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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > サービス産業のグローバル展開(3) (国際経営、国際物流/星野裕志)

サービス産業のグローバル展開(3)

星野裕志 国際経営、国際物流

13/01/01

以前に、企業のグローバル展開の中でも非常に活発になってきている非製造企業の国際経営のお話をしました。今や世界の直接投資額の点では、非製造業が製造業を上回っています。ただし、非製造業、特にサービス産業には、特有の海外参入の難しさがあることを説明しました。

工業製品であれば目に見えるし、手にとって機能、デザイン、値段などを自分で判断できます。ところがサービス産業の商品であるサービスは、それができません。以前サービス産業特有の性格として4点あることをお話しました。1つが無形性、2つ目が非分離性、3つ目が変動性、4つ目が即時性ですが、簡単におさらいをすると、サービスは可視化できないので、あくまでも提供者と受け手との関係において、サービスの満足度は決まってくるのです。あるいは提供される状況や環境で内容も大きく変わってきます。例えばレストラン或いはアミューズメントパークなどでは、その時の環境によって満足度も変わってきます。サービスは商品と違い蓄積できません。その場でしか消費できないので、サービスをグローバル展開しようとしたとき、誰にどのように販売するのかが問題になります。ここで考えられる対象として、サービスを提供する相手が3つあると思います。

まずは自国の顧客を対象とすることです。例えば、航空会社が日本人客を海外に運ぶ、あるいは旅行代理店が日本人客に海外旅行のサービスを提供する内に、事業が段々グローバル化していきます。これが1つ目のケースです。総合商社などもそうです。国内の企業向けにサービスを提供すること、つまり国内の企業の生産する製品を海外で販売する、海外から原材料を国内企業向けに輸入する仲介をすることが、かつては総合商社の主たる仕事でした。或いは建設会社なども海外で様々なプロジェクトを持っていますが、独自に受託したものだけではなく、例えばODAで海外に展開する場合もあります。ODAの提供者は日本政府であり、国内に顧客がいることになります。サービス対象の1番目は国内の顧客といえるわけです。

2番目は、国内の企業が海外に展開する際に追随して展開する場合です。例えば、日本の多くの金融機関や損保などが海外に支店或いは事業所を出すのは、海外に展開する日本の企業に対して、現地でファイナンスや保険業務を提供するためです。現地市場を対象とするよりは日本の企業に追随していくことになります。広告代理店などもその例でしょう。例えば、クライアントの企業が、ブランド構築など統一的なイメージで海外展開するために、あえて現地企業に委託するのではなく、国内の広告代理店に海外でも委託することがあります。会計事務所或いはコンサルティング会社なども、日本の会計基準に合わせて現地で決算するサポートの為に海外に展開することになります。つまり2番目のパターンは、自国の企業に追随して海外に展開する場合です。サポートしているうちに現地でのノウハウを身につけて、現地の企業を対象とし始めるというものです。

3番目が、1番目とも2番目とも違う、完全に独自の戦略性をもって海外展開する場合です。今回、中国の反日デモの被害でクローズアップされた、イオンのような流通企業があります。流通企業の多くは現地在住の日本人を相手の商売に参入するわけではなく、あくまでも現地の市場が目的です。最近、ヤマト運輸が上海やシンガポールで宅配便事業を展開していますが、これも現地の企業を対象としています。その他、非常にユニークな海外展開の例として、学習塾の公文がありますが、現在世界47カ国に展開して成功しています。成功例は稀ですが、公文やヤマト運輸、或いは流通企業などは、3番目の独自戦略で現地の市場を対象とした企業が出てきています。

従来の日本企業の海外展開と言えば、電気、自動車、機械、昔なら繊維と、製造業を中心に海外で売上を伸ばしてきました。例えば自動車は海外売上高が、37パーセント、電気は3割
以上ですが、サービス産業の海外売上は、それらに比べてとても低いといえます。海運業だけは48.5パーセントと突出していますが、他の業種は10パーセントにも満たないのです。
つまり、売り上げの9割が国内の市場であり、海外市場に中々参入できていません。

どうして日本の企業は、海外で苦戦しているのかというのが、私の問題意識です。サービスというものを形式知化して教育することの難しさもあるでしょうし、現地の市場で受け入れられることの障壁もあるかと思います。ヤマト運輸は、海外で展開する際、現地スタッフに宅配便の輸送や接客のノウハウをきめ細かく教えています。言葉も習慣も違うところで、うまく伝えることができていました。このようなことを、確実にできる企業は成功し、うまくできない企業は成功できません。物であれば見たままで評価されますが、サービスという無形のものを伝えるのは難しいのです。

分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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