QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 最近の株価と為替 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

最近の株価と為替

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/01/30

今日は、最近の為替と株価の話をします。昨年11月に、当時の野田首相が衆議院の解散を宣言した時は、1ドルが80円程度で、株価は8700円程度でした。その後、急激かつ大幅な円安と株高が進みました。その最大の要因は、日銀が金融を緩和すると人々が考えたことでした。
衆議院を解散すれば、自民党が勝って政権に就くと人々は予想していました。自民党の安倍総裁は日銀に一層の金融緩和をさせようという主張の持ち主で、日銀に圧力をかけるだろうと思われていましたから、人々は金融が一層緩和されると考え、そうなればドル高円安になるだろうと考えて、ドルを買ったのです。
ドル高円安になれば、景気が良くなりますから、株価も上がるはずです。金融緩和でデフレも止まるでしょうから、その面からも株価が上がるでしょう。それならば先に株を買っておこう、という人も多かったのです。

今、御話ししたことは、為替や株を取引している人々が何を考えたのか、ということです。しかし、良く考えると不思議なことがいくつもあります。
まず、金融が緩和されると、なぜドル高円安になるのでしょうか。金融の緩和とは、日銀が銀行から国債を買って代金を支払うことです。そうなると、銀行の金庫に現金が積み上がりますが、銀行は借り手がいなくて困っているので、金庫の現金を日銀に預金するはずです。そうなれば、せっかく日銀が世の中に出回らせようとした現金が、日銀に戻ってきてしまうので、為替にも株価にも景気にも物価にも、何も影響がないはずです。
この問題を考えるカギは、人々がドル高を予想すると人々がドルを買うので実際にドル高になる、という点にあります。世の中では、「日銀が金融を緩和するとドル高になる」と考えている人が大勢いますから、そうした人々がドルを買うのです。彼等の理屈は、「世の中に出回る円の量とドルの量の比率がかわると、ドルと円の値段の比率も変わる」といものです。私にはよくわからない理屈ですが、彼等の理屈が正しいか否かは、どうでも良いのです。とにかく彼等がドル高になると思ってドルを買えば、ドル高になるのです。そうなると、彼等の理屈を信じていない人も、彼等が買う前に買おうと思ってドルを買うようになります。

次の疑問です。金融緩和で、なぜデフレが止まるのでしょうか。彼らの理屈は、やはり私にはよくわかりません。「世の中で取引されるモノの量が一定で、世の中をオカネが動き回るスピードが一定だとすると、世の中におカネが出回ることでモノの値段が高くなる」、というのです。しかし、ドルの時と同じで、重要なことは、彼らの理屈が正しいかどうかではなく、株の取引をしている人々がデフレが終わると考えて株を買うという事です。金融緩和が決まれば株を買う人が大勢いる、ということを知った人は、彼らの理屈に納得してもしなくても、とにかく株を買って儲けようとするでしょう。こうして株価が上昇したのです。

ドル高や株高の背景には、金融緩和以外の要因もありました。いくつかの心配事が、とりあえず一服したのです。欧州の財政危機が深刻化するのではないか、米国の政治が混乱して財政の崖と呼ばれる事態に陥って米国の景気が失速するのではないか、といった心配が去年の秋に比べると緩和されて来たため、ドルが高くなりました。
また、中国の景気が悪化したり日中関係が悪化したりして中国向けの輸出が激減するのではないか、といった心配も和らいでいます。このため、日本の景気に対する心配も少しずつ和らいで来ました。自民党政権が大規模な補正予算を組もうとしていることも、景気の見通しを明るくさせています。こうした事が、株高の一因となっているのです。

「これまで、ドルも株も安すぎたので、それが修正された」という面もあると思います。ドルについては、1ドルが80円が適正だった、という考え方もあるでしょう。日本は貿易相手国より物価が上がらないからドル安円高になるのだ、という理屈です。しかし、貿易収支が赤字を続けていること、長期的に少子高齢化が進めば遠い将来は大幅な円安になる可能性が高いこと、などを考えれば、やはり80円は安すぎたのでしょう。
株価については、リーマン・ショックの時と比べると、経済状態も企業の利益も大幅に回復したのに、株価があまり戻っていませんでしたから、やはり安すぎたのだと思います。株価が一株当たり純資産よりも安い銘柄が数多くありましたが、これも株価が安すぎたと考える理由の一つです。

ここまで、ドルや株が値上がりしてきた理由を説明して来ました。それでは、今後もドルや株は値上がりを続けるのでしょうか?それは、わかりません。私個人は、ドルも株も少しですが投資しています。今まで安すぎた分が戻り切っていないので、今少し上がるような気がしているからです。もっとも、私はこれまでドルや株の売買であまり儲かっていませんので、今回も儲かる自信はありません。皆さんは、あまり私の意見を参考にされない方が安全だと思います。

今回は以上です。

 

まとめ:昨年11月に衆議院の解散が決まってから、急激かつ大幅に円安と株高が進みました。次期政権が大幅な金融緩和志向であると伝わった事が主因でしたが、懸念されていた海外の様々なリスクが緩和された事も一因でした。


 

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ