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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アメリカの経済学者は何を考えているのか(1) (経営学 /久原正治)

アメリカの経済学者は何を考えているのか(1)

久原正治 経営学

13/02/05

先日、アメリカで年に1回正月にサンディエゴで開催される経済学会の年次総会で研究の発表をしてきました。

経済学会というのは経済学のいくつもの分野の細かい学会の集合体で、3千人ぐらい集まります。その中で特に大きいのは、純粋の経済学の分野、それからファイナンスの分野です。私たちが参加したのは労働経済学、労働問題だったのですが、経済学に関する様々な分野のことが議論されます。ノーベル賞級の有名な経済学者が沢山来て最新の研究の議論がなされ、パネルやスピーチを行うという学会です。

そういった世界をリードしていく経済学者が集まった場で、主に議論されている一番の関心事はどんなことでしょうか。

それは、2007年のリーマンショック以降グローバルに広がった経済危機についてでした。しかしこの問題に対して経済学者が中々処方箋を出せていないので、これをどうやって解決するかが最大の議論のテーマとなっていました。これは、中々新しい理論が見つけられないということは、今までの理論が今後通用しないということです。

経済学というのはこの50年程で発展してきたわけですが、現在の経済は中々回復しないまま世界中が不景気になっているという状態です。学会での議論では、これまでの経済理論は、第一次世界大戦以来2000年ごろまでの経済事象から考えたもので、新しい経済学の理論でないと2008年の金融危機以降、危機が世界に伝播する現在の状況というのは説明できないと言われていました。日本も中々不景気から脱せない状況にあるのですが、世界各国それぞれ経済的に苦しくて、課題を抱えています。最大の問題は政府の債務が増えていき、ヨーロッパのように国が破綻していくことです。

この経済学会で面白い議論があり、こういったグローバルな時代には国家破産法というものをグローバルに作るという提案をする人もいました。ある一定の条件が起きたらその国家は破産したのだとみなし、給料や所得社会保障はゼロとして再出発させるというものです。国の経済も、向う見ずに借金し過ぎたら破産がありうるべきだということです。

学会では、アジア経済の注目度が益々大きくなってきており経済学者もアジア、特に中国の人が多くなっているということがあります。日本人は残念ながら非常にマイナーな存在で、発表した日本のグループというのは私たちを含めて2グループだけです。発表は全体では恐らく5~600あって、それに対して中国の学者というのは沢山発表しています。このように中々日本の存在感を見出しにくい状況なのですが、面白いのは経済学の発表の中で多くの人が"特殊日本の例"をどう思うか、という質問をすることです。

日本の特殊性の1つは、国家の債務がGDPの200%超えていることです。先ほどの国家破産法では90パーセント超えたら破産だとされています。90パーセント超えると経済学の実証研究によれば、大方の国はディプレッションに入って立ち直れません。それなのに日本は国家債務がGDPの200パーセントもあって、更にデフレがずっと続いているというのも特殊です。それでも飢え死にする人などもいません。この日本の不思議な状況をどう思うか、という質問がある訳です。

普段の生活ではあまり実感はありませんが、日本はデフレが20年続いているのに飢え死が起きたり失業者が5割になったりというディプレッションは起きていない。この不思議な日本の今の状況というのは、新たな研究の課題や、ひょっとしたら新しい理論等にも結びつくのかもしれません。あるアメリカ人は、労働力が減るのであれば潜在的経済成長力も減るので、デフレがミニマムで安定的に続くというのはひょっとするといいことかもしれないと言っていました。

今、日本の状況も政権が変わって変わりつつあり、インフレターゲットという言葉を耳にするようになりましたが、デフレも案外悪くないのではないかということです。それは、一旦インフレになるとハイパーインフレが起き、そうなると抑えられないというのが経済学者の一般的なコンセンサスあるからです。特に日本のように借金が多い国は、ハイパーインフレになったらとんでもないことになってしまう可能性があります。

やはり世界というものは動いていて、学会等で外に出ると日本の中からは分からないことも見えて来るものです。次回も引き続きアメリカでの学会の経験を元に話したいと思います。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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