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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 金利の決まり方 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

金利の決まり方

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/04/10

次回は戦後の金利の推移について御話しますので、今日はその予習として、金利の決まり方について御話します。
金利には様々なものがありますが、一番基本となるのは銀行相互の貸借の際の金利で、短期市場金利あるいは単に市場金利と呼ばれます。無担保コール翌日物という言葉を聞いた事があるかもしれませんが、これは短期市場金利の中の一つです。
金利はオカネの値段ですから、普通のモノと同じように、需要と供給が等しくなるように決まります。この場合の需要とは、借りたい銀行のことで、供給とは貸したい銀行のことです。つまり、たとえば市場金利が2%だということは、2%ならば借りたいという銀行と2%ならば貸したいという銀行が同じだけいる、ということになります。もちろん同じというのは実際の銀行の数ではなく、借りたい金額の合計と貸したい金額の合計とが同じという意味です。

市場金利は、日銀がコントロールしています。日銀は金融政策決定会合という会議を開いて、市場金利を何%に誘導するかを決めます。そして、金利が目標に近づくように、毎日のように資金を供給したり引き揚げたりしているのです。こうして日銀が金利をコントロールする事を金融政策と呼びます。
景気が悪いときは、市場金利を引き下げて、人々が借金をして工場や家を建てるように誘導します。これを金融緩和と呼びます。市場金利を下げるために、日銀は銀行に命令するわけではなく、銀行に資金を供給することで銀行間の資金の需要と供給の関係を変化させるのです。具体的には、日銀が銀行に貸出を行うこともありますが、実際には日銀が銀行の持っている国債を買い取る事で銀行に資金を提供する場合がほとんどです。
反対に、日銀が市場金利を引き上げて、人々が借金をして工場や家を建てるのを諦めるように誘導する事もあります。これを金融引締めと呼びます。これは、景気が良すぎてインフレが心配な場合に、景気をわざと悪くしてでもインフレを防ぎたい、という場合です。日本では、バブルが崩壊してから20年以上もインフレの心配がありませんでしたから、金融の引締めは行われていませんが、バブル潰しの時には厳しい金融の引締めが行われましたし、それ以前にはインフレ抑制のための引締めも折に触れて行われていました。
金利を考える際には、物価上昇率を差し引いた「実質金利」という考え方が重要です。金利が10%でも、物価が20%上がる国では、皆が借金をしてモノを買うでしょうから、それでは金融引締めとは言えず、むしろ金融が緩和されていると言えます。一方で、物価が下落している国では、実質金利を充分下げる事ができず、金融緩和の効果が期待しにくいのです。

市場金利が決まると、銀行はこれに人件費などを上乗せして貸出金利を決めます。コストには、人件費、光熱費、減価償却費などのほか、銀行には特有のものがあります。それは、貸倒償却予想額です。銀行は融資に際して慎重に審査をしますが、それでも一定割合の貸倒が生じます。そこで、その割合を予想して、全ての借り手から少しずつ多めに金利を貰っておくのです。ここで難しいのは、将来景気が悪くなると、予想以上に貸倒が増えてしまうので、銀行が赤字になりかねない、という事です。
銀行は、コストだけではなく、当然ながら利益の分も上乗せします。もっとも、あまりガメツく利益を上乗せすると、ライバル銀行よりも高い金利になって借り手が逃げてしまうので、ほどほどです。
これは、魚屋さんが魚市場で仕入れた魚を売る時と同じです。仕入れ値に、コストを加えて、売れ残って腐ってしまう分もあらかじめ値段に上乗せして、それに多少の儲けを乗っけて売る、というわけです。
預金についても、考え方は同じです。他の銀行に貸出す事を前提に預金を集めるとすると、市場金利からコストと利益を差し引いた金利を預金者に支払う事になります。売値が先に決まって、仕入れ値を決めるというのは不思議な気もしますが、理屈はそうなのです。
もっとも、最近の市場金利は殆どゼロなので、利益ばかりかコストも差し引く事が出来ません。つまり、銀行の預金部門は赤字なのです。そこで銀行は、預金者に投資信託などの購入をしきりと勧めます。投資信託を売れば、その分だけ銀行には手数料収入がはいり、黒字になるからです。
なお、金利には、長期金利と呼ばれる物もあります。たとえば10年間の借金をする際に、はじめに決めた金利を10年間払い続けるというものです。こうした金利は、日銀がコントロールしないので、文字通り需要と供給が一致する所に決まります。長期金利には様々な要因が影響していますが、実際には短期金利と似たような動きをする場合が多いようです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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