QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > サービス産業のグローバル展開(4) (国際経営、国際物流/星野裕志)

サービス産業のグローバル展開(4)

星野裕志 国際経営、国際物流

13/01/02

前回は日本のサービス産業の海外売上は製造業に比べて格段に低く、海外では苦戦していることをお話ししました。今日はその具体的に説明をします。

総合商社は日本でも代表的な国際的な企業と考えられています。この総合商社と航空会社の例でお話をしましょう。総合商社の海外売上比率ですが、最も高いのは、三井物産の39.6
パーセント、約4割であり、最も低かった丸紅は13.4パーセントです。これは5,6年前の数字ですが、総合商社の売上の13.4パーセントが海外ということは、80数パーセントが国内
での売り上げということです。総合商社なのに意外な感じがしますが、やはり国内間の取引、或いは昨日お話したように国内の顧客を対象とするビジネスが主体であり、総合商社でさえ
その程度なのです。そう考えると、2008年にホンダの海外売上比率が87パーセント、工作機械のマキタは85パーセント、ブラザーが83パーセントと圧倒的に海外であることを考えると、総合商社はどんなに低いかということがいえるでしょう。もっと意外なのは、航空会社です。

日本航空の2007年度の海外売上比率は9.3パーセント、全日空の2010年度は9.6パーセントで、1割に満たないのです。様々な理由が考えられます。全日空や日本航空は国内の路線が多いからと思われるかもしれませんが、次の比較をみるとやはり低いことが分かるでしょう。2010年のアメリカン航空の海外売上比率は41パーセント、デルタ航空で56パーセント、
ユナイテッド航空で38パーセントです。日本以上に広い国土ですから、アメリカでも国内線は非常に多いわけですが、それにも関わらず、デルタ航空では半分以上の売上が海外からです。他の航空会社でも3割、4割以上ということを考えると、日本の航空会社の10パーセント未満は、あまりにも低いのではないでしょうか。どうしてでしょうか?

もうひとつお話をさせて頂くと、日本のホテル業も同様です。日本のホテルや旅館の「おもてなしの心」、ホスピタリティは、海外から来る人にも非常に定評があります。それなのに、海外でほとんど展開してないといってもいいほどです。例えば、ウェスティンなど高級ホテルを持っているスターウッドホテルチェーンは139カ国で1,041のホテル、ヒルトンで78カ国540のホテルを展開しています。ベストウェスタンという、中堅のホテルは100カ国に4000のホテルをもっています。一方、日本のホテルのうち一番海外で展開しているのはホテルオークラのチェーンだと思いますが、11カ国26のホテルです。欧米のホテルチェーンに比べると遥かに規模が小さいのです。

どうして海外で通用しないのかについて、バーニーという研究者が、サービス品質には信頼性、対応力、安心感、共感性、有形性という5つの決定要因があると言っています。これは何かというと、信頼ができる、対応能力が優れている、安心できる、共感できるなど、5つのうち4つまでが無形です。こういう無形のことは客観的な評価はできない、それを伝達することもできない、自分と同様にほかの人が同じように満足できるかはわかりません。そうすると、こういうサービスを評価して、海外でも味わいたいと考えるのは、自らそのサービスを経験して、評価を知っている人ぐらいしかいないでしょう。

現地の人に高い質のサービスを伝えるには、自分たちのサービスを形式知化する必要があります。つまりマニュアルなど、伝えやすい形にして現地の社員に伝えていくということが必須でしょう。そこはやはり日本企業の弱いところで、言語の支障、或いは文化的な違いがあるかもしれません。習慣やライフスタイルが違う国の人たちに自分たちのサービスをきちんと伝えて、それが従業員に理解され現地で展開するのは、日本の得意とするところではないのかもしれません。

昨日日本で数少ない海外展開で成功しているサービス産業というお話をしました。公文式、或いはクロネコヤマトですが、こういった企業は自分たちの業務をマニュアル化して現地に伝えて適用化していくことに成功していると説明をしました。ホスピタリティのホテルや旅館は、それがなかなかできないから海外では競争力を持てないのではないでしょうか。この辺が日本のサービス産業の弱みであり課題として、今後解決しなくてはいけないと思います。

グローバル化というと海外から日本に参入してくる脅威ばかりが取り上げられている感がありますが、日本からも海外市場への展開が今後ますます加速すると思います。特に少子高齢化の中で、日本の市場は段々縮小していくわけですから、海外に出ざるをえません。日本的国際経営ででは多分限界にきています。

分野: 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ