QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > クルーズの経済効果 (国際経営、国際物流/星野裕志)

クルーズの経済効果

星野裕志 国際経営、国際物流

13/03/28


最近博多港に行くとよく大型クルーズ船が停泊しているのを見かけますし、周辺ではクルーズに行ったという話が聞かれるようになりました。世界のクルーズの中心はカリブ海を中心とする北米・中米ですが、最近アジアの市場も大きく成長していることを昨日はお話しました。

昨年の外国企業の運航するクルーズ船の日本への寄港は、全体で409回でした。様々な政治的な問題の中でも、2007年の270回と比較しても、大きく増加していることがわかります。409回の日本全体の寄港回数の中で、特に注目すべきところは、九州がその半分近い182回であり、博多港の71回が日本で最も多い寄港回数であったことです。次が長崎の59回、沖縄の那覇の53回でした。

なぜこれだけ九州沖縄に多いのかといえば、寄港地としての魅力ももちろんですが、それには理由があります。外国籍の船舶や航空機には、「内国間輸送の禁止=カボタージュ」という法律があり、日本国内で載せた乗客を単純に国内の目的地に輸送することができないのです。外国の航空会社が国内線に参入できないのもこの法律によります。例えば、エアアジアというマレーシアの会社が日本に参入した時には、エアアジアジャパンという日本の子会社を設立する必要がありました。

話が少しそれてしまいましたが、そうなると日本を発着地とする外国企業のクルーズは、必ず日本から出て海外の港に寄港して、戻ってくる必要があります。その点、九州発着であれば、韓国の釜山や済州島(チェジュ)、上海などに寄港して、1週間程度のクルーズを企画することができますが、東京や横浜などであればかなりスケジュール的に厳しいことになります。石垣島の寄港回数が年間50回というのも、九州から台湾に向かう途中の寄港地として位置づけられているからです。

次に、クルーズ船の経済効果についてお話します。クルーズ業界の統計によると、クルーズ会社への払込費用でもっとも大きなものは、クルーズ代金で全体の7割を占めていますが、船内での飲酒や買い物やカジノの利用などが残りの約3割を占めています。その他にクルーズの経済効果として寄港地に期待できるのが、乗客の陸上での観光、飲食や買い物などの消費です。福岡市の2010年の調査によれば、2009年に博多港に寄港した中国発着のクルーズ24隻の福岡市への経済効果は、直接効果と間接効果を合わせて10億6千万円で、一隻にあたり4,400万円になるそうです。乗客一人あたりの平均消費額は、2009年には33,000円、2010年では44,000円と言われていますが、国内の消費の大幅な伸びが期待できない中で、海外からのクルーズ船の乗客の消費はとてもありがたいといえます。福岡市内などで、外国人を見かける機会が増えましたが、博多の場合は明らかにクルーズ船の乗客の中国人と高速旅客船やフェリーでプサンから来日する韓国人で、この2つが大きな購買力を持っています。

もう25年くらい前になりますが、海運会社でクルーズ事業を担当していたことがありますが、その時に日本でクルーズが定着するかどうかを観光学を専門とする研究者にヒアリングに行ったことがあります。その時のその先生のご返答は、日本の休暇の取得パターンから日本では絶対にクルーズは定着しないということでした。

その理由は、日本では年末年始と夏休みに年間2回の長期休暇が取れるとすれば、それは先進国ではイタリアと同じパターンでありほとんど帰省に使われるので、クルーズはむずかしいということでした。そう考えると、この25年の間に、日本人のライフスタイルを含めて休暇の取り方は、相当に変わってきたと思います。年末年始と夏休みに加えて、長い春のゴールデンウイークや秋のシルバーウィーク、振替休日のハッピーマンデー制度による三連休が定着してきているので、クルーズに多い一週間単位の休暇も取りやすくなったと言えます。その先生の説は、見事に覆されたことになります。

福岡市では、博多港に年間で250隻のクルーズ船が入港し、大きな経済効果をもたらせてくれることを期待しています。これから博多港を中心として、クルーズ船の寄港を定着させるためには、中国をはじめとする海外からの寄港を待つだけではなく、日本人のクルーズの利用を高めて、博多港をクルーズ船の寄港地として確立させることが必要になります。それが福岡での消費を呼び込み、経済効果として期待できることになります。

今日は福岡で増加しているクルーズ船の経済効果についてお話しました。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ