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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 株価の決まり方 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

株価の決まり方

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/05/09

上場会社の株価の決まり方については、二つの理屈があります。第一は、一株あたり純資産と株価が同じになる、ということです。一株あたり純資産は、会社が解散する時に株主に払い戻される金額なので、株価がこれより安いのは変だ、というわけです。
もちろん、実際には今少し複雑です。企業には、様々なノウハウがありますし、継続的に取引してくれる相手の存在も財産です。そうしたものが一株あたり純資産の計算には含まれていませんから、実際の株価は一株あたり純資産よりも高くなるはずです。
そこで、人々は株価純資産倍率(PBR)という数字を見ています。これは、株価が一株あたり純資産の何倍か、という割り算をした結果です。1倍より低ければ、どう考えても株価は安すぎる、というわけです。

株価の決まり方の第二の理屈は、一株あたり利益と金利から株価が決まるというものです。ある国では100円を貯金すると毎年5円の金利がもらえるとします。その国で、ある株を持っていると毎年5円の配当がもらえるとします。その株の正しい値段は100円だと考えるのです。
そこで、人々は株価収益率(PER)という数字を見ています。これは、株価が一株あたり利益の何倍か、という割り算をした結果です。株価が利益の20倍だということは、利益が株価の20分の1、つまり5%だという事なので、金利が5%の国ではPERが20倍だと丁度良い、という事になるわけです。
金利が1%の国では、PERが100倍だと丁度良いというのが理屈です。株価の1%が配当だと、金利と同じになるからです。このことは、金利が低い国ではPERが高くなる、ということを意味しています。
もちろん、実際には今少し複雑です。たとえば儲かっても配当せずに会社が設備投資に使うといった場合には、株主は配当がもらえません。しかし、設備投資をして将来大きな利益が出れば、将来の配当は大きくなるはずです。そこで、配当ではなく利益を使って計算をしているのです。
また、会社は将来発展していく楽しみがあるので、預金金利と同じでなくとも株を買ってみたい、という投資家もいるでしょう。しかし、株は値下がりするリスクがあるので、預金金利と同じなら買いたくない、という投資家もいるでしょう。
たとえば最近の日本はゼロ金利ですから、PERはとても高くなるはずなのですが、実際のPERはそれほど高くありません。ということは、株を買って配当を受け取る方が銀行に貯金するよりも得なはずなのですが、株の値下がりリスクを嫌う投資家が多いのでしょう。
もっとも、実際に解散する上場企業は多くありませんし、配当をもらうために株式投資をする人も多くありませんから、以上の理屈だけで株価が決まるわけではありません。実際の株価に大きな影響を与えているのは、「値上がりしたら売って儲けよう」という人々の投資行動です。
こうした人々は、正しい株価がどうか、というよりも、株価が値上がりするか、という事に興味があります。つまり、他の人々が株を買うのか否か、という事に興味があるわけです。

先日、為替レートを決める重要な要因の一つとして、人々の思惑があるという御話をしましたが、株価もこれと似ているのです。
そうなると、奇妙なことが起こります。たとえば、米国で株価が上がると、翌日の日本でも株価が上がる場合が多いのですが、理屈を考えるとこれは不思議な話です。米国の株価が日本企業の利益に影響するわけではないからです。こうした株価の動きを説明するのが、「他人を見て行動する投資家」の行動です。他人が何をするか、という思惑で動くのです。
多くの投資家は、「過去に米国が上がった時は日本も上がった」という事を知っています。彼等は米国株が上がった時に何を考えるかというと、「他の人々は、今回も上がると考えて買い注文を出すだろう。そうなれば株価は上がるだろう。自分も買い注文を出そう」と考えるのです。そうして今回も、米国株が上がると日本株があがる、という事が繰り返されるのです。
昨年秋、アベノミクスが始まる前の株価についても、思惑が働いていました。株価の水準は、企業の利益や景気の状況といった経済のファンダメンタルズから説明しにくいほど低かったのですが、その原因は、人々が「どうせ株価は上がらないだろう」と考えていたことでした。
このように、短期的な株価は人々の思惑で大きく左右されますから、予想することは難しいのですが、長い眼でみると、ある程度は経済ファンダメンタルズを反映した動きをします。したがって、遠い将来の経済などが正しく予測できるのならば、短期的にはともかく、長い眼で見れば予想することも出来るはずです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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