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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本の景気は赤信号 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日本の景気は赤信号

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

12/12/12

今回は、最近の景気について御話しましょう。一言で言えば、景気はリーマン・ショックから緩やかに立ち直りつつありましたが、ここにきて急激に悪化しはじめています。このまま悪化してしまうのか、元通りの回復軌道に戻るのか、大いに注目される所です。

今の景気がどうなっているか、最も簡単に知る方法は、内閣府の月例経済報告の最初の一行を見ることです。日銀の金融経済月報の最初の一行も見てみましょう。どちらも、数か月前から月を追うごとに弱気な表現に変わってきています。これで、今現在の景気が悪化方向にある事がわかりました。

では、今の景気がどの程度良いのか悪いのか、数字で見てみましょう。月例経済報告には、主要経済指標という資料が付いていますから、景気に関する統計の数字を見るには、これが簡単です。

景気の状態をもっとも簡単に表しているのは、景気動向指数という統計です。いろいろな数字が載っていますが、CIの一致指数のグラフを見ましょう。景気動向指数のCIの一致指数というのは、世の中で発表されている沢山の統計の中から、今の景気と最も関係のありそうな数字を内閣府がいくつか選んで、それらを平均したりして計算した値です。

リーマン・ショックやバブル崩壊の時は非常に大きな落ち込みを見せていますから参考にはなりませんが、今回の落ち込み幅は97年の金融危機の時の半分近くに達しています。これはかなり大きな落ち込みと言えますから、一時的に数字が振れているだけではなく、実際に景気が後退しはじめているのかもしれません。

次に、日銀短観の業況判断DIの大企業製造業を見ましょう。日銀短観というのは、日本銀行が企業に対して定期的に行なっているアンケートです。その中に、今の業況はどうですか、という質問があって、その集計結果が業況判断DIと呼ばれるものです。日本を代表する企業の経営者が答えているアンケートですから、世の中でも比較的注目されている数字です。

リーマン・ショックの前が20くらい、一番下がった時がマイナス60くらいで、最近はゼロくらいですから、これもだいぶ回復しているわけですが、秋の調査では夏の調査に比べて僅かながら悪化しています。これを見ても、景気の方向は下を向きはじめているようです。

今一つ、失業率の統計も見てみましょう。リーマン・ショック前は4%程度であったのが、リーマン・ショック後には5%を大きく超えました。その後は少しずつ下がってきましたが、ここ3カ月は4%少しの所で横ばいとなっています。

一般の方が景気について知りたいという場合には、以上のデータを御覧になるのが便利でわかりやすいでしょう。これだけでも、景気が上向きから下向きに変わったらしい、という事は分かります。

興味のある方は、内閣府の月例経済報告と日銀の金融経済月報を一通り御覧ください。政府や日銀の考え方が説明してありますし、重要な統計数字がグラフなどになっていて、景気の様子が良くわかります。

以上に加えて、理屈の上では、経済成長率の数字も見るべきです。経済成長率が高いという事は、国内で作られる物やサービスの量が増えているという事ですから、物が良く売れ、企業が儲かり、失業も減り、景気はどんどん良くなっている、という事だからです。

しかし実際には、成長率の数字は複雑な動きをする事が多いので、慣れていない方にはわかりにくいようです。特に、昨年は大震災などの影響で経済が大きく落ち込みましたから、今年はそれが戻っただけでも去年と今年を比べた成長率の数字が高くなってしまっています。そうした事を考えながら数字を見るのは大変ですから、今回はやめておきます。

では、なぜ景気が悪い方向に向き始めたのでしょうか?それは、輸出が落ち込んでいるからです。日本経済は、過去20年以上にわたり、国内の需要が不足する状態が続いています。そこで、輸出が増えれば景気が回復し、輸出が減れば景気が落ち込む、という事が続いているのです。日本の景気は外国次第、というのが現状なのです。

輸出が冴えない要因は、円高や米国経済の不調など数多くありますが、この夏の落ち込みは、欧州経済が不振なことと、その影響を受けて中国経済が冴えないこと、日中関係の冷え込みにより中国向け輸出が減っていること、などが原因です。欧州や中国の経済については、近いうちに御話しすることにして、今日は輸出の減少が国内経済に与えている影響について御話ししましょう。

輸出が減ると製造業の売上が減り、収益が落ち込みます。生産が減るため、雇用も減りますが、これは少し時間が経ってからです。雇用が減り、勤労者の所得が減り、彼等が消費を減らすようになると、本格的な景気の後退です。

景気が本格的な後退をはじめると、回復させるのは大変ですから、そうなる前に輸出や生産が戻る事を祈りましょう。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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