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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 雇用情勢は黄色信号 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

雇用情勢は黄色信号

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/12/13

今回は、皆さんに馴染みのある雇用の状況について御話しましょう。雇用というと、まず頭に浮かぶのは、失業率ですね。失業率は、リーマン・ショックの時に大きく上昇して5%を超えましたが、その後は緩やかに低下してきました。最近数ヶ月は、4%を少し超えるあたりの数字が並んでいます。リーマン・ショックの前は4%程度でしたから、完全に戻ったとは言えませんが、過去10年間の平均と比べれば悪くない水準であると言えるでしょう。

前回、景気が悪化しはじめたという御話をしましたが、失業率は高まっていません。これは、失業率の動きが景気の動きに少し遅れる性質を持っているからです。物が売れなくなると、工場労働者が残業しなくなりますが、失業は増えません。更に景気が悪化すると、労働者はヒマになりますが、正社員は簡単にはクビにはなりませんし、派遣社員も契約期間が終了するまでは雇われています。派遣社員の契約期間が終了すると、働いている人は減りますが、それでも失業率が高まるとは限りません。その頃には求人が大きく減っているでしょうから、職探しを諦めてしまう人も多いからです。職探しをしていない人は失業者の統計には入らないのです。

では、ここでクイズです。リーマン・ショックは4年前で、失業率が一番高かったのは3年前です。それから3年間、失業率は緩やかに下がり続けています。しかし、じつは、働いている人の数は、3年前とあまり変わらないのです。

それは何故でしょうか?ヒントは、失業者とはどういう人か、考える事です。失業者とは、仕事を探しても見つかっていない人です。つまり、仕事を探していない人は、失業者ではないので、失業率の計算に入りません。

日本では高齢化が進んでいて、特に団塊の世代とよばれる人々が年金をもらえる年齢にさしかかっています。64歳の失業者が65歳になり、年金を受け取るようになって仕事を探さなくなったとします。働く人の数は変わりませんが、失業者が減るため、失業率は下がるのです。つまり、高齢化が失業率を低下させる一つの原因になっているという事ですね。

失業率の次に有名なのは、有効求人倍率でしょう。これは、仕事を探している人の人数と、企業から出て来た求人票の数を比べた倍率の事です。これも、リーマン・ショックの後に大幅に低下した後、だいぶ戻りました。もっとも、景気が悪化し始めたため、直近では再び低下しはじめています。

失業率などは景気の動きに少し遅れて動く性質があるので、専門家は景気の動きを見るために、製造業の残業時間などの統計も見ています。

なぜ製造業の残業時間を見るのかと言うと、サービス業に比べて労働時間が景気と敏感に関係しているからです。コンビニやスーパーの店員さんや、タクシーの運転手さんを考えてみて下さい。お客さんが増えると忙しくなりますが、残業が増えるわけではありませんね。一方で、工場の従業員は、忙しくなると残業時間が伸びる傾向にあるのです。

そこで、実際の数字を見てみると、製造業の残業時間は、半年前に比べて1割以上減っています。これは、輸出が減っているために企業が生産を絞っている事が原因です。

一方で、学生の就職戦線はようやく薄日が射しはじめています。新卒者の就職は景気の動きに大きく遅れる性質があるからです。企業が新卒の採用計画を立ててから実際に新卒者が就職するまでは長い時間がかかるという事が主因ですが、学生の姿勢の変化も関係しているようです。学生が先輩たちの苦戦を見て、状況の厳しさを理解して、高望みをせずに身の丈に合った企業を受けるようになってきた、という事も影響しているようです。

話題を変えて、給料について御話しましょう。給料は、基本給と残業代とボーナスの合計ですので、順番に見ていきましょう。

基本給は、リーマン・ショックの時に減り、その後も戻らずに緩やかな減少を続けています。もっともこれは、正社員の給料が下がり続けているという事ではないようです。以前御話したように、日本全体として見ると、正社員の人数が減って非正規雇用が増えていますから、一人当たりの平均で見ると下がっている、という事が主な要因なのでしょう。

残業代は、リーマン・ショック後に落ち込みました。残業時間が戻ってくるにつれて、残業代も戻って来ましたが、先ほど御話ししたように、直近では再び減りはじめています。

ボーナスも、減っています。これも、非正規社員の比率が上昇することで自動的に減っている面が強いようです。景気が悪化はじめた事の影響は未だ出ていないでしょうから、今後さらに減るかもしれません。

さて、前回と今回で、いろいろな統計の数字を御紹介しました。こうした数字を自分で見てみようという方には、内閣府が毎月出している月例経済報告のホームページが便利です。数多くの統計のなかから大切なものだけを選んで載せていますし、グラフも多いので、大体のイメージを簡単に持つ事が出来るからです。雇用に関係する数字だけではなく、景気に関係する数字が幅広く載っていますから、興味のある方は、一度御覧になってみて下さい。日銀の金融経済月報も便利ですから、こちらも併せて御覧になってみて下さい。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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