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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 組織と個人のかかわり (社会心理、組織心理 /藤村まこと)

組織と個人のかかわり

藤村まこと 社会心理、組織心理

12/11/12


前回は、組織の中で人が課題に取組むとき、どうすれば動機づけが高まるかについてお話ししました。今回は、組織にいる人が、組織そのものもしくは他の人とどのように関っているかに注目してみます。

会社の中でも、学校の中でも色々な集団が存在します。そのとき例えば、まとまりの良い集団もあればそうではない集団もありますね。そのまとまりの良さのことを、心理学では「集団の凝集性」と呼んでいます。そして凝集性とは、メンバーがその集団に留まりたい、その集団が好きだという心理的な繋がりのことを意味します。この繋がりが強い程メンバーは集団に対して貢献しようと頑張りますし、集団を離れたがりません。もし個人が集団から離脱してしまうと、集団は空中分解してしまいタスクどころではなくなってしまいますね。そのため、集団を維持して、効果的な集団活動を行うためには、集団の凝集性は高いほうが良いことが分かっています。

その後、集団の凝集性の研究から、「組織コミットメント」へと研究の関心が移っていきます。組織コミットメントとは、私たち人が組織に対してどのような関与(コミットメント)を持っているかということです。深く関わりコミットメントが高い程、目標を受け入れて組織の活動に懸命に励み、離職率も低くなることが示されています。

それでは、組織コミットメントはどのように分類されるのでしょうか。コミットメントにはいくつかの分類がありますが、ここではMeyer& Allen(1997)の3分類を紹介します。1つは情緒的な繋がりです。単純に、私はこの集団が好きだ、仲間が好きだ、この目標に賛同しているという好意に基づく繋がりを「情緒的コミットメント」と呼びます。次に、組織を離れるとこんな不利益を被る、若しくは組織に残る事で得られる利益があるというつながり、損得勘定に基づくつながりのことを「功利的コミットメント」をよびます。そして最後のひとつは、情緒でも損得勘定でもなく、組織には留まるべきだ、組織を大事にするべきだという価値観によるつながりです。これは「規範的コミットメント」とよばれています。コミットメントの高いメンバーが多い方が、集団活動は円滑に進むと考えられます。

それでは組織コミットメントはどのようにして高めていけばよいのでしょうか。最近、職場での運動会を再開しようという動きもありますね。それは、人と人の繋がり、つまり情緒的な繋がりを強めていこうとする取り組みの1つかもしれません。また、目標管理制度の中では、リーダーと部下のコミュニケーションの機会を増やすために、定期的な個人面談を設定しているところもあります。これは、働く人にとって上司との繋がり、組織や課題との繋がりを強めるきっかけとなるかもしれません。

最後に、ある調査では、10年間の情緒的なコミットメントが測定されています(鈴木、2002)。その結果をみると、情緒的コミットメントの高さはJ字型を描くそうです。つまり就職をして3、4年間は一旦下がるのですが、その後は右肩上がりに上がっていきます。これは就職して3年目に離職する若者が多いという情報と一致しますね。入社直後は、こんなはずじゃなかったというギャップに苦しみ、リアリティショックが生じやすく、また新人にはそれほど大きな仕事は任されません。そのため、入社直後は不満足感も生じやすく、コミットメントも低下しやすくなります。人によっては、そのまま離職してしまうこともあるかもしれません。しかし、入社後3年をすぎると、その後のコミットメントは高まっていく傾向にあります。仕事や職場に慣れて、仕事の幅も広がり、仲間との関係性も形成されてくるからでしょうか。その頃には、組織から離れることは容易ではなくなりますし、離れがたくなるものです。

ただし、組織との関わりが深いことの副作用には気をつけたほうがよいでしょう。たとえば、組織にとって正しい事と、社会にとって正しい事が食い違うようなとき、コミットメントが高過ぎる場合や集団の凝集性が高すぎる場合には、本当は良くないと思いながらも組織の為という名目で社会的に正しくないことを行うことがあります。つまり、組織的な犯罪や逸脱行為には、高過ぎるコミットメントや集団凝集性の存在があると推測されます。"ほどほど"ということは簡単なことではないのですが、個人と組織の双方にとって価値のある関係性というものを私たちは考える必要があるようです。


引用・参考文献
鈴木竜太 (2007) 自律する組織人--組織コミットメントとキャリア論からの展望 生産性出版
田尾雅夫 (1997) 「会社人間」の研究--組織コミットメントの理論と実際 京都大学学術出版会

分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

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