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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 科学技術の商業化に必要なギャップ・ファンド(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

科学技術の商業化に必要なギャップ・ファンド(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

13/03/07

今回は、ギャップ・ファンドに関する日本の取組を紹介したい。

本題に入る前に、もう一度ギャップ・ファンドがなぜ必要かをおさらいしておく。大学等での基礎研究には、普通は税金を原資とする"グラント"が拠出される。そして、得られた成果のうち商業化の可能性があるものについては、リスクとリターンに応じた民間企業が投資を行うことになる。しかし、多くは民間企業が関心を示す前に「死の谷」に落ちてしまい、陽の目を見ずに忘れ去られてしまう。そこで、民間企業が事業化に関心を持つようにプロトタイプ(試作品)を作成したり、商業化計画を検討するための特別な資金=ギャップ・ファンドが必要なのだ。

実は、前回紹介した米国のSBIRに倣って、「日本版SBIR」と呼ばれる制度がある。しかし、米国と異なる点として、①各省庁の参加および一律の予算割合の拠出義務(米国では2.5%)がない、②商業化が成功した製品の政府調達(政府のお墨付き)が十分に機能していない、といった点が挙げられる。

また、「日本版SBIR」以外に各省庁は独自に科学技術の事業化を支援する補助事業を展開しているが、大学の研究者の研究プロジェクトと、商業化サポート活動(市場調査や事業計画の検討等)とが一体的に管理されないため、結果として商業化が実現しづらいという問題が残っている。

この問題を解消するために、文部科学省が「大学発新産業創出拠点プロジェクト(通称START)」を平成24年からスタートさせている。これは、大学の研究成果を商業化するベンチャーを設立する以前から、大学等の研究プロジェクト支援と商業化サポート活動を一体的に支援するシステムを構築し、そこに政府資金を投入することによって、早い段階から商業化の可能性を探索し、有望な事業を育成することで、VCなどの投資を呼び込みやすくすることを目論んでいる。

具体的には、国内VCなど「事業プロモーター」に、商業化の可能性がありそうな大学の研究プロジェクトを探索させ、商業化実現に必要な研究プロジェクト支援と、事業プロモーターによる商業化サポート活動に必要な資金を国が提供する。この「事業プロモーター」は、大学の研究プロジェクトをきちんとマイルストン管理し、並行して市場分析やマーケティング戦略などを行なって商業化の可能性を高めることによって、国の資金拠出が終了する頃には、民間投資を引き出すことを目指している。

一言で言うと、国がVCに対して、「全国の大学からビジネスの価値がありそうな研究プロジェクトを探してきて、それをどのように支援するとどんな事業が実現しそうかを提案して下さい。その内容が良くて、ちゃんとプロジェクト管理出来るのであれば、資金を付けますよ」というもの。

「事業プロモーター」は、将来の投資家でもあり、支援期間中にはプロジェクトにマッチした起業家(将来の経営者)やパートナーとなる大企業の探索、そのほか事業展開に必要な資源の調達を早い段階から構想し、"仕込む"ことができる。

このような日本独自のギャップ・ファンドが有効に機能するか否かは、数年待たねばならないが、良い結果を楽しみに待ちたい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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