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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化を考える② (マーケティング/高橋 幸夫)

コモディティ化を考える②

高橋 幸夫 マーケティング

13/04/23

前回は、コモディティ化とは何かというお話をしました。そして、その発生原因や、脱却に向けた取り組みについて考えました。今回は前回に続いて、コモディティ化脱却に向けた新しい取り組みをご紹介します。

企業間における製品差別化のための開発競争が激化すると、製品の機能や性能が顧客の要求の水準を追い越してしまうという状況が発生します。ハーバード大学のクリステンセン教授は、このような状況を「オーバーシューティング」と呼んでいます。オーバーシューティングが発生すると、企業がコストと労力をかけて機能向上をいくら図っても、顧客はそれに見合う対価を支払おうとはしなくなります。このような市場状況における有効な方策のひとつが、後でお話しする情緒的価値の創造という取り組みです。

オーバーシューティングの身近な例として、携帯電話を挙げることができます。日本初の携帯電話は、1987年に登場しました。当時の機種は、大きくて重いために持ち運びしにくく、用途も通話に限られていました。その後、新しい機種が出る度に形状がコンパクトになり、インターネットへの接続やメール、カメラ撮影などの機能が付加されていきました。当初は、携帯電話の機能向上は顧客にとっての価値向上に直接結びついていました。ところが、多くの顧客に求められる機能が一定の水準に達してくると、それ以上に機能が高まっても、顧客価値の向上にはつながりにくくなります。このことは、製品の機能や性能が顧客の求める水準を追い越してしまうことを意味しています。これが、クリステンセン教授がいう「オーバーシューティング」です。

それでは、オーバーシューティングとコモディティ化はどのように関係するのでしょうか。まず、製品の販売当初は機能向上に比例して上昇する顧客価値が、オーバーシューティングが発生する段階からは高まりにくくなります。この状況になると、製品の差別化が困難となり、顧客が製品を選ぶ基準が価格や購買の容易さだけになりやすいのです。この減少が、昨日お話ししたコモディティ化であり、この状況が進むと価格競争が激化し、業界全体が利益を出しにくい体質になっていきます。コモディティ化からの脱却を図るための方法には、いくつかのバリエーションが考えられます。そのうちの一つは、製品の用途を変化させることで新たなカテゴリーを創出することです。たとえばスマートフォンは、コンピューターの端末として外出時に利用するという用途を付加することで、従来の携帯電話とは異なる新しいカテゴリーを作り出すことに成功しました。コモディティ化からの脱却のためのもう一つの有効な方法は、機能以外の価値を顧客に提供することです。前回お話しした「社会的価値」や「情緒的価値」が、機能以外の価値の代表的なものです。

ここで情緒的価値について考えてみましょう。たとえば皆さんは毎日、シャンプーで頭髪を洗って汚れを落としたり、ふけやかゆみを抑えることをやっていらっしゃるかと思います。このような働きは、シャンプーが提供する機能的価値に含まれます。一方、シャンプーの香りによってリラックス感を得たり、高級イメージのブランドを使用することで満足感を味わうことは、情緒的価値に相当します。

それでは、製品やブランドに情緒的価値を加えて、さらにそれを訴求するためには、どのような方策をとればよいのでしょうか。そのためには、まず、人間の感情の特徴を理解する必要があります。感情には様々な種類がありますが、ジェームス=ラッセルという研究者はそれらを「感情の円環モデル」によって整理しています。これは、横軸に快―不快次元(快感情と不快感情)を、縦軸に覚醒次元(覚醒度の高低)をそれぞれとったものです。たとえば同じ快感情であっても、興奮や喚起は覚醒度が高い感情として、平穏やリラックスは覚醒度が低い感情として位置づけられるというものです。
場面や刺激によって、発生しやすい感情は異ります。したがって、情緒的価値を創造するためには、対象商品が利用されるシーンにふさわしい快感情を選定し、それとブランド等をどのように結びつけるのかを検討する必要が企業にはあります。

今日のお話をまとめます。
オーバーシューティングが発生し、機能的価値による差別化が難しくなるという現象が、多くの市場で起こっています。情緒的価値の創造が、コモディティ化を防ぐための重要なポイントとなるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 高橋 幸夫

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