。その後、人口が農村部から大都市に移動した際に、区割りを全面的に見直すべきだったのですが、農村部出身の議員が反対するため、小手先の修正が行われただけでした。そこで、選挙のたびに大都市の有権者の一票は農村部の有権者の一票よりも価値が低いという事が問題とされるのです。
このことは、政治家に占める農村部選出議員のウエイトが、人口に占めるウエイトよりも高いという事を意味しています。これが政治の判断に大きな影響を与えています。TPP参加など、貿易自由化は、大都市の製造業にはプラスで農業にはマイナスですから、大都市選出の政治家は賛成しますが、農村部出身の政治家は反対します。結果として、TPPに参加しようという話が難航してきたわけです。
話題を変えて、昨年起きた笹子トンネルの事故について考えましょう。事故の原因は、老朽化が進んでいた事でした。トンネルが掘られたのは高度成長末期ですから、当時作られた道路や橋の多くは同様に老朽化が進んでいると考えるべきでしょう。問題は、現在使われているインフラの相当部分が当時作られたものか、当時計画されて安定成長期に作られたものだ、ということです。

自民党政権は、国土強靭化計画を掲げています。防災のために新たな堤防を作ることも重要でしょうが、老朽化した道路や橋などのインフラを補強したり作り直したりする事も重要です。景気対策にもなり、わたしたちの安全にも役立つ事ですので、是非とも老朽化したインフラの補強などの対応を頑張って欲しいと思います。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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