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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > グローバル経営と地域志向型組織 (国際経営、国際物流/星野裕志)

グローバル経営と地域志向型組織

星野裕志 国際経営、国際物流

12/11/27

前回は、地域統括本社についてお話ししました。地域統括本部という言い方もされますが、一般的にいくつかの重要な機能があります。一つ目が、迅速な意思決定をすること。二つ目が、本社と現地の調整を行うこと。三つ目が、法律や税務、ブランド管理、プロモーション、人事などのスタッフ機能を地域統括本社に集中させること。個別の会社がそれぞれを持つよりは、どこかへ統括した方が効率的なのです。そして四つ目が、持ち株会社として事業資金の調達や配分、為替の管理、税務対策を行うことです。地域統括本社は、これらのことをするために、グローバル展開の中で出てきているのです。

 多国籍企業論の著名な研究者であるパールミュッターは、地域に中心を置くこのような考え方について、「Regio-centric=地域志向型企業」と呼びました。グローバル展開する日本企業の多くは、このような組織形態を採用しています。

 このように地域統括本社を置いた拠点が世界に三カ所あれば、世界三極体制であるし、四カ所あれば四極体制という言い方をします。このことは、ほとんどの企業の会社案内やマニュアルレポートに必ず記述されています。以前であれば、世界三極体制をとるとすれば、北米のニューヨーク、ヨーロッパのロンドン、アジアの香港やシンガポールが一般的でしたが、今では大きく変わってきています。まず、従来のアジア極とは別に、中国に拠点を置く企業が増えています。中国における生産や販売活動の重要性、中国の世界の市場としての一面を考えると、当然の結果です。また、先進国以外に地域統括本社を置く企業が増えています。たとえばBRICSといわれるブラジルやロシア、インドなどです。たとえば東芝では、世界を四つに分けて、米州、欧州、アジア、中国の四地域に拠点を置き、四極体制を持っています。

またエアコンメーカーのダイキン工業は、従来は日本のほかに、欧州、中国、ASEAN、オセアニアの四極に拠点を置いていましたが、近年これに北米、中南米、インド、中東/アフリカを加えて八極体制にしようとしています。この会社は先日、アメリカの空調機メーカーをM&Aによって2,960億円で買収しました。これによって、日本のエアコンで用いられる室外機と室内機を細いパイプでつなぐ「ダクトレス方式」や、開発途上国に多い窓枠に据え付ける「ウィンドウ式」に加えて、アメリカで主流である室内を管(ダクト)でつなぐ「ダクト方式」の技術を手に入れたことになります。こうしてダイキン工業は、三つの方式すべてを手に入れ、フルラインナップで提供できる企業となったのです。現在でも空調機メーカーとしては世界最大規模を誇っていますが、2015年には世界のシェア10%、海外売上比率70%、つまり日本が30%、海外が70%の企業になろうとしています。

 このようにして現地でますます展開するためには、現地に権限を移譲しながら、拡大していく必要があります。今までダイキンは、中国市場では強かったのですが、北米にはほとんどまだ足がかりがありませんでした。今回M&Aでアメリカの企業を買収することで、北米という市場を手に入れたことになります。北米を確保することで、その周辺の中南米へのアプローチも可能になるわけです。先ほど述べました三つの方式をすべて手に入れたことで、インドや中東、アフリカという、まったく新たな市場にも展開できます。その展開のために、地域統括本社を現地に置きながら、八極体制へ向かっているのかと思います。

 グローバル経営によって戦略が変わると、当然組織も変わって行かなければなりません。この非常に重要な命題について、著名な経営学者であるアルフレッド=チャンドラーは、「組織は戦略に従う」という言葉を残しています。つまりグローバル経営において、新しい市場に行くために四極や八極へ向かう。そういう戦略のためには、組織も変わらなければならない。ダイキンの動きを見ていると、まさにその通りに見えます。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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