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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業の生活習慣病とリスクマネジメント (国際企業分析、経営リスクマネジメント/中村 裕昭)

企業の生活習慣病とリスクマネジメント

中村 裕昭 国際企業分析、経営リスクマネジメント

12/12/11

今日は、企業の生活習慣病とリスクマネジメントについてお話いたします。

企業の生活習慣病という言葉は、実は私がリスクマネジメントの講義などを行うときに使っている言葉です。必ずしも確立した定義はありませんが、「知らず知らずの間に、ビジネスモデルやガバナンス、自分の企業の組織などが蝕まれ、企業の勢いが後退し、もはや取り返しのつかない状況に陥る」ことを言います。大企業病という言葉は、主に大企業において、官僚主義や事なかれ主義などが蔓延する状態を言いますが、「企業の生活習慣病」は、企業の大小を問わず蝕まれる可能性がある病なのです。

その具体的な症状を考えてみましょう。厚生労働省によれば、生活習慣病とは、「毎日の良くない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気」であるとされています。たとえば糖尿病や脳卒中、心臓病、脂質異常症、高血圧症、肥満などの生活習慣病は、痛みなどの強い症状が無いままに進み、いわば無自覚なうちにいずれ激しい発作や重篤な合併症を生じて、死亡や生活の質の低下につながるという特色があるとされています。企業においても同じことなのですが、一方で企業というのは千差万別ですから、ひとつふたつの例を出すだけでは企業の生活習慣病をカバーしきれない程多くの症状があります。

代表的な例をいいますと、たとえば、(1)「自社のやり方しか認めない」、「他人の声は聞こえない、聞かない」という症状や、(2)「意思決定が遅い」、「組織内の意思疎通が悪い」という症状、更に(3)「やたらに拡大路線をとる」とか、「投資決定が杜撰」、「理念先行で実が伴わない」などの症状も、企業の生活習慣病の代表例です。ただ、これらの要因が複雑に入り組んでいる場合もあります。たとえば、「自社の理念を重要視」し、「自社のやり方しか認めず」「暴挙のような投資を平気で行う」、というような症状もあります。

これらの原因ですが、たとえば、「自社のやり方しか認めない」という症状が出る背景には、その企業が過去に大きな成功体験を収めたとか、あるいは業界のトップにずっと君臨してきたという状況が挙げられます。過去の成功体験を引きずっている企業は、外部の意見をきこうとしません。業界トップの企業すべてにあてはまるということではありませんが、一旦業界トップになると、危機感が乏しくなり、せいぜい二番手の企業の動きにしか目を向けないというような状況が生まれます。組織内部では同じタイプの人たちが経営を行っているため、社内には異を唱える人がおらず、金太郎飴のような状態になっています。そして、顧客や投資家の言う事に対しても馬耳東風です。業界ではトップのため、「自社が言う事がルールである」というような傲慢がまかり通ります。

そうした企業の治療法ですが、まず、これらの症状が出ていることを企業に知らしめて、生活習慣病であることをその企業に認識させる必要があります。しかし、ただ今申し上げた症状が顕著である場合は、治療はかなり難しいと言わざるを得ません。なぜなら誰の言うことも聞かないという症状が根付いてしまっているため、余程のショック療法でない限り、自意識過剰状態はひっくり返せないからです。むしろ、我々は、「どうすればこのような会社にならずに済むか」ということを考えた方が良いと思います。

まずやるべきことは、常に第三者の意見に耳を傾けるガバナンス態勢をビルトインしておくことです。たとえば、定評ある第三者の「社外取締役」を複数入れておくことなどです。また、内部統制の装置として、「内部通報制度」の仕組みを入れておくことも大事です。更に、定期的に経営コンサルタントなどの外部組織に経営の状態、会社の状態を見てもらうと同時に、他社比較を行う機会を持っておく必要もあるでしょう。また、市場の状況や競争優位性の分析など、多面的に自社の状況を分析する部署や担当をビルトインしておく必要もあります。これらには、色々とコストがかかりますが、リスクマネジメントという重要費目と割り切ることも大切です。

今日のキーワードは、「企業の生活習慣病」です。

分野: 国際企業分析 経営リスクマネジメント |スピーカー: 中村 裕昭

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