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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦後日本経済略史② (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

戦後日本経済略史②

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/04/09

前回は、終戦からバブルまで右肩上がりだった日本経済が、バブル崩壊後は一転して長期の低迷を続けている、という御話しをしました。今回は、バブル前と後がなぜ大きく異なっているのか、考えてみたいと思います。

バブルまでは、物が良く売れました。だから企業は物を作りました。そのために人を雇ったので、雇われた人は給料をもらって物を買いました。また、企業は新しい工場を建てました。工場を建てることは、それ自体がセメントや鉄や機械の需要ですから、一層需要が増えました。一方で、工場が出来れば生産力が上がるので、供給も増えました。
経済が成長していたので、サラリーマンの給料は順調に上がっていき、人々の暮らしは急速に豊かになっていきました。一方、サラリーマンの給料は企業の賃金コストですから、企業の賃金コストは上昇しました。しかし、企業は大丈夫だったのです。第一の理由は、新しい工場で新しい機械を使って生産すると、労働者1人当たりの生産量が増えるからです。これを労働生産性が向上した、と呼びます。第二の理由は、企業が成長すると新入社員が大量に入社しますが、年功序列賃金ですから新入社員は給料が安かったからです。成長している企業は、若い社員の比率が高いので、社員1人あたりの賃金コストはそれほど高くないのです。
経済が成長していたので、企業は安心して大きな工場を建て、終身雇用で人を雇いました。一時的に不況が来たとしても、しばらく待っていれば売上が戻る事が確実だったからです。
政府の財政も健全でした。経済が成長すると税収が増える一方で、景気対策や失業給付が不要だったからです。高齢者が少なかった事も財政が健全であった一因でした。
海外との関係も、恵まれていました。米国は圧倒的に進んでいましたが、米国人は給料が高かったので、日本製品は給料の安さを武器にして輸出を伸ばすことが出来ました。一方で、アジア諸国などは工業化が進んでいなかったため、日本製品と競合するような物は作れなかったのです。
日本が欧米に追い付く過程であった事も、プラスに働きました。欧米の技術を導入して新しい工場を建てて、欧米で売れているものを作れば成功する事が約束されていたからです。
こうして、終戦からバブル期までは、需要と供給がバランスよく拡大していったのですが、それを支えたのは勤勉で倹約家という日本人の性質です。日本人が怠けていたり贅沢をしていたりしたら、工場を建てる資材も資金も出てこなかったでしょうが、勤勉で倹約家だったから新しい工場を次々と建てる事が出来たのです。

バブル崩壊後は、こうした好循環がすべて逆転してしまいました。まず、物があまり売れないので企業は物を作らず、したがって人を雇いません。そこで、失業した人が物を買わなくなったのです。企業が物を作らないので、新しい工場を作る必要もありません。そこで、セメントや鉄や機械の需要も落ち込みました。
失業者が多く、労働力の需給が緩んでいるので、賃金は上がらず、むしろ最近では下がっています。したがって、物価が安定していても生活は楽にはなりません。
企業が成長しないので、新入社員が少なく、社員の平均年齢が上昇しています。そうなると年功序列賃金ですから社員あたりの賃金コストが上昇していきます。そこで、リストラをせざるを得ない企業も出てくるのです。
ゼロ成長時代になったので、企業は設備投資や正社員の採用に慎重になりました。大きすぎる工場を建てたり正社員を雇い過ぎたりすると、ずっと過剰な設備と人員を抱え続けなければならないからです。
政府の財政は、赤字が膨らんでいます。経済が成長しないので税収が増えない一方で、景気対策の支出や失業手当の支給などが増える一方だからです。高齢者が増えて、年金や医療費の支払いが増えた事も財政を悪化させる一因となっています。
海外との関係も大きく変化しました。まず、日本の賃金水準が上がったので、賃金の安さを武器に輸出をする事が出来なくなりました。一方で、アジア諸国が安い賃金を武器にして日本に輸出攻勢をかけてきています。
技術力が先進国に追いついてしまったので、欧米の技術を導入すれば簡単に成功できる、ということも無くなりました。
こうして需要が不足するようになると、勤勉と倹約という日本人の美徳がマイナスに作用するようになりました。大量に物が作られて、しかも売れない、という事になったからです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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