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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 米国の景気と日本経済 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

米国の景気と日本経済

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/03/14

今日は、米国の景気が日本経済に与える影響について御話します。

前回、米国の景気が病み上がりで、水準としては元気だとは言えない、という御話をしましたが、それが日本経済に大きな影響を与えているので、その理由について御説明しようと思います。

まず、米国人が倹約をすると、輸入が減ります。米国の貿易収支は赤字で、米国人は大量の外国製品を買っていますから、米国人が自動車などを買わなくなると、外国の自動車メーカーなどの売り上げが落ち込む事になります。一方、米国人の受けるサービスは、米国内で米国人が提供するものです。たとえば自動車修理工場は米国内にあります。

問題は、米国人が節約をする時に、サービスの支出は物の購入費に比べて減り方が少ないことです。たとえば自動車が古くなっても買い替えないで我慢する人は多いでしょうが、自動車が故障しても修理しないで我慢する人は少ないでしょう。ですから、米国人の勤める自動車修理工場は仕事が減らず、日本人の勤める自動車メーカーの仕事は減るのです。更に、米国人が倹約をすると、日本車を買わずにメキシコや韓国の自動車を買う可能性があり、日本にとっては更に打撃です。日本車は品質は良いのですが価格が高いため、不況期になると苦戦するのです。

対米輸出だけではありません。日本の部品や設備機械は優秀なので、世界中で使われています。そこで、中国などの対米輸出が減ると、日本の中国などへの部品や設備機械の輸出も減るのです。

特に大きく減るのが設備機械です。たとえば中国に洋服を作る機械が10台あり、10万枚の洋服を米国向けに輸出しているとします。この機械は日本製で、10年で買い替えるとすると、毎年1台を日本から輸入している事になります。そうした時に、米国の中国からの洋服の輸入が1割減って9万枚になったとします。中国の工場は、9台の機械で9万枚の洋服を作って輸出するでしょう。昨年10台動いていた機械のうちで1台は買い替え時期なのですが、今年は9台あれば充分なので、機械は買いません。そうなると、日本から中国への機械の輸出はゼロになります。米国の洋服の輸入が1割減っただけなのに、日本の機械の輸出はゼロになってしまうのです。

日本の輸出を考える際には、外国為替相場、すなわちドルの値段も大切です。そして、米国の景気が悪くなると円高ドル安になり、日本の世界への輸出が減る事になるのです。

ドルの値段の決まり方は複雑ですが、その一つはドルの金利が下がるとドル安円高になる、という事があります。米国の金利が下がると日本人がドル預金などをしなくなるので、ドルを買う日本人が減ってドルが安くなる、というわけです。

米国の景気が悪くなると、米国の中央銀行は金融緩和をします。米国の金利を下げて、人々が借金しやすくすることで住宅投資や設備投資を増やしてもらおう、という政策です。そうなると円高ドル安になります。

更に悪い事には、金融の世界では皆が安くなると思ったものは皆が売るので実際に安くなる、という事が起こります。「米国の景気が悪いとドルが安くなる」という事を皆が知っていると言う事は、米国の景気が悪くなると皆がドルを売るという事になります。こうして大幅なドル安円高が進みかねないのです。そうなると、日本の輸出は一層難しくなります。

つまり、米国の景気が悪くなると、日本製品を買う人が減るだけでなく、ドル安円高になるので日本企業が輸出しても儲からないようになるのです。日本にとってはダブルパンチです。リーマン・ショックの時には、米国のバブル崩壊で米国人が節約をしたため、米国の景気よりも日本の景気の方が悪影響を大きく受けました。

戦後、日本経済が貧しかった頃、「米国が風邪をひくと日本が肺炎になる」と言われていたようですが、最近の状況は正にその通りです。もっとも、理由は大きく異なります。

当時の日本は、ドルが不足していたので、必死に輸出をして稼いだドルで石油などを輸入していました。そこで、米国が不況になって日本製品を買ってくれないと、日本が石油などを輸入する事が出来ず、景気をわざと悪くして人々が石油などを使わないようにしていたようです。

その後、日本がドルを充分稼げるようになると、この言葉は忘れられていました。日本の景気は、石油ショックやバブルなど、米国と関係ない原因で動いていたのです。しかし、最近になって再び思い出されて来ました。

最近の日本は、ドルは充分にあるのですが、国内の需要が足りないので、輸出が減ると直ちに景気が悪くなってしまうのです。2000年に米国でITバブルが崩壊した時もそうでしたし、今回のリーマン・ショックの時もそうでした。今後の日本の景気も、米国の景気に大きく左右される可能性は大きいと思います。米国の景気には要注目です。

まとめ: 米国の景気が日本の景気に与える影響は、非常に大きなものです。米国の景気悪化は、日本製品の対米輸出を減らすのみならず、米国の金融緩和を通じてドル安円高をもたらす可能性も大きく、多方面で日本の景気にマイナスです。


今回は以上です。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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