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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 為替レートの決まり方 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

為替レートの決まり方

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/05/07

次回、戦後の為替レートの推移について話すので、今回はその予習として、為替レートの決まり方について御話しします。為替レートとは、通貨の値段のことですが、ここではドルの値段の話をします。その決まり方は大きく分けて固定相場制と変動相場制の二つがあります。

固定相場制とは、ドルの値段を政府が決める制度です。日本は、戦後しばらく固定相場制で、1ドルは360円と決まっていました。
固定相場制は、毎日ドルの値段を気にしている必要が無いので、大変便利なのですが、問題もあります。たとえば、貿易収支などが赤字の国では、輸入代金を支払うためにドルを買う企業が多く、一方でドルを売る輸出企業が少ないので、輸入企業に対して政府がドルを売ってあげる必要があります。しかし、政府の持っているドルには限りがありますから、いつかは政府が持っているドルが足りなくなり、固定相場制が維持できなくなる可能性もあるのです。
一方で、貿易収支などが黒字の国では、政府がドルを買うわけですが、ドルを買うための円はいくらでもありますから、特に困った事は起きません。もっとも、貿易相手国から「政府が決めているドルの値段が高すぎて問題だから、ドルの値段を下げろ」という圧力はかかります。
固定相場制の今一つの問題は、外国の方が金利が高い時に起こります。人々が円をドルに換えて米国の銀行に貯金をしようとするため、政府が持っているドルが売り切れてしまうのです。したがって、固定相場制をとる国は、外国との間の預金取引などを禁止する必要があります。日本でも、戦後しばらくは、外国との間の預金取引などは厳しく制限されていました。

変動相場制とは、ドルの値段を政府が決めるのではなく、普通のモノと同じように、需要と供給が等しくなるようにドルの値段が決まる仕組みです。需要とは買い注文のことで、供給とは売り注文の事で、売り注文が多ければ値段が下がり、買い注文が多ければ値段が上がるという仕組みです。
問題は、ドルの需要と供給を決める要因が多様で複雑だ、ということです。最大の要因は、貿易収支です。輸出が輸入よりも多ければ、輸出企業が海外から持ち帰ったドルを売るのでドルの供給が増えて、ドルの値段が下がります。反対に輸入の方が多ければ、ドルの値段は上がります。長い間、日本の貿易収支は黒字が続いていました。したがって、大きな流れとしては、輸出企業がドルを売る事でドルが安くなっていく、という傾向が続いていたわけです。なお、貿易だけではなく、海外旅行のためにドルを買う人などの事も含めて考えるのが普通です。こうした取引を含めた統計を経常収支と呼びます。

第二の要因は、海外投資です。外国の株式を買ったりする場合もありますが、外国の国債を売り買いする場合が主です。外国の銀行に預金をする場合もありますが、プロたちは銀行に預金するよりも国債を買う方を好むようです。米国の方が金利が高い場合には、日本人が円をドルに換えて米国の国債を買うので、ドルが高くなる要因になります。これまで長い間、米国の金利は日本の金利よりも高かったので、資本取引はドル高要因となる場合が多かったようです。つまり、輸出企業が売ったドルを投資家が買って米国の国債に投資していた、ということになります。

第三の要因は、人々の思惑です。皆がドル高になると思うと皆がドルを買うからドル高になる、皆がドル安になると思うと皆がドルを売るからドル安になる、ということです。これは大変面倒なことです。人々がなぜドル高やドル安を予想するか、という理由はどうでも良いからです。
東日本大震災の後、ドル安円高になりました。日本が大災害に見舞われた時にはドルが高く円が安くなるのが理屈だと思うのですが、何故か人々はドルが安くなると思ったのです。阪神淡路大震災の後、ドルが安くなったので、その連想だったのかも知れませんが、本当の理由は不明です。
最近も、日本の金融が一層緩和されるだろうからドル高になるだろう、という人々の予想からドル高になっているのです。実際に金融が緩和される前からドル高になっていたことを考えれば、期待が原因だとわかります。更に言えば、日本が金融を緩和すると何故ドル高になるのかも、よくわかりません。いろいろな理屈を述べている人はいますが、それ自体はあまり説得力が無いようにも思えます。もしかすると、人々が間違った理屈を信じているので、ドルが高くなっているのかも知れないわけです。
こうして人々の思惑が影響するので、日々の為替レートを予想することは非常に難しく、過去の動きが説明できない事もあります。もっとも、10年、20年という期間でみれば思惑よりも理屈で動くので、過去の説明は可能ですし、経常収支などを正しく予想することが出来れば、将来の予想もある程度可能です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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