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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イノベーション・エコシステムと産学官連携(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

イノベーション・エコシステムと産学官連携(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

12/11/28

・去る9月に、国の審議会(「科学技術・学術審議会」の「産学官連携推進委員会」というところ)で、『イノベーション・エコシステムの確立に向けて早急に措置すべき施策』という基本戦略が発表された。

・これは、2011年からスタートしている第4期科学技術基本計画を受けて取りまとめられたもの。その中で、「イノベーション創出」を促進する社会環境、つまり「エコシステム」が必要だということで、基本戦略と、それに基づいて早急に措置すべき施策が取りまとめられた。
・今日は、「イノベーション・エコシステム」の基本戦略を読み解いてみたい。
 
 
 
・まず一つ目は、エコシステムの中心に位置する「センター・オブ・イノベーション」の形成。つまり、ハイリスクだが企業にとっても実用化の期待が大きい異分野融合・連携型のテーマに対して、国の資金投入、大学などの研究機関の結集、システム・体制整備、などを重層的・集中的に支援する、という構想。

・以前の放送でiPS細胞をめぐる京都大学の取り組みについて紹介したが、それに匹敵する拠点を、いくつかの有望分野で整備しようというもの。

・そもそも、iPSに匹敵するほどのイノベーションの可能性のある分野をどうやって絞り込むのか?という疑問が浮かぶが、これは、従来国が大型のプロジェクト投資を行なっているなかから、有望なものを絞り込む、いわば「選択と集中」によって、「世界で戦える産学共同の拠点」を形成するのだと言う。

・絞り込む際のポイントは、国だけが投資を行うのではなく、産業界の共同投資も義務化することで、きちんと「出口」を見据えた研究開発を行うようにすること。これによって、大学等での研究成果が確実に実用化に向かうことを目論んでいるのだ。
 
 
 
・では、このような拠点形成の注意点は何か?

・以前の放送でも紹介したが、日本の産業界が大学との共同研究に支出する金額は、1件あたり平均で約200万円にすぎず、1千万円を越える案件は全体の4.4%にすぎない。iPS並の拠点だとすると、少なくとも2桁の億レベルで資金が必要になるので、そうすると、産業界にも数億〜十数億円の投資が求められる。

・その場合、従来の平均200万円のレベルの方法では全く立ち行かない。産学共に、この桁外れのプロジェクトに適合するシステムや決断力が求められる。

・また、国が後押しして巨大プロジェクトに産学官が集中投資するのは、美しく見えるものの、最先端の科学技術は不確定・不透明なことも多いので、思惑通りにイノベーションが実現する保証はない。むしろ、選択と集中をしすぎると、リスクも高まり、プロジェクトの難易度がかなり上がってしまう。

・更に、技術開発に成功したとしても、国際的に受け入れられなければ意味がない。その点で、日本は各国と渡り合って「国際標準」を獲得するのがいまひとつ苦手でもある。電気自動車の充電規格も、つい先日、まだ開発も完了していない欧米勢に敗れたばかりだ。
・以上のような点から、産学官連携による「センター・オブ・イノベーション」の形成は魅力的だが、乗り越えるべき課題も多い。
 
 
 
まとめ:国は、「イノベーション・エコシステム」の中核機能として、異分野融合・連携型の「センター・オブ・イノベーション」を整備する方針を表明。魅力もあるが、課題も多いことに注意すべき。

・次回は、この基本戦略についてさらに解説を進めたい。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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