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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 欧州の財政問題は深刻 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

欧州の財政問題は深刻

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/01/10

まとめ: ギリシャの財政危機の影響でスペイン政府などの資金調達が困難化しました。その影響でスペインをはじめとする欧州各国の政府が増税や歳出削減に励んでいるため、欧州各国の景気が悪化しています。

(内容)

欧州の財政危機
今回は、欧州の財政危機について御話します。前回は、ギリシャ政府が借金を返せなくなったという御話をしました。実は、欧州には、ギリシャほどではなくても多額の借金を抱えている政府がいくつかあります。最近話題になっているのはスペインですが、イタリアなども同様です。ギリシャ政府の財政が破綻した事で、こうした国も同様に破綻するのではないか、という連想が金融市場に広がりました。それが問題を大きくしたのです。
もしもギリシャの問題がなければ、スペインなどの問題は何とか処理できた可能性が高いと思います。しかし、人々は、ギリシャからの連想で、もしかしたらスペインも危ないかも知れないと考えるようになりました。
そうなると、スペイン政府は借金をするのが難しくなりますが、資金が必要なので、高い金利を払って借金をする事になります。それを見た人々は、「あれほど高い金利を払っていたら、利子の支払いだけで破産してしまうだろう」、と考えるようになり、ますますスペインにお金を貸さなくなりました。こうしてスペインの問題は深刻になって行ったのです。
こうなると、問題を解決するには、ドイツ政府などが、スペインは絶対に破綻させないと宣言し、人々が安心してスペインにお金を貸すように促す事が必要になりますが、ドイツ政府としては、そこまでの宣言は出来ません。下手をするとドイツが大損をする可能性があるからです。
そこでスペインは、大増税を行なって、人々にアピールする事になりました。これだけ増税しているのだから、借金が返せないはずがない、というわけです。しかし、せっかく増税したお金が、高い金利を支払うために使われてしまうため、あまり投資家は安心してくれないようです。

欧州全体への悪影響
こうした問題は、スペインだけに止まらず、欧州全体に大きな悪影響を及ぼしています。ギリシャは小さな国なので、何があっても全体への影響は限られていますが、スペインは大きな国なので、影響の大きさが異なるのです。
第一に、スペインが増税で景気が悪くなりました。更に問題なのは、スペイン以外の国も増税をして景気が悪くなった事です。スペインのようにならないためには、早めに増税をして財政赤字を減らし、金融市場の投資家に安心感を与える必要があるからです。米国にも日本にも、スペインのようにならないためには、増税をしたり歳出を削減したりするべきだ、という人が大勢いますから、政府もそうした影響を受けているはずです。
第二に、スペインの国債を持っている銀行が損をしました。スペイン政府の発行した国債を持っていても、誰も額面では買ってくれないため、売る時は安い値段でしか売れず、買った時の金額との差額が損になってしまうからです。銀行が損をして自己資本が減ると、銀行は貸し渋りをするようになります。銀行は、自己資本の12.5倍までしか貸出をしてはならない、という自己資本比率規制があるからです。欧州の多くの銀行が一斉に貸し渋りをしたため、欧州の景気は悪くなりました。
第三に、世界的に株価が下がりました。もしもスペイン政府が破産したら多くの銀行が破産して大変な金融危機が起きるかも知れません。そうしたリスクを考えて、早めに株を売っておこうという投資家が多いのです。欧州の金融危機が深刻化すれば世界中の経済がおかしくなりますから、株価の下落は欧州だけではなく、世界中に広がりました。
第四に、ユーロが安くなりました。ユーロという通貨に問題があり、バラバラになってしまうかもしれない、という事から、人々がユーロを売ってドルや円を買っているのです。これはユーロ圏にとっては悪い事ではありませんが、日本や米国にとっては深刻な問題の一つとなっています。

今後の欧州財政問題
今後、こうした問題はどうなっていくのでしょうか。今の段階では、何とも言えません。安心材料が一つ、心配な材料が三つあります。
安心材料は、リーマン・ショックの経験から人々が学んでいる事です。スペイン政府が破綻すれば世界的な大不況が来るという事を、皆が知っているので、ドイツをはじめ、各国が何としてもスペインを助けようとするはずです。
心配な材料の第一は、スペインを助けるためにドイツ国民の税金を使う事にドイツ国民が納得するか否かです。ドイツの中で困っている地域があれば、ドイツ人の税金で助けてあげる事は自然なことですが、ドイツとスペインは国が違うので、助けてあげる事は自然なことではないのです。
心配材料の第二は、各国政府が増税をすると、世界中の景気が悪くなって、どこの国も税金がはいらなくなって、なかなか財政が再建できないかもしれない、ということです。
心配材料の今ひとつは、銀行の貸し渋りを止めるのが難しいという事です。リーマン・ショックの時には、自己資本の減った銀行が株券を政府に買ってもらって、自己資本を元に戻す事ができましたが、今回は各国とも政府が財政赤字削減に取り組んでいるので、政府には頼みにくいのです。
欧州の経済は、しばらくは心配な状態が続きそうです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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