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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 国際貿易の変化 (国際経営、国際物流/星野裕志)

国際貿易の変化

星野裕志 国際経営、国際物流

12/11/02


西川さんの世代で「舶来品」という言葉をご存知ですか。日常会話の中で、ほとんど使われることのない言葉ですが、「輸入品」の事です。恐らく、船舶で運ばれて来た品という意味で、「舶来品」という字が当てられたと思いますが、昔から舶来品という言葉には、非常に高級で外国産の貴重なイメージがありました。

ところが今は、むしろ輸入品の方が安く、国内で作られた物の方が質が良く高価なので、舶来品をあまり意識する事はなく、ありがたみも薄れてきています。

商品がグローバルに取引されるのは当たり前の事ですし、例えば、生鮮品が日本に運ばれ消費されるのも珍しくなければ、壊れ易い物も入ってきています。実は、こういうトレードが成立したのはわずか50年前です。第二次世界大戦終戦の10年後ぐらいから、コンテナ輸送によりグローバルに物が動き始めました。

コンテナ輸送の利点について、よく授業ではミネラルウォーターの例が挙げて説明しています。例えば、自販機やコンビニで購入する500ミリリットルの日本製のミネラルウォーターと、フランス製のボルヴィック、エビアン或いはアメリカ製の製品ほとんど同じ価格で売られています。輸入品なら輸送のコストも掛かるので、輸入品の方が高いのが当然と考えるならば不思議ではないですか。

それらが同じ値段で売られている理由は、輸送コストがあまり大きくはないからです。何故なら、先程のコンテナ輸送の利点ですが、大量のミネラルウォーターが一つのコンテナで大量輸送されるので、1本当たりの運賃は非常に少ないわけです。それから海上輸送は非常に不思議なことに、コンテナの運賃は行きと帰りで違います。需要と供給の関係ですが、これが今日の国際貿易です。

例えばアジアから欧米に輸出する物はいくらでもあります。特に中国は世界の工場と言われた時代が長く、アジアは世界の生産拠点なのでアジアから欧米に向けて輸出するものたくさんありますが、その逆は本当に少ないのです。今やアジアから欧米に向けて運ばれる半分しか、アジアに向けて運ばれて来ません。そうすると需要と供給の差が生じ、行きは輸送するものが多いので運賃が高くなりますが帰りは空いているので、その分運賃が下がります。アジア向けの運賃は、アジア発欧米向けの半分か3分の1です。

ですから、欧米で作られたミネラルウォーターをアジアや日本に持ってくるのは運賃の負担が小さく、値段が変わらないのです。さらに日本のミネラルウォーターは、日本アルプス、大山或いは阿蘇などで作られていますが、国内を輸送する運賃は非常に逆に割高です。そのコストが製品価格にのってくるので、不思議なことに輸入されているミネラルウォーターと国内で作られているミネラルウォーターの価格に、ほとんど差が無いのです。

したがって、日本の輸送のシステムが変わり輸送コストが大幅に下がれば、さすがに海外から輸入するより安くなるでしょうが、恐らくこの構造は変わらないでしょう。さらに世界の貿易構造の点からみると、中国はいつまでも世界の工場ではないのかもしれませんが、世界の生産拠点が、産業革命の時代のように、イギリスやアメリカに戻るかというと、恐らくそういう事はありえないでしょう。そうすると、アジア発は非常に運ぶものが多く、アジアに向けて持ってくるものは少ないという貿易構造のため、運賃に格差が出る仕組みに大きな変化はないと思います。

例えばコンテナも積み方を工夫して隙間がないようにする為に、家電メーカーでは製品のパッケージの形も整えるなどの工夫もされています。コンテナにピッタリ収まるようにパッケージの幅や高さを決めることで、10個でも多くの製品を1つコンテナに入るとそれだけ運賃が下げられます。そういうギリギリの工夫が、これほどまでにグローバルに製品が動くことに繋がってくるのです。

物の値段の高い安いは、物流の仕組みに関係しています。輸送の方法が変化するで、ひょっとしたら現在の仕組みが変わるかもしれません。

今日のキーワードは、「国際貿易の変化」です。


分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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