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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > いい日、旅立ち (マーケティング/出頭則行)

いい日、旅立ち

出頭則行 マーケティング

13/03/29

「いい日、旅立ち」という、山口百恵の歌があります。1978年の後半に発売されて、以降約15ヶ月間ヒットチャートにあり続けた、ロングヒットです。今日はこの歌をとば口にして、マーケティングのお話をします。

この歌が流行っていた1970年代末から80年代初頭は、日本のマーケティングが大きく変化した時代でした。70年代後半まではマス・マーケティングの時代といわれ、多くの人たちが欧米に追いつけ追い越せと考え、また、世間並みの暮らしを求めていました。その頃のマーケティングで大事なことはShare of Voiceでした。すなわち、大きく声を発してメッセージを届けるという時代です。

ところが70年代後半から80年代にかけて、マスの一員であることに消費者が飽き足らなくなります。皆と一緒では嫌だ、自分にふさわしい個性的な生活がしたいという思いが芽生えてきて、自分にふさわしい生活を探し始めるのが70年代後半のことです。すなわち、自分探しの旅が始まるのです。本当の私を待っている人がいるはずだから、幸せを探しに旅に出よう。そのような時に、JRのキャンペーンテーマソングとなった「いい日、旅立ち」が出てきます。アンノン族という種族が生まれてきて、旅雑誌をもって、普段は訪れることのないお寺などを回ったりしていました。彼らは、友達同士で群れて旅に行きました。そのためマーケティングの方も、マスを対象としたものから、ライフスタイルによるセグメントを対象とするようになりました。こうしたセグメンテッド・マーケティングが始まったのが、80年代です。マーケティングの手法も、Share of VoiceからShare of Mindへと、心のシェアをどう動かすというところにフォーカスが移っていきます。これは大きな変換で、80年代に始まった自分探しの旅は、今なお続いてきているのです。この頃から、自分に最もふさわしい人を探す機運が高まり、晩婚化や離婚率の高さが問題となってきます。

そして90年代からは、セグメントから個の時代、すなわちone-to-oneマーケティングの時代に入っていきます。この時期はインターネットの勃興とちょうど合致しますが、消費者が私だけの商品を求め始める時代です。こうした私探しの旅は心の中まで入ってきておりまして、広告界でもこの時期より、認知心理学や行動心理学をもとに、私の心というブラックボックスの解明を試みはじめます。2010年代に入ると、私とは、色々な私の複合体ではないのかという考えがでてきます。たとえば小説家の平野啓一郎氏は、『わたしとは何か』という哲学書のような本を書いています。これまで私とは確固とした一人きりの自分であるという考え方が前提となっていましたが、それが実は幾人もの人格からなるコンプレックスな複合体とする考え方です。2010年にソーシャル・メディアが隆盛を始めましたが、ソーシャル・メディアはバーチャルなコミュニティ群で、たった一人ではない様々な自分で語ることが前提となります。しかしソーシャル・メディアが、自分が属するコミュニティを本当に形成できるのかどうか。その点がソーシャル・メディアの価値を考える上で大事なこととなるかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 出頭則行

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