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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 戦後日本経済略史① (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

戦後日本経済略史①

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/04/08

はじめに自己紹介です。銀行の調査部門で、景気の予測などを長い間担当していたのですが、2005年に銀行を退職して久留米大学の先生になりました。
この3月に『よくわかる日本経済入門』という本を出しましたので、その内容に沿って日本経済に関する御話しをしていきたいと思います。今日は第一回なので、戦後の日本経済の歴史を振り返ってみましょう。

1945年に第二次世界大戦が終わってから、今年で68年になりますが、この期間は1990年までの45年間とその後の23年間に大きく二分されます。1990年というのはバブルのピークの時期で、それ以降の日本経済は長期的な低迷に悩んでいますが、それまでの45年間は右肩上がりの成長を続けていたのです。
最初の10年は、戦後の復興期です。戦争で焼け野原になってしまったので、家や工場を建て直す必要があったのですが、建築の材料はもちろん、食べる物さえも充分にない中で、皆が必死に働きました。その結果、10年ほどで戦前の経済の水準にまで戻ることが出来たのです。
次の20年弱は、高度成長の時代です。新しい工場が次々と建ち、生産力が伸びると同時に庶民の生活も目に見えて豊かになっていきました。テレビや冷蔵庫や洗濯機が急速に普及し、東京オリンピックが開かれ、新幹線や高速道路などが次々と建設されていきました。
高度成長期が終わっても、日本経済は成長を続けました。安定成長期と呼ばれる時代が十数年続いたのです。高度成長期は毎年10%近い経済成長率でしたが、安定成長期でも毎年4から5%の経済成長をしていましたから、今から考えれば充分な成長率でした。
安定成長期の最後、1987年頃から90年頃までが、バブル期です。土地や株の値段が猛烈に上がり、後から考えれば「どうしてあれほど高くなったのだろう」と不思議に思うわけですが、当時の日本人は自信過剰でしたから、「日本経済は世界一だから、土地や株が高いのは当然だ」と考えていたのです。バブル期は景気も絶好調でした。
終戦からバブルが終わるまで、日本経済は順調な成長を続けました。需要と供給がバランスよく伸びていたのです。工場が建つと生産すなわち供給が増えますが、同時に工場で働く人が増えて給料をもらって消費をしますから、需要も増えたのです。

バブルが崩壊すると、一転して日本経済は長期低迷期にはいります。最初はバブル期の好景気の反動で需要が減りました。バブル期に人々は立派な家を建て、車を買いましたし、企業は工場を建て、人を雇いましたから、新しく家を建てる人も車を買う人も工場を建てる企業も残っていなかったのです。
しばらくすると、銀行の不良債権が増えて、金融危機が起こりました。バブル期に土地を買う代金を銀行が貸出していましたが、バブルが崩壊して土地の値段が下がると、借金を返せない借り手が増えてきたのです。貸出金を踏み倒された銀行は巨額の損失を出しました。1997年から98年にかけて、大きな銀行がいくつも潰れましたし、潰れなかった銀行も貸し渋りをしたので、中小企業が借入が出来ずに大変困ったのです。
政府が必死の対策を採ったため、金融危機は何とか収まりましたが、その後の日本経済も、決して元気にはなりませんでした。国内の景気が少し元気になった頃に海外の景気が悪化して輸出が減り、国内の景気もつられて悪化してしまう、という事が繰り返されているのです。2000年には米国のITバブルが崩壊しましたし、2008年には米国でリーマン・ショックが起こりましたし、昨年は欧州の景気が財政危機により後退しました。

日本経済が長期にわたって低迷を続けている理由については、様々な考え方があり、いろいろな論争が行われていますが、私は需要が足りない事が原因だと考えています。
日本人は、勤勉に働いて、贅沢をせずに倹約をします。それは良い事なのですが、全員が勤勉に働くと大量の物が作られ、全員が倹約して物を買わないと、作られた物が売れ残ってしまうのです。全員が良い事をすると全員がヒドイ目に遭うことを、経済学の難しい言葉で「合成の誤謬」と呼びますが、まさに日本経済はそうした状態なのです。
物が売れ残った分は、外国に買ってもらうしかないので、外国の景気が悪化して輸出が減ると、すぐに日本の景気は悪化します。売れ残ると企業は生産を減らすので、雇用が減ります。失業が増加するわけです。そうなると、景気が悪いので政府には税金がはいりませんし、失業対策の公共投資を行ったりしますから、財政が赤字になります。長期にわたる経済の低迷の結果、毎年の財政赤字が政府の借金として積み上がっていて、政府が借金を返せるのか、不安に思う人も増えている状況です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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