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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 情報通信技術を上手く使うために (産業政策、通信政策、通信経済学/実積寿也)

情報通信技術を上手く使うために

実積寿也 産業政策、通信政策、通信経済学

13/04/15

情報通信技術が私たちの日常生活を大きく変えつつあると言われます。本当でしょうか?今日は、これに関して二つお話ししたいと思います。

まず、情報通信技術の進歩によっても変わらないものがあるという話です。

いきなり個人的なことで恐縮ですが、地下鉄に乗るときや、コンビニでちょっとした買い物をするときに財布から小銭を取り出すということを私はここ数年来行っていません。出張時のホテルの支払や食事にはクレジットカードを使いますから、東京に一泊二日の出張にでかけても、お札やコインといった現金に全く手を触れなかったということさえあります。これは情報通信技術が電子マネーという新しい決済手段を実用化したからにほかなりません。電子マネーのおかげで私たちはポケットを小銭で膨らませることなく、快適にコンビニライフを楽しめるわけです。もうすこし、話を拡げれば、公共料金の払い込みや、家賃の支払いなども、全て銀行の通信ネットワークを流れる電子データによって処理されますし、そもそも銀行口座自体をインターネット上に開設することも可能です。情報通信技術の進歩により私たちは現金を触るという行為からどんどん離れて行っていることになります。
ただ、だからといって現金の役割がなくなったわけではありません。忘年会や新年会の支払を割り勘にするときや、お年玉をあげるとき、あるいは、初詣のお賽銭といったシーンでは、ほぼ100%現金が使われています。

このことは電子マネーという新しい決済手段の登場が、現金という伝統的な決済手段を追い出したわけではなく、それぞれが、得意な分野、より機能を発揮できる分野に集中していったことに他なりません。電子マネーは非常に便利ですが神社の賽銭箱に投げ入れることはできません。
このことは、新しい技術が導入されても伝統的な技術が完全にとってかわられることはないことを典型的に示しています。なにも、決済手段に限った話ではありません。インターネットが普及したからと言って、面と向かってのミーティングが一掃されてはいませんし、ロボットが全ての工場を無人化したわけではありません。情報通信技術の革新性がさまざまなところで主張されますが、最も機能を発揮する場で使われれば最高の成果を生むという点ではこれまでの新技術と何ら異なる点はありません。これまでの伝統的な技術、情報通信技術、そして我々人間が、それぞれ最も効率的に機能が発揮できる分野に特化することで、全体的な効率性が向上することになります。

次は、情報通信技術の進歩が大きく変えてしまったという話です。さきほどまでは、新しい情報通信技術が古い伝統的な技術と適材適所で棲み分けるという話をしていましたが、ここからは、情報通信技術によって、これまではコストが掛かりすぎるために経済的には実現不可能であったことが、合理的な経済活動として可能になったという話をしたいと思います。こういったフロンティアの拡大事例は、情報通信技術の分野では枚挙に暇がありません。手のひらにすっぽりと入るスマートフォンで世界の情報に瞬時にアクセスできるモバイルブロードバンド技術はその典型的な例です。

さて、近年、ビッグデータという言葉が新聞やテレビで聞かれるようになってきました。これは、消費者個々人の購買履歴や行動履歴、位置情報や、その近辺の気温や湿度といった環境情報、さらには心拍数や脈拍といった生体情報を大量に集積して、統計処理を行い、精密かつ正確な将来予想を行うことで、マーケティングの効率性を改善したり、鉄道や電力といった巨大な産業システムの効率的運用を可能にしたりすることを目指した試みです。消費者一人ひとりのデータや、市場のデータ、あるいは環境のデータを大量に集めて処理すれば正確な将来予想を描くことができ、将来予想の正確さが改善すれば、システムの効率的運用のために活用できるということ自体はずっと以前からわかっていました。ただ、これまではその実現のために投入すべき資源が膨大なため、経済的に引き合わなかったわけです。情報通信技術は、データ処理の技術ですから、それが進歩したことにより、膨大なデータ処理を必要とするビッグデータを経済活動に実際に役立てることが可能になったというわけです。

新しい技術である情報通信技術を上手く使うためには、これまでの技術に代替して使う局面を正確に分析し的確な意思決定を行うこと、さらに、これまでは不可能とされてきたけれども、情報通信技術によって新しく可能になった局面を冷静に見極め、ビジネスに上手く組み入れること、という二つの面に注意していかなくてはなりません。

分野: 産業政策・通信経済学 |スピーカー: 実積寿也

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