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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 最近の景気動向 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

最近の景気動向

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/01/31

今日は、日本の景気について御話しします。昨年の春ころから、輸出が急に減り始め、それにつれて生産が落ち込み、景気は悪化してきました。この番組でも、昨年12月12日の放送で、「景気は赤信号」と御話ししました。
生産が減り続けると、雇用が減り、サラリーマンの給料が減り、消費が減るようになります。そうなると、本格的な景気の後退ですから、再び景気を上向かせるためには大変な努力が必要になります。そうなる前に景気が上向くことが期待されているのです。
幸いなことに、景気の後退が始まって間もないこともあり、経済指標を見る限り、現時点では本格的な後退には至っていないようです。今のうちならば、小さな力でも景気を再び回復させることが出来るかもしれません。
そうした時に、景気に良さそうな話がいくつか聞こえてきています。そこで、もしかすると今回の景気後退は短期間の軽いもので終わるかもしれない、という雰囲気になりつつあります。まずは、そのあたりの事情を御話しします。

最近の変化で、何と言っても大きいのが、円安です。衆議院の解散が決まってから2か月ほどの間に、為替レートは大幅なドル高円安になりました。これにより、輸出が大幅に伸びることが期待されます。今まで採算割れだった輸出案件が、次々と採算に乗るようになってくるからです。世界中で生産している企業が、生産コストを比較して、海外工場の稼働率を落として国内工場の稼働率を上げることもあるでしょう。円安になると、輸入が減る効果もあるはずです。たとえば輸入部品を使っていた企業が国産部品を使うようになることもあるでしょう。
円安になっても国内の売上高はそれほど変わりませんから、輸出が増えて輸入が減った分だけ国内の生産が増えることになります。その分だけ雇用が増えて、景気が回復に向かうと期待されます。

大型の補正予算も、景気にはプラスでしょう。安倍政権は、国土強靭化計画として、防災などの公共投資を積極的に進める意向です。公共投資というと、無駄が多いという批判もありますが、防災対策は無駄とは言えないでしょうし、万が一無駄な投資が含まれていたとしても、何らかの工事が行われること自体が景気にとってはプラスなのです。
通常、政府が公共投資を増やそうとすると、財務省は歳出の増加に反対します。しかし今回は、そうしたことにはならないでしょう。国土強靭化計画を掲げた与党が選挙で圧勝した直後ですから、民意を背景にした与党の意向は尊重せざるを得ません。それに加えて、財務省としても、秋までに景気を回復させるためなら財政の出動も仕方ないと考えているはずです。それは、秋の時点で景気が悪ければ、せっかく決まった消費税の引き上げがキャンセルされてしまうからです。そうしたことから、今回は比較的すんなりと大型の景気対策が採られることになるでしょう。

海外の状況も、数ヶ月前と比べて、だいぶ改善してきています。前回も御話しましたが、欧州の財政危機が深刻化するのではないか、米国の政治が混乱して財政の崖と呼ばれる事態に陥って米国の景気が失速するのではないか、といった心配が、去年の秋に比べると、緩和されて来ました。
また、中国の景気が悪化したり日中関係が悪化したりして中国向けの輸出が激減するのではないか、といった心配も和らいでいます。
景気は気から、と言いますから、人々の不安が解消すれば消費や投資が活発になり、景気が回復する力の一つとなるかもしれません。
その意味では、安倍首相がデフレ脱却を目指す力強いメッセージを発信していることも、人々の心理にプラスに働くと期待しましょう。

株価が上昇していること自体が景気に及ぼす効果も、大きくはありませんが、少しは見込まれます。一つは、老後のための蓄えで株を買っていた人々が、株価が戻ってきたことで老後の生活の不安が和らいで、財布の紐が緩むという可能性です。今ひとつは、これも人々の気分に与える影響です。株を持っていない人でも、株価が上がると、何となく景気が良くなったような気がして、消費や投資をしてみよう、という人が増えるかもしれません。

このように、明るい材料はいくつも見られますが、本当に景気が回復するかというと、保証はありません。いくつかのリスクについて考えてみましょう。最大のリスクは、円安が続かないことです。安倍政権が日銀に金融緩和を求めている、ということが円安の主因ですから、仮に日銀が市場の期待するほど金融を緩和しなかったとすれば、期待はずれだとして市場参加者が大量にドルを売り、再び円高に戻ってしまう可能性も残っているのです。
米国の財政の崖が再発するリスクもあります。年末年始に米国の議会で合意がなされましたが、その一部は問題の先送りでしたから、近いうちに再度の交渉が行われることになります。これが決裂すれば、米国の景気が悪化して円高に戻る、という可能性もあり得ます。
欧州の財政危機が再燃するリスクもあります。根本的な問題は残ったままなので、人々が「やはり不安だ」と思えば、一気にスペイン国債が売り込まれる、といった可能性も残っています。
今ひとつは、日本の財政の問題です。今年秋時点の景気を良くするために、短期的な景気回復を頑張りすぎて、秋以降に財政が息切れする可能性も懸念されるところです。そうなると、景気は一旦は回復したとしても、秋をピークに再び下落し、来年春には消費税率引き上げで景気悪化が加速する、というリスクもあります。
こうしたリスクが現実になることなく、景気が順調に拡大していくことを期待しています。

今回は以上です。

まとめ:日本の景気は、昨年春ころから悪化してきましたが、円安になったこと、新政権が補正予算などの景気刺激策に積極的なこと、などから景気は再び回復に向かいそうです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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